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東京メトロ・都営地下鉄沿線の住環境
提供: すてき空間
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(→交通) |
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#'''<キーワード>'''地味、ホームドア、目黒線、彩の国スタジアム線 | #'''<キーワード>'''地味、ホームドア、目黒線、彩の国スタジアム線 | ||
#'''<利用者イメージ>'''埼玉鳩ヶ谷方面&目黒線沿線からの通勤者 | #'''<利用者イメージ>'''埼玉鳩ヶ谷方面&目黒線沿線からの通勤者 | ||
− | # | + | #'''<解説>'''もうなんというか、地味で地味でしようがない路線であり、それがイメージの上だけならまだしも、改めて路線図を見ると「……この路線、別になくても困らなくね?」と思わせてしまうところがなんとも悲しい。が、溜池山王~六本木一丁目間はやはりさほど有名ではないが新しい超高層オフィスビルがかなり集積してきており、都心を代表するビジネス拠点として無視できない存在になっている。また、文京区、新宿区、港区のプレミアムアドレス住宅街を縫うように走っており、銀座線が都心の商業・業務集積地の代表路線なら、南北線は都心の高級住宅街の代表路線と言えるのではないか。よって、この路線の車内はたいてい至って静かでありこの静けさは地味さのではなく上品さと言わねばならないことに人はいつしか気付くのである。ま、東急東横線と目黒線の差がそのまま乗り入れ先の副都心線と南北線の差につながっていると言えなくもないが。 |
*'''丸ノ内線''' | *'''丸ノ内線''' | ||
#'''<キーワード>'''東京の中心、東京駅 | #'''<キーワード>'''東京の中心、東京駅 | ||
#'''<利用者イメージ>'''池袋からの都心への通勤者、新宿方面から銀座線へのつなぎ | #'''<利用者イメージ>'''池袋からの都心への通勤者、新宿方面から銀座線へのつなぎ | ||
− | #''<解説>''乗降客数日本1、2位の大ターミナル新宿、池袋。首都の玄関口・東京駅。オフィス街の代名詞・大手町。行政の中心・霞ヶ関。日本一の商店街・銀座………圧巻である。駅のホームの天井からぶら下がっている「1番線 ○○、○○方面行き」の案内板でこれほどどの駅名を記したらよいか悩む路線もないのではないだろうか?実際この路線の池袋駅では「○○、□□、▽▽方面」の案内板にさらに「△△、■■、◎◎方面」の案内板がとってつけたようにぶら下がっている。これをもって、この路線を銀座線を越える東京を代表する地下鉄とする向きも多い。が、実際にはこの路線と銀座線の間には歴然とした格差があり、その差は乗客の輸送密度として数字にも表れている。そう、銀座線のほうがより都心の地下鉄としての性格が色濃いのだ。確かに平日朝のラッシュ時は別としても、この路線からはそれほど混んでいるという印象は受けない。なぜか? これにはいくつか理由が考えられ、まず一つめとして丸ノ内線の場合、上記に挙げたような代表的な駅を除くと、基本的に住宅街としての性格の駅が多い。池袋~大手町間と新宿三丁目~赤坂見附間がそれだ。都心としての連続性が銀座線と比してどうしても劣るのである。そして二つめの理由として平行するJR中央線の存在も無視できない。荻窪~新宿~東京駅間の輸送のメインは何と言っても中央線なのである。…とはいえ、そこは丸ノ内線。ただの中央線の裏路線に甘んじることなく、西新宿駅を新たに開業してその周辺の大規模再開発プロジェクトが複数着工していたり、中野坂上にまで超高層オフィスが複数誕生したりと、独自の需要の掘り起こしに余念がないのである。 | + | #'''<解説>'''乗降客数日本1、2位の大ターミナル新宿、池袋。首都の玄関口・東京駅。オフィス街の代名詞・大手町。行政の中心・霞ヶ関。日本一の商店街・銀座………圧巻である。駅のホームの天井からぶら下がっている「1番線 ○○、○○方面行き」の案内板でこれほどどの駅名を記したらよいか悩む路線もないのではないだろうか?実際この路線の池袋駅では「○○、□□、▽▽方面」の案内板にさらに「△△、■■、◎◎方面」の案内板がとってつけたようにぶら下がっている。これをもって、この路線を銀座線を越える東京を代表する地下鉄とする向きも多い。が、実際にはこの路線と銀座線の間には歴然とした格差があり、その差は乗客の輸送密度として数字にも表れている。そう、銀座線のほうがより都心の地下鉄としての性格が色濃いのだ。確かに平日朝のラッシュ時は別としても、この路線からはそれほど混んでいるという印象は受けない。なぜか? これにはいくつか理由が考えられ、まず一つめとして丸ノ内線の場合、上記に挙げたような代表的な駅を除くと、基本的に住宅街としての性格の駅が多い。池袋~大手町間と新宿三丁目~赤坂見附間がそれだ。都心としての連続性が銀座線と比してどうしても劣るのである。そして二つめの理由として平行するJR中央線の存在も無視できない。荻窪~新宿~東京駅間の輸送のメインは何と言っても中央線なのである。…とはいえ、そこは丸ノ内線。ただの中央線の裏路線に甘んじることなく、西新宿駅を新たに開業してその周辺の大規模再開発プロジェクトが複数着工していたり、中野坂上にまで超高層オフィスが複数誕生したりと、独自の需要の掘り起こしに余念がないのである。 |
*'''半蔵門線''' | *'''半蔵門線''' | ||
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#'''【料理に例えると…】'''ロッテリアのサイドメニュー | #'''【料理に例えると…】'''ロッテリアのサイドメニュー | ||
#'''解説''' <<★ファミレスのような明るさが持ち味なのです >> 結論から言ってしまえば、大江戸線を除く都営地下鉄の路線はいずれも地味で暗いのだが、その中にあって都営新宿線のイメージは幾分さわやかで明るい方だ。浅草線ほど古く時代に取り残された下町イメージもないし、同じく神保町を通っている三田線と比べても、あちらは昭和の薄暗い喫茶店で食べるカレーが似合いそうなものだが、新宿線だとなぜか専門書を探しにきたナイスミドルの大学教授を連想してしまうから不思議だ。 この理由は若者の多い新宿と京王線に直通しているという面も大きいだろうが、単純に昭和53年開業の比較的新しい路線であるために、昭和の暗部というか負の遺産を背負っていないことが最大の要因であろう。それに何を差し置いてもラインカラーが良い。明るいグリーンなんてまるで山の手の新緑みたいじゃないか。それに比べて日比谷線はなんだ! シルバーのラインカラーは高級感あるけど一歩間違えば灰色だ。六本木は「ヒルズ族と呼ばないで」が映画化されて以降(嘘何かとグレーなイメージと事件が染みついてしまったし、何よりも沿線に山谷地区や吉原を抱えるなど、千住の名を出すまでもなく下町の最ディープエリア、もとい昭和のしがらみにとらわれているのだ。それに比べると、新宿線は高級感も深い味わいなんてものもないけど、ファミリーが安心して暮らせる、まさにファミレス沿線と言えるだろう。<<★オイラはオイラで上手くやってるよ >> うん。悪くないよね、新宿線。…悪くはないんだけど、…いくらなんでも地味すぎるよ!都営地下鉄ってだけで認知度やら運賃やらで大きなハンデを背負っているのに、肝心の都心部が日本橋のはずれと学生街、そして新宿区の陸の孤島エリアじゃ…せめて裏・銀座線である浅草線との乗り換えが便利なら良かったんだけど、これがまたえらく歩かされるんだよね。何でこうなった? こういうのをお役所仕事というのか? 唯一の救いは三田線との乗り換えが便利なこと。これでオフィス街への足は何とか確保できる。問題は繁華街への足だ。駅前に店が少ないのが地下鉄沿線住宅街の特徴だが、新宿線もその例にもれず。どうしても都心の繁華街にでたいのだが、最も行きやすいのは山手線の反対側、遠き新宿だ。そんな事情を察してか、東京都もこの新宿線にはそれなりに急行を走らせている。しかし、その急行の途中停車駅が「船堀」「大島」「馬喰横山」「神保町」「市ヶ谷」って、やっぱり地味すぎるよ。いったい都民の何パーセントが、この都営新宿線の急行停車駅を把握しているのだろう?? そんな新宿線には「西の西武新宿線、東の都営新宿線」の称号がお似合いだ。どちらも並行して走る圧倒的に便利なJR線に沿線の住人が流出しているという事情があるしね。西の方の新宿線は、地下鉄直通運転がない唯一の関東大手私鉄幹線として、あちらはあちらで大変なようで… | #'''解説''' <<★ファミレスのような明るさが持ち味なのです >> 結論から言ってしまえば、大江戸線を除く都営地下鉄の路線はいずれも地味で暗いのだが、その中にあって都営新宿線のイメージは幾分さわやかで明るい方だ。浅草線ほど古く時代に取り残された下町イメージもないし、同じく神保町を通っている三田線と比べても、あちらは昭和の薄暗い喫茶店で食べるカレーが似合いそうなものだが、新宿線だとなぜか専門書を探しにきたナイスミドルの大学教授を連想してしまうから不思議だ。 この理由は若者の多い新宿と京王線に直通しているという面も大きいだろうが、単純に昭和53年開業の比較的新しい路線であるために、昭和の暗部というか負の遺産を背負っていないことが最大の要因であろう。それに何を差し置いてもラインカラーが良い。明るいグリーンなんてまるで山の手の新緑みたいじゃないか。それに比べて日比谷線はなんだ! シルバーのラインカラーは高級感あるけど一歩間違えば灰色だ。六本木は「ヒルズ族と呼ばないで」が映画化されて以降(嘘何かとグレーなイメージと事件が染みついてしまったし、何よりも沿線に山谷地区や吉原を抱えるなど、千住の名を出すまでもなく下町の最ディープエリア、もとい昭和のしがらみにとらわれているのだ。それに比べると、新宿線は高級感も深い味わいなんてものもないけど、ファミリーが安心して暮らせる、まさにファミレス沿線と言えるだろう。<<★オイラはオイラで上手くやってるよ >> うん。悪くないよね、新宿線。…悪くはないんだけど、…いくらなんでも地味すぎるよ!都営地下鉄ってだけで認知度やら運賃やらで大きなハンデを背負っているのに、肝心の都心部が日本橋のはずれと学生街、そして新宿区の陸の孤島エリアじゃ…せめて裏・銀座線である浅草線との乗り換えが便利なら良かったんだけど、これがまたえらく歩かされるんだよね。何でこうなった? こういうのをお役所仕事というのか? 唯一の救いは三田線との乗り換えが便利なこと。これでオフィス街への足は何とか確保できる。問題は繁華街への足だ。駅前に店が少ないのが地下鉄沿線住宅街の特徴だが、新宿線もその例にもれず。どうしても都心の繁華街にでたいのだが、最も行きやすいのは山手線の反対側、遠き新宿だ。そんな事情を察してか、東京都もこの新宿線にはそれなりに急行を走らせている。しかし、その急行の途中停車駅が「船堀」「大島」「馬喰横山」「神保町」「市ヶ谷」って、やっぱり地味すぎるよ。いったい都民の何パーセントが、この都営新宿線の急行停車駅を把握しているのだろう?? そんな新宿線には「西の西武新宿線、東の都営新宿線」の称号がお似合いだ。どちらも並行して走る圧倒的に便利なJR線に沿線の住人が流出しているという事情があるしね。西の方の新宿線は、地下鉄直通運転がない唯一の関東大手私鉄幹線として、あちらはあちらで大変なようで… | ||
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*'''都営浅草線''' | *'''都営浅草線''' | ||
#'''【沿線ランドマーク】'''東京スカイツリー、隅田川、日本橋、歌舞伎座、泉岳寺 | #'''【沿線ランドマーク】'''東京スカイツリー、隅田川、日本橋、歌舞伎座、泉岳寺 | ||
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#'''【料理に例えると…】'''路地裏の屋台ですする中華そば | #'''【料理に例えると…】'''路地裏の屋台ですする中華そば | ||
#'''解説''' <<★「若者に見られてはいけない。」 >> 名は体を表すんだよね。「浅草」の名前を掲げちゃった時点で、もうアレなんだけど、おまけに上を走っている道路が「昭和」通りと、第一「京浜」ときたもんだ。おいおい、これは連想ゲーム(NHK)か? 「浅草」「昭和」「京浜」、そして「工場」「盛り場」ときたら、もう答えは高度成長期の日本を支えた「労働者」に決まっているでしょう。実際、都営浅草線の乗客の中にはブルーカラーと一目で分かる風体のオッサンが「かなり」いるのだ。しかも連れが居ないのか休日というのに孤独な人ばかりで皆そろって目つきが悪い。はっきりいって危ない。逆に浅草線であまり見かけないのがカップルやニューファミリーといった若者層だ。まあ、無理もないだろう。この沿線と直通先の私鉄(京急と京成)には地縁でもない限り、若者の流入してきそうな要素が、からっきし無いんだから。東銀座や日本橋にしたって金のあるオバサマの街だしねえ。でも、浅草線はそれでいいのだ。行き着く先は「蒲田」「平和島」「柴又」「金町」なんだから。若いカップルなんぞが車内にいたら、こちとら汚れた作業ズボンのまま電車に乗り込めなくなっちまうじゃねーか(実際いるぞ!)。<<★「銀座線に見られてはいけない。」 >> ところがよく見ると浅草線はなかなか良いところを走っている。港区ではメーカーの多い一大オフィスベルトを縦断しているし、中央区ではあの銀座線の至近を平行している。にも関わらず、浅草線全体にビミョーな空気が漂っているのは、いったいなんなんだ?結局これは、浅草線に乗るぐらいなら銀座線に乗るし、JRに乗るよ、ということなのだろう。この浅草線の影の薄さは、世の成功しているビジネスをただ真似ただけの二番煎じプロジェクトがいかに駄目かを思い知らせてくれる。失敗した駄目プロジェクトはチームを解散さえしてしまえばいいが、一度敷設してしまった鉄道路線はそうはいかない。他のメジャー路線にコバンザメのようにへばりついてお終いではなく、やはり浅草線でなければ、と言わせるだけの独自性、魅力的な施設が沿線の駅周辺に欲しいところ。でも、これって京急、京成含め沿線の人にしてみれば、銀座線や京浜東北線とほぼ同じ場所に空いている電車で直接アクセスできるということなのだから、そう悪いことではない。いや、むしろそのあまりの便利さ故に抜け出せなくなっているのかも!?<<★「あ、もう見えるじゃん」>>「押上なんて名前も知らなかった」。そんな会話を交わしながら駅を出て、まず一言。「あ、もう見えるじゃん」。そう、目的は建設中のスカイツリー。ここまでの大人気を誰が予測できただろうか? 建設現場周辺では世界一のタワーの景観だけではなく、見物にきたギャルを相手に典型的な浅草線オヤジがジモティならではのウンチクを語るという奇妙な光景まで新たに創出されている。なんだか浅草線にも光が差し込んできたなあ。なんといっても浅草線は世界の銀座エリアと世界のタワーを結ぶ唯一の路線だもんね。折しも、浅草線はどん底のように暗かった駅ホームを順次改装中。寒色系の沈んだタイルで消費意欲を減退させるほど暗かった東銀座と日本橋のホームも明るくなったし、お客さんを向かえる準備はできた。今度こそ、平行する銀座線に乗客をとられませんように… | #'''解説''' <<★「若者に見られてはいけない。」 >> 名は体を表すんだよね。「浅草」の名前を掲げちゃった時点で、もうアレなんだけど、おまけに上を走っている道路が「昭和」通りと、第一「京浜」ときたもんだ。おいおい、これは連想ゲーム(NHK)か? 「浅草」「昭和」「京浜」、そして「工場」「盛り場」ときたら、もう答えは高度成長期の日本を支えた「労働者」に決まっているでしょう。実際、都営浅草線の乗客の中にはブルーカラーと一目で分かる風体のオッサンが「かなり」いるのだ。しかも連れが居ないのか休日というのに孤独な人ばかりで皆そろって目つきが悪い。はっきりいって危ない。逆に浅草線であまり見かけないのがカップルやニューファミリーといった若者層だ。まあ、無理もないだろう。この沿線と直通先の私鉄(京急と京成)には地縁でもない限り、若者の流入してきそうな要素が、からっきし無いんだから。東銀座や日本橋にしたって金のあるオバサマの街だしねえ。でも、浅草線はそれでいいのだ。行き着く先は「蒲田」「平和島」「柴又」「金町」なんだから。若いカップルなんぞが車内にいたら、こちとら汚れた作業ズボンのまま電車に乗り込めなくなっちまうじゃねーか(実際いるぞ!)。<<★「銀座線に見られてはいけない。」 >> ところがよく見ると浅草線はなかなか良いところを走っている。港区ではメーカーの多い一大オフィスベルトを縦断しているし、中央区ではあの銀座線の至近を平行している。にも関わらず、浅草線全体にビミョーな空気が漂っているのは、いったいなんなんだ?結局これは、浅草線に乗るぐらいなら銀座線に乗るし、JRに乗るよ、ということなのだろう。この浅草線の影の薄さは、世の成功しているビジネスをただ真似ただけの二番煎じプロジェクトがいかに駄目かを思い知らせてくれる。失敗した駄目プロジェクトはチームを解散さえしてしまえばいいが、一度敷設してしまった鉄道路線はそうはいかない。他のメジャー路線にコバンザメのようにへばりついてお終いではなく、やはり浅草線でなければ、と言わせるだけの独自性、魅力的な施設が沿線の駅周辺に欲しいところ。でも、これって京急、京成含め沿線の人にしてみれば、銀座線や京浜東北線とほぼ同じ場所に空いている電車で直接アクセスできるということなのだから、そう悪いことではない。いや、むしろそのあまりの便利さ故に抜け出せなくなっているのかも!?<<★「あ、もう見えるじゃん」>>「押上なんて名前も知らなかった」。そんな会話を交わしながら駅を出て、まず一言。「あ、もう見えるじゃん」。そう、目的は建設中のスカイツリー。ここまでの大人気を誰が予測できただろうか? 建設現場周辺では世界一のタワーの景観だけではなく、見物にきたギャルを相手に典型的な浅草線オヤジがジモティならではのウンチクを語るという奇妙な光景まで新たに創出されている。なんだか浅草線にも光が差し込んできたなあ。なんといっても浅草線は世界の銀座エリアと世界のタワーを結ぶ唯一の路線だもんね。折しも、浅草線はどん底のように暗かった駅ホームを順次改装中。寒色系の沈んだタイルで消費意欲を減退させるほど暗かった東銀座と日本橋のホームも明るくなったし、お客さんを向かえる準備はできた。今度こそ、平行する銀座線に乗客をとられませんように… | ||
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*'''東西線''' | *'''東西線''' | ||
#'''【沿線ランドマーク】'''イトーヨーカドーとジャスコ、兜町、神楽坂、早稲田大学 | #'''【沿線ランドマーク】'''イトーヨーカドーとジャスコ、兜町、神楽坂、早稲田大学 | ||
#'''【利用者イメージ】'''船橋都民、城東の団地住まい、日本型サラリーマン、オタクな早大生 | #'''【利用者イメージ】'''船橋都民、城東の団地住まい、日本型サラリーマン、オタクな早大生 | ||
#'''【料理に例えると…】'''吉野家の牛丼 ●解説 <<★西から出発した東方見聞録 >> 東西線と言えば東陽町や葛西、浦安など、都心の東側の路線のイメージが強い。地下鉄のくせに長大な高架区間を誇る東西線。東京メトロなのに堂々と千葉を走る東西線。そして私鉄の朝ラッシュ時の最混雑区間を謳うようになった東西線。そう、路線名を「東方線」に変えた方がいいんじゃないか? と思ってしまうほど、東西線のトピックは東側に集中している。ところが意外にも東西線で1964年に先行開業したのは高田馬場-九段下間で都心の西側なのだ。もっというと、東側の西葛西、南行徳、妙典の3駅はさらに後に既存線に追加された新駅だ。この何気ない事実が意味するところは大きい。それは過去における東京の東西格差だ。つまり開業順はすでに発展していた西武新宿線沿線からの旅客輸送こそが当時の早急の課題であったことを意味し、新駅の連打は「ど田舎が思ったより発展しちゃったよ」ということなのだろう。最近は足立区や江戸川区も含め、城東地域を一括りに「下町」などと呼んだりするので誤解が生じやすいが、都心より東側は新宿や渋谷の西側などよりも遙かに新しく若い町である。いわゆる古くから人が住み、伝統を受け継いでいるという意味においての下町は、東西線でいえばせいぜい東陽町までの区間だ。その先、砂町よりも東側ともなると、70年代にも差し掛かろうという折りにすんなりと長大な高架を通せるほどだから、相当な陸の孤島であったことは想像に難くない。なお、隣を走る都営新宿線や京葉線の開業は東西線の全線開通よりもさらに後の話となる。<<★JRに勝って、自転車に負けた? >>ひるがえって、現在の東西線。その発展ぶりは自慢の高架から車窓を眺めていれば一目瞭然。雨後の竹の子のようなマンション群をはじめ、沿線の人口密度が凄まじそうなことは伝わるはずだ。だが、東西線の混雑の理由はそれだけではない。「安い! 速い! うまい!」の3拍子で、天下のJR路線を利便性で圧倒。まず、なんといっても東西線は速い。昼の快速なら西船橋からお江戸日本橋までわずか21分だ。渋谷から日本橋までの移動が最短でも銀座線で18分かかることを考えれば、これは特筆すべきタイムだ。加えて東京メトロは長い距離を乗り通しても運賃はさほど加算されないし、東西線は銀座線や日比谷線といった他の使える路線との乗り換えも便利。大手町駅も東京駅と連絡する絶妙なポジションであるなど、とにかく東西線は駅の造りがうまい。こうして東西線は遠方のJR線や直通している東葉高速鉄道からも乗客をかき集めているのである。そんな東西線にも泣き所がある。それは特に買い物においてだ。沿線の駅前に充実した商店街もなければ都心の大繁華街に繋がっているわけでもない。確かに都心の会社には近いのだけど、会社と家を往復する間に気晴らしとなるようなものや利便性、文化的体験が明らかに不足している。ここらへんが西側の新宿や池袋、渋谷に繋がる路線との決定的な差であり、また、東西線のもつ、独特のオヤジ臭の源泉なのだ。本当は西側よりもずっと若くて新しい地域なのにね。かわりにこの沿線にあるのは、駅とはなんの関係もない場所に突如としてそびえる大型スーパー。当然こういった場所にはマイカーや自転車で向かうこととなり、東西線との接点は何もない。<<★東西線の老後に待ちかまえるものとは >>さて、誰が何と言おうと新しくて若い東西線。産まれたときからちょっと老け顔だったかもしれないけど沿線の細胞は今現在もなお新陳代謝が活発なのか、若いファミリーの姿もよくみかける。東西線でどこへ?? 絶対途中で乗り換えるんだろうな…なんて差し出口はともかく、そんな流入してきた人口を円滑に輸送するために当座の知恵として投入されるのがワイドドア車だ。だけどそんなものを主力車種にしたら、高齢化でただでさえ年寄りが増えているのに座席の数まで減って、若い人は東西線ではもう着席機会なんて与えられなくなるんだろうな…昭和の「つくばエクスプレス」だった東西線。イメージ上のオヤジっぽさから、本当にオヤジばかりにならないためにも、平成生まれの若者にとっても魅力的にうつる路線になっておくれ。都心の勤務地に近いという強みも、将来、勤務形態が多様化したらどうなるかわからないんだからさ! | #'''【料理に例えると…】'''吉野家の牛丼 ●解説 <<★西から出発した東方見聞録 >> 東西線と言えば東陽町や葛西、浦安など、都心の東側の路線のイメージが強い。地下鉄のくせに長大な高架区間を誇る東西線。東京メトロなのに堂々と千葉を走る東西線。そして私鉄の朝ラッシュ時の最混雑区間を謳うようになった東西線。そう、路線名を「東方線」に変えた方がいいんじゃないか? と思ってしまうほど、東西線のトピックは東側に集中している。ところが意外にも東西線で1964年に先行開業したのは高田馬場-九段下間で都心の西側なのだ。もっというと、東側の西葛西、南行徳、妙典の3駅はさらに後に既存線に追加された新駅だ。この何気ない事実が意味するところは大きい。それは過去における東京の東西格差だ。つまり開業順はすでに発展していた西武新宿線沿線からの旅客輸送こそが当時の早急の課題であったことを意味し、新駅の連打は「ど田舎が思ったより発展しちゃったよ」ということなのだろう。最近は足立区や江戸川区も含め、城東地域を一括りに「下町」などと呼んだりするので誤解が生じやすいが、都心より東側は新宿や渋谷の西側などよりも遙かに新しく若い町である。いわゆる古くから人が住み、伝統を受け継いでいるという意味においての下町は、東西線でいえばせいぜい東陽町までの区間だ。その先、砂町よりも東側ともなると、70年代にも差し掛かろうという折りにすんなりと長大な高架を通せるほどだから、相当な陸の孤島であったことは想像に難くない。なお、隣を走る都営新宿線や京葉線の開業は東西線の全線開通よりもさらに後の話となる。<<★JRに勝って、自転車に負けた? >>ひるがえって、現在の東西線。その発展ぶりは自慢の高架から車窓を眺めていれば一目瞭然。雨後の竹の子のようなマンション群をはじめ、沿線の人口密度が凄まじそうなことは伝わるはずだ。だが、東西線の混雑の理由はそれだけではない。「安い! 速い! うまい!」の3拍子で、天下のJR路線を利便性で圧倒。まず、なんといっても東西線は速い。昼の快速なら西船橋からお江戸日本橋までわずか21分だ。渋谷から日本橋までの移動が最短でも銀座線で18分かかることを考えれば、これは特筆すべきタイムだ。加えて東京メトロは長い距離を乗り通しても運賃はさほど加算されないし、東西線は銀座線や日比谷線といった他の使える路線との乗り換えも便利。大手町駅も東京駅と連絡する絶妙なポジションであるなど、とにかく東西線は駅の造りがうまい。こうして東西線は遠方のJR線や直通している東葉高速鉄道からも乗客をかき集めているのである。そんな東西線にも泣き所がある。それは特に買い物においてだ。沿線の駅前に充実した商店街もなければ都心の大繁華街に繋がっているわけでもない。確かに都心の会社には近いのだけど、会社と家を往復する間に気晴らしとなるようなものや利便性、文化的体験が明らかに不足している。ここらへんが西側の新宿や池袋、渋谷に繋がる路線との決定的な差であり、また、東西線のもつ、独特のオヤジ臭の源泉なのだ。本当は西側よりもずっと若くて新しい地域なのにね。かわりにこの沿線にあるのは、駅とはなんの関係もない場所に突如としてそびえる大型スーパー。当然こういった場所にはマイカーや自転車で向かうこととなり、東西線との接点は何もない。<<★東西線の老後に待ちかまえるものとは >>さて、誰が何と言おうと新しくて若い東西線。産まれたときからちょっと老け顔だったかもしれないけど沿線の細胞は今現在もなお新陳代謝が活発なのか、若いファミリーの姿もよくみかける。東西線でどこへ?? 絶対途中で乗り換えるんだろうな…なんて差し出口はともかく、そんな流入してきた人口を円滑に輸送するために当座の知恵として投入されるのがワイドドア車だ。だけどそんなものを主力車種にしたら、高齢化でただでさえ年寄りが増えているのに座席の数まで減って、若い人は東西線ではもう着席機会なんて与えられなくなるんだろうな…昭和の「つくばエクスプレス」だった東西線。イメージ上のオヤジっぽさから、本当にオヤジばかりにならないためにも、平成生まれの若者にとっても魅力的にうつる路線になっておくれ。都心の勤務地に近いという強みも、将来、勤務形態が多様化したらどうなるかわからないんだからさ! | ||
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*'''千代田線''' | *'''千代田線''' | ||
#'''【沿線ランドマーク】'''代々木公園、表参道、東京ミッドタウン、不忍池、谷根千、開成学園 | #'''【沿線ランドマーク】'''代々木公園、表参道、東京ミッドタウン、不忍池、谷根千、開成学園 | ||
#'''【利用者イメージ】'''常磐線のことを千代田線と呼ぶ人たち、多摩急行のダイヤを空で言える人たち | #'''【利用者イメージ】'''常磐線のことを千代田線と呼ぶ人たち、多摩急行のダイヤを空で言える人たち | ||
#'''【料理に例えると…】'''社員食堂のからあげ定食 ●解説 <<★「トンネルのむこうは、松戸の町でした。」 >> 千代田線が一部直通している小田急沿線は、シモキタや世田谷のイメージ、さらに新宿、渋谷にも近いということで、上京したての若者も多い。彼らの行動半径はテレビ、雑誌による情報という名の燃料で規定されているため、とりあえずの目的地は大抵の場合、新宿駅だ。複雑な地下鉄路線図はまだ馴染めないし、明治神宮前=原宿ということも念頭にないため、小田急でたまに千代田線直通電車が来ようものなら「ウゼエ」と吐き捨てるのだが、うっかり乗り間違えて千代田線内に突入してしまったものなら、もう大変。古く薄暗いホームには窓が田の字のススけた電車が轟々と行き交い、しかも行き先の幕(LEDではない)で目にする文字は「我孫子」「取手」「松戸」。例え、かの地はまったく知らなくとも、くすんだ幕に浮かぶ「我孫子」の文字に鄙びた牧歌的な何かを感じ取ってしまうのは、無理からぬことだ。こうして上京者は東京の光と影、タウン誌には載っていない大都会の本当の姿、流行だけではなく変わることのできない歴史もあることを、千代田線を通じて知るのである。そんなわけで目下の所、千代田線は東京で最も古びた印象を与えてくれる地下鉄である。明治神宮前<原宿>駅のホームも例外なく暗いのだが、副都心線との連絡階段のまわりだけ明るく綺麗なのが何とも当てつけがましい。副都心線の百貨店の化粧品売り場と見紛うばかりの白くピカピカな<原宿>駅をみると、これ、同じ運賃体系でいいのか? と思ってしまうのだが…カローラとレクサスぐらい差があるぞ!<<★千代田というのかい…贅沢な名だねぇ! >>基本的には千代田線は同じく北千住を経由する日比谷線と近似した性格の路線である。山の手側では戦後の米軍駐留に端を発した国際色を武器に富裕層向けの市場が確立され、北東側ではブルーカラー色の強い雑然とした気安い町が形成されるという、真逆の顔を持つ。ただし、日比谷線が観光、商業、風俗面に長け、「魔都」と称するにふさわしい要素が積もった裏社会的な面も一部のぞかせているのに対し、千代田線は官庁街やビジネス街の中枢を走る表社会としての顔が強い。この2線の違いは、千代田区と港区、ミッドタウンと六本木ヒルズのカラーの差がそのまま反映されているようで興味深い。そういう意味では、昼の街である千代田区の名は、なるほど路線名にうってつけといえる。と、同時に千代田線沿線で夜に繰り出す価値があるのは赤坂ぐらいだろう。堅気の仕事のない者には用のない路線であり、区の名前を引っ張ってことなければならないほど、沿線独自の看板に乏しい「カオナシ」路線でもある。「大手町」や「霞ヶ関」など、良いところを通っているのにどちらかというとマイナーな事情も、「千代田」の名にこめられているといえるだろう。<<★特急ロマンスカーの正しい乗り方 >>さて、千代田線の最近のトピックと言えば、なんといってもMSEことロマンスカーの登場だろう。しかし平日の上りで千代田線内にやってくるのは朝の7時台に1本だけという、通勤ライナーとしてもあんまりなダイヤ。そうまでして小田急の遠方から都心に通勤するのなら、いっそ、北東側で千代田線と直通する常磐緩行線に居を求めたらどうだろう? もちろん混雑率はかなり高いが、都心まではそう遠くないのにお求めやすい価格のマンションも充実。北千住にだって「成城石井」がある時代、何が何でも世田谷にこだわる意味がどれだけあるのか。ロマンスカーは休日に北千住から箱根への行楽目的で乗るのが正しい。…とまあ、新宿、渋谷、世田谷しか知らない上京したての若者には、これぐらいお節介を言っても言いすぎではないかも、ね!? | #'''【料理に例えると…】'''社員食堂のからあげ定食 ●解説 <<★「トンネルのむこうは、松戸の町でした。」 >> 千代田線が一部直通している小田急沿線は、シモキタや世田谷のイメージ、さらに新宿、渋谷にも近いということで、上京したての若者も多い。彼らの行動半径はテレビ、雑誌による情報という名の燃料で規定されているため、とりあえずの目的地は大抵の場合、新宿駅だ。複雑な地下鉄路線図はまだ馴染めないし、明治神宮前=原宿ということも念頭にないため、小田急でたまに千代田線直通電車が来ようものなら「ウゼエ」と吐き捨てるのだが、うっかり乗り間違えて千代田線内に突入してしまったものなら、もう大変。古く薄暗いホームには窓が田の字のススけた電車が轟々と行き交い、しかも行き先の幕(LEDではない)で目にする文字は「我孫子」「取手」「松戸」。例え、かの地はまったく知らなくとも、くすんだ幕に浮かぶ「我孫子」の文字に鄙びた牧歌的な何かを感じ取ってしまうのは、無理からぬことだ。こうして上京者は東京の光と影、タウン誌には載っていない大都会の本当の姿、流行だけではなく変わることのできない歴史もあることを、千代田線を通じて知るのである。そんなわけで目下の所、千代田線は東京で最も古びた印象を与えてくれる地下鉄である。明治神宮前<原宿>駅のホームも例外なく暗いのだが、副都心線との連絡階段のまわりだけ明るく綺麗なのが何とも当てつけがましい。副都心線の百貨店の化粧品売り場と見紛うばかりの白くピカピカな<原宿>駅をみると、これ、同じ運賃体系でいいのか? と思ってしまうのだが…カローラとレクサスぐらい差があるぞ!<<★千代田というのかい…贅沢な名だねぇ! >>基本的には千代田線は同じく北千住を経由する日比谷線と近似した性格の路線である。山の手側では戦後の米軍駐留に端を発した国際色を武器に富裕層向けの市場が確立され、北東側ではブルーカラー色の強い雑然とした気安い町が形成されるという、真逆の顔を持つ。ただし、日比谷線が観光、商業、風俗面に長け、「魔都」と称するにふさわしい要素が積もった裏社会的な面も一部のぞかせているのに対し、千代田線は官庁街やビジネス街の中枢を走る表社会としての顔が強い。この2線の違いは、千代田区と港区、ミッドタウンと六本木ヒルズのカラーの差がそのまま反映されているようで興味深い。そういう意味では、昼の街である千代田区の名は、なるほど路線名にうってつけといえる。と、同時に千代田線沿線で夜に繰り出す価値があるのは赤坂ぐらいだろう。堅気の仕事のない者には用のない路線であり、区の名前を引っ張ってことなければならないほど、沿線独自の看板に乏しい「カオナシ」路線でもある。「大手町」や「霞ヶ関」など、良いところを通っているのにどちらかというとマイナーな事情も、「千代田」の名にこめられているといえるだろう。<<★特急ロマンスカーの正しい乗り方 >>さて、千代田線の最近のトピックと言えば、なんといってもMSEことロマンスカーの登場だろう。しかし平日の上りで千代田線内にやってくるのは朝の7時台に1本だけという、通勤ライナーとしてもあんまりなダイヤ。そうまでして小田急の遠方から都心に通勤するのなら、いっそ、北東側で千代田線と直通する常磐緩行線に居を求めたらどうだろう? もちろん混雑率はかなり高いが、都心まではそう遠くないのにお求めやすい価格のマンションも充実。北千住にだって「成城石井」がある時代、何が何でも世田谷にこだわる意味がどれだけあるのか。ロマンスカーは休日に北千住から箱根への行楽目的で乗るのが正しい。…とまあ、新宿、渋谷、世田谷しか知らない上京したての若者には、これぐらいお節介を言っても言いすぎではないかも、ね!? | ||
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*'''銀座線''' | *'''銀座線''' | ||
#'''【沿線ランドマーク】'''渋谷マークシティ、和光、三越、日本橋、上野駅、浅草雷門 | #'''【沿線ランドマーク】'''渋谷マークシティ、和光、三越、日本橋、上野駅、浅草雷門 | ||
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#'''【料理に例えると…】'''資生堂パーラーのフルコース | #'''【料理に例えると…】'''資生堂パーラーのフルコース | ||
#'''解説''' <<★昭和の頃から~、エースで4番~! >> 丸ノ内線と双璧をなす、東京メトロのエース路線である。中央通りと246という東京の二大目抜き通りの下を走っていると言えば、もうそれ以上の説明など不要であろう。よって、沿線には住宅もスーパーもほとんどなく、最も生活感の無い路線でもある。代わりに「お出かけ」という言葉がこれほど似合う路線はJRも含めて他にはない。「銀座線でお出かけ」。この言い回しは銀座線だからこそ美しく響くのであって、これが「東西線でお出かけ」だと、首にタオル巻いて江戸川にハゼ釣りに行くようにしか聞こえないのだから、まったくイメージとは恐ろしいものだ。なお、銀座線には親の家業を手伝う3人の子どもがおり、それぞれに人生という名の道を歩んでいるようだ。ちょっとだけ紹介すると、長男の「日比谷線」は六本木のバーで外国人をひっかけるほどの遊び人だ。自分では要領が良いつもりらしく、「法律なんて穴だらけさ」と有頂天になり、銀座のクラブに夜な夜な繰り出していた頃までは良かったが、株で失敗すると途端に行き詰まり、ついには北千住の場末のスナックに通うぐらいのことしかできなくなってしまった。孫を東武動物公園に連れて行くのが楽しみの静かな余生を送っているが内心は「築地で寿司でも食いたいぜ!」ぐらいのことは考えているのかも。次男の「千代田線」はというと、これは長男とは対照的に生真面目な性格だ。霞ヶ関でも大手町でも勤められるぐらい勉強もしたし、古いモノを長く大切に使うなど節約にも努めたが真面目なだけでは、所詮ただの凡才。結局、大した金も残せず、流れ着いた先はやはり北千住の飲み屋。インテリらしく最近は「散歩の達人」を片手に谷中銀座あたりを徘徊しているようだ。そんな二人の兄を尻目に最も成功したのが末っ子の「半蔵門線」だ。甘えっ子で小さい頃は親の銀座線にベッタリだったのに、ひとたび親元を離れるとスカイツリーなる下町の最もオイシイ部分をかっさらっていってしまった。末っ子やるなぁ。……と、まあ、こんな個性豊かな3人の子どもが必要となった理由は、それだけ銀座線が混むからだ。銀座線だけが東京のメインストリートであり、他の路線はそもそも銀座線のローカルなバイパスでしかなく、直通先の郊外沿線民をいかに銀座線に頼らず都心に運ぶかを命題として計画されている。<<★はぁ~花は上野よ~、ちょいと柳は銀座~! >>銀座線は新橋を境に大きく2つに分けることができ、その理由は銀座線の歴史を調べてもらえばすぐにわかるのだが、まずは中央通りを走る浅草~新橋間から。この区間はズバリ、パリでいうメトロ1号線のようなものだ。シャンゼリゼだ。リヴォリ通りだ。革命記念日のパレードはないけど、巨人軍の優勝パレードはあるぞ。また隅田川花火大会でも大活躍するなどイベントにもことかかない。銀座線車内は曜日、時間を問わず四六時中賑わっていて、まさに東京の華といえる区間だ。が、同時にこの区間は東京の中でも長期低迷にあえぎ続けているという顔も持つ。そもそも上野広小路などは銀座と共に都内一の地価だったのだが、とうにその面影はない。特に中央通り沿道の百貨店の売り上げはどこも非常に芳しくない。マスコミからは銀座の新ブティック出店やアキバの隆盛など華々しさばかりが伝わってくるが、大局的には超長期低迷傾向から抜け出したとはとてもいえないだろう。隣の昭和通りなどはすでにオフィスの再開発から見放されつつあり、これでは中央通りとは名ばかりの都心の「東端」通りという有様に掛け値無しになりつつある流れだ。<<★今日は渋谷で、5時! >>逆に勢いを増しているのが渋谷~新橋の主に246区間だ。ちなみに、渋谷~新橋といえば都バスの方でも都01という看板路線である。この区間の赤坂から虎ノ門、新橋、にかけては大丸有(大手町、丸の内、有楽町)に次ぐほどの業務集積地帯であり、特に朝は赤坂見附で丸ノ内線から大量の通勤客が乗り移ってくるために混雑が酷い。一方で、休日のこの区間はさほど混んでいる印象はない。イメージはともかく実態としては渋谷、表参道、新宿で買い物を済まして銀座までは行かない人がそれだけ多いということだ。さて、終点の渋谷であるが、こちらは大改造が計画されている。渋谷上空から東急東横店に突っ込み、改札と百貨店の売り場が一体化しているという、地下鉄随一のアクロバティックもいずれ見納めになる。具体的内容はというと銀座線のホームが現在の位置から文化会館跡地の「渋谷ヒカリエ」内に移動するという、井の頭沿線民涙目なシロモノ。そのことが東京にどういう変化をもたらすのか。銀座線は知っている。思えば地下鉄が東京で最初に開業したのは浅草-上野間だったし、東京初の高層建築物も電動式エレベータも浅草からだった。今はその反対側の渋谷でダイナミックな変化が起きている。と、同時に日本橋や京橋でもビルの共同化を伴う建て替えが動き始めており、都心機能のこれ以上の流出に待ったをかけている。銀座線とは最も古く、それでいて常に新しい東京を教えてくれる路線なのかもしれない。 | #'''解説''' <<★昭和の頃から~、エースで4番~! >> 丸ノ内線と双璧をなす、東京メトロのエース路線である。中央通りと246という東京の二大目抜き通りの下を走っていると言えば、もうそれ以上の説明など不要であろう。よって、沿線には住宅もスーパーもほとんどなく、最も生活感の無い路線でもある。代わりに「お出かけ」という言葉がこれほど似合う路線はJRも含めて他にはない。「銀座線でお出かけ」。この言い回しは銀座線だからこそ美しく響くのであって、これが「東西線でお出かけ」だと、首にタオル巻いて江戸川にハゼ釣りに行くようにしか聞こえないのだから、まったくイメージとは恐ろしいものだ。なお、銀座線には親の家業を手伝う3人の子どもがおり、それぞれに人生という名の道を歩んでいるようだ。ちょっとだけ紹介すると、長男の「日比谷線」は六本木のバーで外国人をひっかけるほどの遊び人だ。自分では要領が良いつもりらしく、「法律なんて穴だらけさ」と有頂天になり、銀座のクラブに夜な夜な繰り出していた頃までは良かったが、株で失敗すると途端に行き詰まり、ついには北千住の場末のスナックに通うぐらいのことしかできなくなってしまった。孫を東武動物公園に連れて行くのが楽しみの静かな余生を送っているが内心は「築地で寿司でも食いたいぜ!」ぐらいのことは考えているのかも。次男の「千代田線」はというと、これは長男とは対照的に生真面目な性格だ。霞ヶ関でも大手町でも勤められるぐらい勉強もしたし、古いモノを長く大切に使うなど節約にも努めたが真面目なだけでは、所詮ただの凡才。結局、大した金も残せず、流れ着いた先はやはり北千住の飲み屋。インテリらしく最近は「散歩の達人」を片手に谷中銀座あたりを徘徊しているようだ。そんな二人の兄を尻目に最も成功したのが末っ子の「半蔵門線」だ。甘えっ子で小さい頃は親の銀座線にベッタリだったのに、ひとたび親元を離れるとスカイツリーなる下町の最もオイシイ部分をかっさらっていってしまった。末っ子やるなぁ。……と、まあ、こんな個性豊かな3人の子どもが必要となった理由は、それだけ銀座線が混むからだ。銀座線だけが東京のメインストリートであり、他の路線はそもそも銀座線のローカルなバイパスでしかなく、直通先の郊外沿線民をいかに銀座線に頼らず都心に運ぶかを命題として計画されている。<<★はぁ~花は上野よ~、ちょいと柳は銀座~! >>銀座線は新橋を境に大きく2つに分けることができ、その理由は銀座線の歴史を調べてもらえばすぐにわかるのだが、まずは中央通りを走る浅草~新橋間から。この区間はズバリ、パリでいうメトロ1号線のようなものだ。シャンゼリゼだ。リヴォリ通りだ。革命記念日のパレードはないけど、巨人軍の優勝パレードはあるぞ。また隅田川花火大会でも大活躍するなどイベントにもことかかない。銀座線車内は曜日、時間を問わず四六時中賑わっていて、まさに東京の華といえる区間だ。が、同時にこの区間は東京の中でも長期低迷にあえぎ続けているという顔も持つ。そもそも上野広小路などは銀座と共に都内一の地価だったのだが、とうにその面影はない。特に中央通り沿道の百貨店の売り上げはどこも非常に芳しくない。マスコミからは銀座の新ブティック出店やアキバの隆盛など華々しさばかりが伝わってくるが、大局的には超長期低迷傾向から抜け出したとはとてもいえないだろう。隣の昭和通りなどはすでにオフィスの再開発から見放されつつあり、これでは中央通りとは名ばかりの都心の「東端」通りという有様に掛け値無しになりつつある流れだ。<<★今日は渋谷で、5時! >>逆に勢いを増しているのが渋谷~新橋の主に246区間だ。ちなみに、渋谷~新橋といえば都バスの方でも都01という看板路線である。この区間の赤坂から虎ノ門、新橋、にかけては大丸有(大手町、丸の内、有楽町)に次ぐほどの業務集積地帯であり、特に朝は赤坂見附で丸ノ内線から大量の通勤客が乗り移ってくるために混雑が酷い。一方で、休日のこの区間はさほど混んでいる印象はない。イメージはともかく実態としては渋谷、表参道、新宿で買い物を済まして銀座までは行かない人がそれだけ多いということだ。さて、終点の渋谷であるが、こちらは大改造が計画されている。渋谷上空から東急東横店に突っ込み、改札と百貨店の売り場が一体化しているという、地下鉄随一のアクロバティックもいずれ見納めになる。具体的内容はというと銀座線のホームが現在の位置から文化会館跡地の「渋谷ヒカリエ」内に移動するという、井の頭沿線民涙目なシロモノ。そのことが東京にどういう変化をもたらすのか。銀座線は知っている。思えば地下鉄が東京で最初に開業したのは浅草-上野間だったし、東京初の高層建築物も電動式エレベータも浅草からだった。今はその反対側の渋谷でダイナミックな変化が起きている。と、同時に日本橋や京橋でもビルの共同化を伴う建て替えが動き始めており、都心機能のこれ以上の流出に待ったをかけている。銀座線とは最も古く、それでいて常に新しい東京を教えてくれる路線なのかもしれない。 | ||
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*'''有楽町線''' | *'''有楽町線''' | ||
#'''【沿線ランドマーク】'''サンシャイン60、名門国公立校、東京国際フォーラム、佃リバーシティ | #'''【沿線ランドマーク】'''サンシャイン60、名門国公立校、東京国際フォーラム、佃リバーシティ | ||
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#'''【料理に例えると…】'''モスのライスバーガー | #'''【料理に例えると…】'''モスのライスバーガー | ||
#'''解説''' <<★「叩かれたりもするけれど、私はげんきです。」 >> すでに霞ヶ関をも越え、表参道すら射程圏内…有楽町線の豊洲駅の乗降客数の話である。現在、メトロの駅別乗降人員順位17位で131,069人。営団最後の03年度の数字を紐解いてみると、65位で50,588人。最新09年度の増加率も上位駅が全てマイナスの中、豊洲だけ6.7パーセント増と、中国経済を思わせるような高成長を維持し続けている。有楽町線の元気印、豊洲の快進撃はさらに続く。10年夏現在、3丁目に超大型オフィスビルが3棟並んで建設中。さらに2丁目にも業務用の広大な空き地。これらが完成すると豊洲2・3丁目の就業人口は3万3千人にものぼると見られており、あの汐留の就業人口が6万1千人であることを考えてもこれは相当な数だ。さらにさらに豊洲6丁目でも超高層オフィスやマンションの計画が具体化しているのだから、豊洲駅の利用客は今後も、「倍率ドン! さらに倍!!」状態。そんなわけで想定外の豊洲の成長に対応するため、改札を増やすなど豊洲駅は大規模改修の真っ最中である。有楽町線ではもう一つ、大がかりな改修がおこなわれている。小竹向原~千川間の連絡線だ。これは併走している副都心線との複雑なダイヤの中で生じる平面交差を解消するためのもの。掘削によるトンネル新設という大胆な追加投資に若者×ファッション×東横=副都心線に対する東京メトロの意気込みが伺える。なお、2009年1月~5月に売り出された中古マンション価格は首都県全体で10%近く下落した中、副都心線併走区間の小竹向原は5.4%、平和台は4.0%も上昇するなど、こちらも元気。こうして数字を見ると朝ラッシュ時の遅延や埋立て地に対する色んな意見もあるが、有楽町線は総じて成長している路線とみて間違いなさそうだ。<<★さあ、ミッキーのぼうしを買って、おうちに帰ろう>>有楽町線の名物と言えば新木場から乗り込んでくるディズニー帰りの若者&ファミリーであろう。東京駅での京葉線の不便さやりんかい線の運賃の高さを考えれば、なるほどディズニー路線として有楽町線を利用するのは理に適っている。そこへもってきて豊洲からはキッザニア帰りのファミリーまで合流してきて、さらには東池袋に子ども連れ御用達のサンシャインシティまで存在するのだ。こうしてみると不思議なくらいニューファミリーのお出かけ先は有楽町線に集中している。まあ、東側で下町ではなく湾岸を通っているのが大きいのだろうが、加えて有楽町線沿線には名門の国立や私立校も多いので自然と子どもの姿を他の路線よりも多く見かけるのだ。他の多くの路線が消し去りがたい昭和臭と加齢臭に悩まされているのに比べれば何とも対照的ではないか。<<★有楽町が東京のピカデリー・サーカスになるとき >>さて、そんな有楽町線はそもそも丸ノ内線の混雑緩和を担った後発のバイパス路線であった。それも丸ノ内線の「東京の拠点間を結ぶが、その間は住宅街」という性格まで受け継がれた。例えば麹町・番町などは非常に格式高い高級住宅街ではあったが、今のようなオフィス街ではなかった。飯田橋も然り。相次ぐ大規模再開発でオフィスが集積してきたのはほんの最近の話。そう、有楽町線は他の地下鉄のように都心の一等地を舐めるように走ることは叶わなかったが、代わりに自力でオフィス街を育て上げている路線であり、その流れの中で捉えれば、前述の豊洲再開発さえ、昔から脈々と続く有楽町線のライフワークの一環といえるだろう。さらにもう一つ、有楽町線の後発ゆえの独自色を挙げるとすれば、なんと開業時に自動改札が東京の他の路線に先立って導入されたていた先進性がある。しかしこれは美談でも何でもない。有楽町線は他の路線に乗り換える際に必ず改札を通らなければならない構造だったため、自動改札が導入しやすかっただけという話なのだ。ようはそれだけ乗り換えが不便ということ。今でこそ半蔵門線や南北線とは改札内で乗り換え可能だが他の路線との相性はすこぶる悪い。その極めつけが永田町、桜田門、有楽町、銀座一丁目の4駅だろう。いずれも赤坂見附、霞ヶ関、日比谷、銀座と通ってくれれば他の地下鉄との乗り換えが便利なのに、有楽町線独自の駅を一途に造ってしまったKYぶり。なお、この旧・自動改札は有楽町線以外の切符を投入してしまう利用客が相次ぎ、のちに撤去されたというのだから有楽町線のグダグダっぷりは、これまた昔からの伝統なのかもしれない。混乱をきたしながらも新しいシステムと街興しに果敢に挑戦し、子どもにまでその支持を広げるフロンティアな有楽町線。おそらく次なるターゲットは拠点「有楽町」だろう。実はこの有楽町駅の周辺は丸の内側も有楽町側も敷地の巨大な古いビルが未だゴロゴロしているという開発業者からすれば都心の宝の山みたいな土地なのだ。銀座と丸の内仲通りを結ぶ立地特性からして、いずれの区画も単なる超高層オフィスにとどまらず、低層階に大規模商業施設を設けてくるのは想像に難くない。そうなればすでに勢いづいている銀座マロニエ通りとの連携もあり、銀座の商業地図を一気に塗り替えるインパクトを持つ。その先に待つモノとは? 都心からはぐれたKYな路線だった有楽町線が、東京の中心と称されるときがいつの日か、来るのだろうか? | #'''解説''' <<★「叩かれたりもするけれど、私はげんきです。」 >> すでに霞ヶ関をも越え、表参道すら射程圏内…有楽町線の豊洲駅の乗降客数の話である。現在、メトロの駅別乗降人員順位17位で131,069人。営団最後の03年度の数字を紐解いてみると、65位で50,588人。最新09年度の増加率も上位駅が全てマイナスの中、豊洲だけ6.7パーセント増と、中国経済を思わせるような高成長を維持し続けている。有楽町線の元気印、豊洲の快進撃はさらに続く。10年夏現在、3丁目に超大型オフィスビルが3棟並んで建設中。さらに2丁目にも業務用の広大な空き地。これらが完成すると豊洲2・3丁目の就業人口は3万3千人にものぼると見られており、あの汐留の就業人口が6万1千人であることを考えてもこれは相当な数だ。さらにさらに豊洲6丁目でも超高層オフィスやマンションの計画が具体化しているのだから、豊洲駅の利用客は今後も、「倍率ドン! さらに倍!!」状態。そんなわけで想定外の豊洲の成長に対応するため、改札を増やすなど豊洲駅は大規模改修の真っ最中である。有楽町線ではもう一つ、大がかりな改修がおこなわれている。小竹向原~千川間の連絡線だ。これは併走している副都心線との複雑なダイヤの中で生じる平面交差を解消するためのもの。掘削によるトンネル新設という大胆な追加投資に若者×ファッション×東横=副都心線に対する東京メトロの意気込みが伺える。なお、2009年1月~5月に売り出された中古マンション価格は首都県全体で10%近く下落した中、副都心線併走区間の小竹向原は5.4%、平和台は4.0%も上昇するなど、こちらも元気。こうして数字を見ると朝ラッシュ時の遅延や埋立て地に対する色んな意見もあるが、有楽町線は総じて成長している路線とみて間違いなさそうだ。<<★さあ、ミッキーのぼうしを買って、おうちに帰ろう>>有楽町線の名物と言えば新木場から乗り込んでくるディズニー帰りの若者&ファミリーであろう。東京駅での京葉線の不便さやりんかい線の運賃の高さを考えれば、なるほどディズニー路線として有楽町線を利用するのは理に適っている。そこへもってきて豊洲からはキッザニア帰りのファミリーまで合流してきて、さらには東池袋に子ども連れ御用達のサンシャインシティまで存在するのだ。こうしてみると不思議なくらいニューファミリーのお出かけ先は有楽町線に集中している。まあ、東側で下町ではなく湾岸を通っているのが大きいのだろうが、加えて有楽町線沿線には名門の国立や私立校も多いので自然と子どもの姿を他の路線よりも多く見かけるのだ。他の多くの路線が消し去りがたい昭和臭と加齢臭に悩まされているのに比べれば何とも対照的ではないか。<<★有楽町が東京のピカデリー・サーカスになるとき >>さて、そんな有楽町線はそもそも丸ノ内線の混雑緩和を担った後発のバイパス路線であった。それも丸ノ内線の「東京の拠点間を結ぶが、その間は住宅街」という性格まで受け継がれた。例えば麹町・番町などは非常に格式高い高級住宅街ではあったが、今のようなオフィス街ではなかった。飯田橋も然り。相次ぐ大規模再開発でオフィスが集積してきたのはほんの最近の話。そう、有楽町線は他の地下鉄のように都心の一等地を舐めるように走ることは叶わなかったが、代わりに自力でオフィス街を育て上げている路線であり、その流れの中で捉えれば、前述の豊洲再開発さえ、昔から脈々と続く有楽町線のライフワークの一環といえるだろう。さらにもう一つ、有楽町線の後発ゆえの独自色を挙げるとすれば、なんと開業時に自動改札が東京の他の路線に先立って導入されたていた先進性がある。しかしこれは美談でも何でもない。有楽町線は他の路線に乗り換える際に必ず改札を通らなければならない構造だったため、自動改札が導入しやすかっただけという話なのだ。ようはそれだけ乗り換えが不便ということ。今でこそ半蔵門線や南北線とは改札内で乗り換え可能だが他の路線との相性はすこぶる悪い。その極めつけが永田町、桜田門、有楽町、銀座一丁目の4駅だろう。いずれも赤坂見附、霞ヶ関、日比谷、銀座と通ってくれれば他の地下鉄との乗り換えが便利なのに、有楽町線独自の駅を一途に造ってしまったKYぶり。なお、この旧・自動改札は有楽町線以外の切符を投入してしまう利用客が相次ぎ、のちに撤去されたというのだから有楽町線のグダグダっぷりは、これまた昔からの伝統なのかもしれない。混乱をきたしながらも新しいシステムと街興しに果敢に挑戦し、子どもにまでその支持を広げるフロンティアな有楽町線。おそらく次なるターゲットは拠点「有楽町」だろう。実はこの有楽町駅の周辺は丸の内側も有楽町側も敷地の巨大な古いビルが未だゴロゴロしているという開発業者からすれば都心の宝の山みたいな土地なのだ。銀座と丸の内仲通りを結ぶ立地特性からして、いずれの区画も単なる超高層オフィスにとどまらず、低層階に大規模商業施設を設けてくるのは想像に難くない。そうなればすでに勢いづいている銀座マロニエ通りとの連携もあり、銀座の商業地図を一気に塗り替えるインパクトを持つ。その先に待つモノとは? 都心からはぐれたKYな路線だった有楽町線が、東京の中心と称されるときがいつの日か、来るのだろうか? | ||
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*'''都営三田線''' | *'''都営三田線''' | ||
− | + | #'''【沿線ランドマーク】'''高島平団地、巣鴨とげ抜き地蔵、芝増上寺、慶應大学 | |
#'''【利用者イメージ】'''ステッキを持った老人、白髪のサラリーマン、町のおばあちゃん | #'''【利用者イメージ】'''ステッキを持った老人、白髪のサラリーマン、町のおばあちゃん | ||
#'''【料理に例えると…】'''地蔵通りの揚げまんじゅう | #'''【料理に例えると…】'''地蔵通りの揚げまんじゅう | ||
#'''解説''' <<★東京メトロには「ある」けど、都営地下鉄には「ない」 >> 世間では営団は儲かりそうな一等地の路線をとって、都営は儲かりそうもない不便な路線を押しつけられたと言われている。しかしこの言は、こと三田線にはあてはまらない。大手町や日比谷という都心の中枢をちゃんとおさえているし、内幸町は独自の駅だが新橋や虎ノ門の最寄りとしても機能する。都営どころかメトロにおいても三田線ほど千代田、港の両区のビジネス超一等地をおさえた路線は見あたらないのだ。だから都営地下鉄は不便な場所を押しつけられたいうのは正確ではない。じゃあ、営団=東京メトロにあって都営にないものの本当の正体とはなんであろう?<<★東西線には「ある」けど、三田線には「ない」 >>その答えは同じく大手町に通じる東西線と三田線を比較することでみえてくる。この2線はなかなか共通点が多く、大手町もそうだが、両線とも近郊に高架区間があるし、若者の集まる都心繁華街を通っていないオヤジ路線という点もクリソツだ。しかしそんな2線の利用状況はあまりにも対照的で、かたや私鉄随一の地獄通勤で有名なあの「東西線」であるのに対し、もう片方は8両編成分のホーム長が用意されているにもかかわらず未だに6両の短編成で、しかもラッシュ時においても本数、車内共にまだまだ余裕があり、さらに山手線ゲームをしようものなら絶対に最後まで名前を思い浮かべてもらえない、あの「三田線」なのだ。この差はなにか? 都心区間の優劣はない。となると、鍵になるのは高架区間だ。東西線の高架は長大かつ運行上条件の良い直線で、いかに当時のこのエリアが未開の地であったかを忍ばせる。さらに総武線、東葉高速とも直通しており、今なお沿線人口は増加中。一方で、三田線はというと、高架に突入したと思ったら既存市街地を避けるようにグネグネと曲がって高島平エリアに突入したと思ったらもうお終い。あなたは西高島平の地に降り立ったことがありますか? あそこの「地の果て」感はハンパではない。だが決して田舎ではないのだ。<<★三田線の役目は盆栽の剪定? >>もうお分かりだろうが、都営地下鉄にないもの、そのかでもとりわけ三田線にないもの。それは「成長余力」なのだ。三田線は志村までは中山道を走っていた都電の置き換えである。つまりもともと古くから宿場町として栄えていた場所なのだ。その先の高島平団地にしたって住人がハコに収まってさえしまえば、まったく発展の余地は無くなってしまう。これではどんなに通勤に便利な路線でも人が増え、暮らしやすくなり、沿線が活性化する余地がないのだ。完成された下町と団地、そして限られた直通先。これが都営の袋小路の正体だ。それに比べて東京メトロはどうだ? 日比谷線は広大な足立区を開発したし、千代田線は不便な常磐線にとってかわる足である。半蔵門線は多摩田園都市をブランド化する一助となったし、有楽町線に至っては東京湾でゴミの島を、練馬で田畑を宅地化するフロンティアっぷり。都営にも一応は将来の直通計画もあった。例えば三田線は和光市から東武東上線に直通する計画もあったし、戸田方面に延伸する計画もあった。目黒側では港北ニュータウンまで伸びる計画まで存在したのだが、現実的にはいずれも実を結んでいない。営団=東京メトロは広大な果樹園を買って、都営地下鉄は庭先の盆栽を買った、とまで言ったら大袈裟だろうか?<<★おれ、昇天なう >> 成長余力のない以上、あとは老け込んでいくしか道が残されていない。三田線は意外にも大手町を通る5線の中では2番目に新しいのだが、そうは思えないほど老け込んでいる。やはり若さに乏しい文京区を抜けて「おばあちゃんの原宿」こと巣鴨でお年寄りを拾い上げると、やたらと停車駅の多い板橋区に到達する。時間の有り余る年寄りにしてみればこまめに駅を設けてくれたほうが有り難いのだろう。おまけに「○○へお越しの方は、お降り下さい」なんて路線バスさながらのアナウンスまで流れてくる。しかもその「○○」の中身が2駅連続で介護付き有料老人ホームなのだから恐れ入る。やがて地下区間は終わり、天上からの光が差し込んでくると、相変わらずノタノタ走行する電車の車窓から目にいきなり飛び込んでくるのが「ひかりのくに」と記された謎の看板。ここはもう東京の果て「西高島平」。ご乗車、お疲れ様でした。この先にはもう何もありません。色んな意味で。…が、かといって三田線の将来は暗いわけではない。自慢の大丸有から新橋まで網羅した都心部がビジネス街として地盤沈下することなど考えられないし、そういう面では銀座線や日比谷線などよりも、よほど将来に渡って安泰だ。また浅草線のようなブルーカラーっぽさもないし、乗客は確かに年寄りが多いけどなかなか品の良い服を身につけていたりもする。将来、目黒線経由で相鉄の電車が乗り入れてくるようになっても、三田線が成長するとは思えないが、むしろ都営地下鉄が東京メトロと合併したときに、三田線は世間から見直されるかもしれない。だって都心への通勤、ビジネスには本当に便利なんだから!開発余力のない三田線にとって、イメージ、認知度の向上は利用者増加の切り札なのだ。 | #'''解説''' <<★東京メトロには「ある」けど、都営地下鉄には「ない」 >> 世間では営団は儲かりそうな一等地の路線をとって、都営は儲かりそうもない不便な路線を押しつけられたと言われている。しかしこの言は、こと三田線にはあてはまらない。大手町や日比谷という都心の中枢をちゃんとおさえているし、内幸町は独自の駅だが新橋や虎ノ門の最寄りとしても機能する。都営どころかメトロにおいても三田線ほど千代田、港の両区のビジネス超一等地をおさえた路線は見あたらないのだ。だから都営地下鉄は不便な場所を押しつけられたいうのは正確ではない。じゃあ、営団=東京メトロにあって都営にないものの本当の正体とはなんであろう?<<★東西線には「ある」けど、三田線には「ない」 >>その答えは同じく大手町に通じる東西線と三田線を比較することでみえてくる。この2線はなかなか共通点が多く、大手町もそうだが、両線とも近郊に高架区間があるし、若者の集まる都心繁華街を通っていないオヤジ路線という点もクリソツだ。しかしそんな2線の利用状況はあまりにも対照的で、かたや私鉄随一の地獄通勤で有名なあの「東西線」であるのに対し、もう片方は8両編成分のホーム長が用意されているにもかかわらず未だに6両の短編成で、しかもラッシュ時においても本数、車内共にまだまだ余裕があり、さらに山手線ゲームをしようものなら絶対に最後まで名前を思い浮かべてもらえない、あの「三田線」なのだ。この差はなにか? 都心区間の優劣はない。となると、鍵になるのは高架区間だ。東西線の高架は長大かつ運行上条件の良い直線で、いかに当時のこのエリアが未開の地であったかを忍ばせる。さらに総武線、東葉高速とも直通しており、今なお沿線人口は増加中。一方で、三田線はというと、高架に突入したと思ったら既存市街地を避けるようにグネグネと曲がって高島平エリアに突入したと思ったらもうお終い。あなたは西高島平の地に降り立ったことがありますか? あそこの「地の果て」感はハンパではない。だが決して田舎ではないのだ。<<★三田線の役目は盆栽の剪定? >>もうお分かりだろうが、都営地下鉄にないもの、そのかでもとりわけ三田線にないもの。それは「成長余力」なのだ。三田線は志村までは中山道を走っていた都電の置き換えである。つまりもともと古くから宿場町として栄えていた場所なのだ。その先の高島平団地にしたって住人がハコに収まってさえしまえば、まったく発展の余地は無くなってしまう。これではどんなに通勤に便利な路線でも人が増え、暮らしやすくなり、沿線が活性化する余地がないのだ。完成された下町と団地、そして限られた直通先。これが都営の袋小路の正体だ。それに比べて東京メトロはどうだ? 日比谷線は広大な足立区を開発したし、千代田線は不便な常磐線にとってかわる足である。半蔵門線は多摩田園都市をブランド化する一助となったし、有楽町線に至っては東京湾でゴミの島を、練馬で田畑を宅地化するフロンティアっぷり。都営にも一応は将来の直通計画もあった。例えば三田線は和光市から東武東上線に直通する計画もあったし、戸田方面に延伸する計画もあった。目黒側では港北ニュータウンまで伸びる計画まで存在したのだが、現実的にはいずれも実を結んでいない。営団=東京メトロは広大な果樹園を買って、都営地下鉄は庭先の盆栽を買った、とまで言ったら大袈裟だろうか?<<★おれ、昇天なう >> 成長余力のない以上、あとは老け込んでいくしか道が残されていない。三田線は意外にも大手町を通る5線の中では2番目に新しいのだが、そうは思えないほど老け込んでいる。やはり若さに乏しい文京区を抜けて「おばあちゃんの原宿」こと巣鴨でお年寄りを拾い上げると、やたらと停車駅の多い板橋区に到達する。時間の有り余る年寄りにしてみればこまめに駅を設けてくれたほうが有り難いのだろう。おまけに「○○へお越しの方は、お降り下さい」なんて路線バスさながらのアナウンスまで流れてくる。しかもその「○○」の中身が2駅連続で介護付き有料老人ホームなのだから恐れ入る。やがて地下区間は終わり、天上からの光が差し込んでくると、相変わらずノタノタ走行する電車の車窓から目にいきなり飛び込んでくるのが「ひかりのくに」と記された謎の看板。ここはもう東京の果て「西高島平」。ご乗車、お疲れ様でした。この先にはもう何もありません。色んな意味で。…が、かといって三田線の将来は暗いわけではない。自慢の大丸有から新橋まで網羅した都心部がビジネス街として地盤沈下することなど考えられないし、そういう面では銀座線や日比谷線などよりも、よほど将来に渡って安泰だ。また浅草線のようなブルーカラーっぽさもないし、乗客は確かに年寄りが多いけどなかなか品の良い服を身につけていたりもする。将来、目黒線経由で相鉄の電車が乗り入れてくるようになっても、三田線が成長するとは思えないが、むしろ都営地下鉄が東京メトロと合併したときに、三田線は世間から見直されるかもしれない。だって都心への通勤、ビジネスには本当に便利なんだから!開発余力のない三田線にとって、イメージ、認知度の向上は利用者増加の切り札なのだ。 | ||
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*'''半蔵門線''' | *'''半蔵門線''' | ||
#'''【沿線ランドマーク】'''東急本店、イギリス大使館、日本武道館、三井本館 | #'''【沿線ランドマーク】'''東急本店、イギリス大使館、日本武道館、三井本館 | ||
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#'''【料理に例えると…】'''午後の紅茶(キリンビバレッジ)に、ビスケット(は森永) | #'''【料理に例えると…】'''午後の紅茶(キリンビバレッジ)に、ビスケット(は森永) | ||
#'''解説''' <<★地獄の沙汰も、東急しだい >>当線の最大の特徴は、渋谷を挟んで東急田園都市線と完全に一体化していることである。田園都市線の全ての電車はほぼ例外なくそのまま半蔵門線となるし、逆もまた然りだ。自社ターミナルのテリトリーを奪われまいとして、1時間あたり2~4本程度の名ばかり直通でお茶を濁している路線が多い中、これは立派と言える。また、渋谷を介した直通であるため、朝の通勤は直通電車の恩恵を受けながらも、帰りは渋谷で飲んで帰ることが可能だ。最近は混雑緩和のため、東急も大井町や目黒経由の都心通勤を奨励したりもしているが、誰がどう考えても渋谷経由の定期券のほうがそりゃ魅力的だ。ただし、完全直通の欠点として、渋谷始発の電車がほとんど無いため、座って帰ることができない。さらに渋谷駅ホームはその利用客の多さからすると、あまりにも普通の地下鉄然としたホームの規模で、朝も夜も乗客を捌ききれずに定時運行上のボトルネックとなっている。行きも地獄、帰りも地獄とはまさにこのことを言う。結局、どういう直通の形が便利かは、意見の分かれるところだ。とはいえ、この渋谷を介した大手町までの完全直通形態が東急田園都市線沿線の発展をもたらしたのは間違いないであろう。ただの田舎電車でしかなかった田園都市線が新玉川線(今の二子玉川~渋谷)と直通運転を開始した翌昭和53年に半蔵門線が青山一丁目まで開業。当時は渋谷駅の管轄が営団でありながら、半蔵門線の車両は全て東急車でまかなわれていたあたり、半蔵門線と東急の一体ぶりがうかがえる。現在でも東京メトロ所有の車両基地が川崎市の鷺沼にあるなど、世の仮面夫婦に煎じて飲ませたいほどの蜜月ぶりだ。なお、その名の示すとおり、渋谷~半蔵門の部分開業の時代が比較的長かったが、表参道で銀座線と同じ島ホームで乗り換え可能なため、さほど不便ではなかったであろう。また、銀座線に限らず、半蔵門線は他の多くの地下鉄と乗り換える機会に恵まれている。その混雑をもってして、東の東西線、西の田園都市線と称されるが、多くの地下鉄と乗り換え可能な点においても東西線と半蔵門線は似ているのだ。ただし、後発故か半蔵門線の駅は特に渋谷、永田町、大手町、三越前といった主要駅においてホームがとても深く、かなりの上下動を要求されるので注意が必要だ。一方、最近は押上より東武伊勢崎線とも直通運転をしているが、東急とは異なり、急行と準急が乗り入れるだけなので都内での認知度は低い。また東武側から都心へ到達するには錦糸町を通る迂回ルートとなるために、速達性においても疑問符がつき、流入客も少ない。そのくせ、田園都市線、半蔵門線内においてはむしろ東武の車両が最も多く、北関東に地縁でもないかぎり聞き慣れない地名の車内広告や行き先で、奇妙な存在感を示している。<<★半蔵門線の将来は「2位じゃダメなんですか?」 >> ところで、半蔵門線には独特のちょっとしたおもしろい現象がある。沿線イメージ調査の結果がやたらとハイスコアなのだ。ここに不動産ポータルサイトの「HOME'S」が2006年に地下鉄各線のユーザーにおこなった満足度調査の結果がある。総合満足度1位が南北線で最下位が東西線、ブービーが千代田線、銀座線も下位であることからして、「混雑の激しい路線ほどユーザーの評価が低くなるんだな」と思いきや、さにあらず。かなりの混雑路線の半蔵門線がなぜか南北線に次いで満足度2位という結果。ここいらあたりからしてすでに半蔵門線ユーザー=田園都市線沿線住民の独特の自己陶酔的な意識が垣間見えてくる。さらに結果をみてみよう。各路線で想起する沿線イメージの上位3位までをかいつまんでみると半蔵門線のイメージの2位は「おしゃれ」という結果がでている。おしゃれイメージが3位までに入っているのは地下鉄12線(副都心線未開業)中、半蔵門線だけだ。逆に半蔵門線と銀座線をのぞく全ての路線でイメージ上位3までに「庶民的」という答えが入っている。あの日比谷線ですら最もイメージされる答えの1位が「庶民的」なのだ。なぜ半蔵門線だけが「おしゃれ」なのか? 理解に苦しむ反応としか言いようがない。さらにさらに。半蔵門線のイメージ3位は「美味しいお店が多い」。もう何をか況や、である。「おしゃれ」にしてもそうだが、半蔵門線沿線で該当するのはどう好意的に見繕ってもせいぜい表参道、青山エリアくらいだ。「美味しいお店が多い」に関しては日比谷線も銀座線も3位にはいっているのだが、日比谷線や銀座線と並んで、もしくは差し置いて「美味しいお店が多い」と答える神経の図太さたるや、並大抵のものではない。極めつけは半蔵門線のイメージ1位。「これから発展していくと思う」。……残念ながら東京の開発計画を俯瞰してみる限り、半蔵門線だけがことさら発展していきそうな気配などまるでない。大手町はもちろん連鎖再開発が進むだろうが、大手町は半蔵門線に限ったエリアではないし、あとは日本橋室町で三井が大規模開発をおこなっているが、これは発展というよりも丸の内や港区にこれ以上置いて行かれまいとする焦りやもがきにみえる。押上のスカイツリーにしても田園都市線住民の意味する発展とは違うものだろう。オシャレ、グルメ、発展。わかりやすいけど、この痛々しいまでの上昇志向は成熟しきった今の日本にあっては、かえって沿線発展の妨げにすらなっているのではないかと思う。事実、利用者が増え続けていると信じられていた田園都市線もここ数年はほとんどの駅で乗降客数が減少を続けるなど陰りがみえるのだ。とはいえ、この田園都市線によってもたらされる半蔵門線の好イメージは、それだけ両線が一つの路線として認識されている証であろう。日比谷線や千代田線がこれまた実態とは乖離して庶民的にみられてしまうのも、東武伊勢崎線や、常磐線からの直通本数、流入客数が多いからといえる。東京の地下鉄のイメージは直通先との密接度によって大きく左右されてしまうのだ。なお、日経リサーチが2010年におこなった最新の地下鉄沿線イメージ調査でも都会的の項目で半蔵門線は銀座線、丸ノ内線に次ぐ3位につけている。もともと平均以上の実力を持った半蔵門線だけに、これら調査の好印象からして、ずっとイイ感じの路線でありつづけることは間違いないだろう。 | #'''解説''' <<★地獄の沙汰も、東急しだい >>当線の最大の特徴は、渋谷を挟んで東急田園都市線と完全に一体化していることである。田園都市線の全ての電車はほぼ例外なくそのまま半蔵門線となるし、逆もまた然りだ。自社ターミナルのテリトリーを奪われまいとして、1時間あたり2~4本程度の名ばかり直通でお茶を濁している路線が多い中、これは立派と言える。また、渋谷を介した直通であるため、朝の通勤は直通電車の恩恵を受けながらも、帰りは渋谷で飲んで帰ることが可能だ。最近は混雑緩和のため、東急も大井町や目黒経由の都心通勤を奨励したりもしているが、誰がどう考えても渋谷経由の定期券のほうがそりゃ魅力的だ。ただし、完全直通の欠点として、渋谷始発の電車がほとんど無いため、座って帰ることができない。さらに渋谷駅ホームはその利用客の多さからすると、あまりにも普通の地下鉄然としたホームの規模で、朝も夜も乗客を捌ききれずに定時運行上のボトルネックとなっている。行きも地獄、帰りも地獄とはまさにこのことを言う。結局、どういう直通の形が便利かは、意見の分かれるところだ。とはいえ、この渋谷を介した大手町までの完全直通形態が東急田園都市線沿線の発展をもたらしたのは間違いないであろう。ただの田舎電車でしかなかった田園都市線が新玉川線(今の二子玉川~渋谷)と直通運転を開始した翌昭和53年に半蔵門線が青山一丁目まで開業。当時は渋谷駅の管轄が営団でありながら、半蔵門線の車両は全て東急車でまかなわれていたあたり、半蔵門線と東急の一体ぶりがうかがえる。現在でも東京メトロ所有の車両基地が川崎市の鷺沼にあるなど、世の仮面夫婦に煎じて飲ませたいほどの蜜月ぶりだ。なお、その名の示すとおり、渋谷~半蔵門の部分開業の時代が比較的長かったが、表参道で銀座線と同じ島ホームで乗り換え可能なため、さほど不便ではなかったであろう。また、銀座線に限らず、半蔵門線は他の多くの地下鉄と乗り換える機会に恵まれている。その混雑をもってして、東の東西線、西の田園都市線と称されるが、多くの地下鉄と乗り換え可能な点においても東西線と半蔵門線は似ているのだ。ただし、後発故か半蔵門線の駅は特に渋谷、永田町、大手町、三越前といった主要駅においてホームがとても深く、かなりの上下動を要求されるので注意が必要だ。一方、最近は押上より東武伊勢崎線とも直通運転をしているが、東急とは異なり、急行と準急が乗り入れるだけなので都内での認知度は低い。また東武側から都心へ到達するには錦糸町を通る迂回ルートとなるために、速達性においても疑問符がつき、流入客も少ない。そのくせ、田園都市線、半蔵門線内においてはむしろ東武の車両が最も多く、北関東に地縁でもないかぎり聞き慣れない地名の車内広告や行き先で、奇妙な存在感を示している。<<★半蔵門線の将来は「2位じゃダメなんですか?」 >> ところで、半蔵門線には独特のちょっとしたおもしろい現象がある。沿線イメージ調査の結果がやたらとハイスコアなのだ。ここに不動産ポータルサイトの「HOME'S」が2006年に地下鉄各線のユーザーにおこなった満足度調査の結果がある。総合満足度1位が南北線で最下位が東西線、ブービーが千代田線、銀座線も下位であることからして、「混雑の激しい路線ほどユーザーの評価が低くなるんだな」と思いきや、さにあらず。かなりの混雑路線の半蔵門線がなぜか南北線に次いで満足度2位という結果。ここいらあたりからしてすでに半蔵門線ユーザー=田園都市線沿線住民の独特の自己陶酔的な意識が垣間見えてくる。さらに結果をみてみよう。各路線で想起する沿線イメージの上位3位までをかいつまんでみると半蔵門線のイメージの2位は「おしゃれ」という結果がでている。おしゃれイメージが3位までに入っているのは地下鉄12線(副都心線未開業)中、半蔵門線だけだ。逆に半蔵門線と銀座線をのぞく全ての路線でイメージ上位3までに「庶民的」という答えが入っている。あの日比谷線ですら最もイメージされる答えの1位が「庶民的」なのだ。なぜ半蔵門線だけが「おしゃれ」なのか? 理解に苦しむ反応としか言いようがない。さらにさらに。半蔵門線のイメージ3位は「美味しいお店が多い」。もう何をか況や、である。「おしゃれ」にしてもそうだが、半蔵門線沿線で該当するのはどう好意的に見繕ってもせいぜい表参道、青山エリアくらいだ。「美味しいお店が多い」に関しては日比谷線も銀座線も3位にはいっているのだが、日比谷線や銀座線と並んで、もしくは差し置いて「美味しいお店が多い」と答える神経の図太さたるや、並大抵のものではない。極めつけは半蔵門線のイメージ1位。「これから発展していくと思う」。……残念ながら東京の開発計画を俯瞰してみる限り、半蔵門線だけがことさら発展していきそうな気配などまるでない。大手町はもちろん連鎖再開発が進むだろうが、大手町は半蔵門線に限ったエリアではないし、あとは日本橋室町で三井が大規模開発をおこなっているが、これは発展というよりも丸の内や港区にこれ以上置いて行かれまいとする焦りやもがきにみえる。押上のスカイツリーにしても田園都市線住民の意味する発展とは違うものだろう。オシャレ、グルメ、発展。わかりやすいけど、この痛々しいまでの上昇志向は成熟しきった今の日本にあっては、かえって沿線発展の妨げにすらなっているのではないかと思う。事実、利用者が増え続けていると信じられていた田園都市線もここ数年はほとんどの駅で乗降客数が減少を続けるなど陰りがみえるのだ。とはいえ、この田園都市線によってもたらされる半蔵門線の好イメージは、それだけ両線が一つの路線として認識されている証であろう。日比谷線や千代田線がこれまた実態とは乖離して庶民的にみられてしまうのも、東武伊勢崎線や、常磐線からの直通本数、流入客数が多いからといえる。東京の地下鉄のイメージは直通先との密接度によって大きく左右されてしまうのだ。なお、日経リサーチが2010年におこなった最新の地下鉄沿線イメージ調査でも都会的の項目で半蔵門線は銀座線、丸ノ内線に次ぐ3位につけている。もともと平均以上の実力を持った半蔵門線だけに、これら調査の好印象からして、ずっとイイ感じの路線でありつづけることは間違いないだろう。 | ||
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*'''大江戸線''' | *'''大江戸線''' | ||
#'''【沿線ランドマーク】'''光が丘団地、東京都庁、港区の再開発地、中央区の超高層マンション | #'''【沿線ランドマーク】'''光が丘団地、東京都庁、港区の再開発地、中央区の超高層マンション | ||
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#'''【料理に例えると…】'''高級回転寿司 | #'''【料理に例えると…】'''高級回転寿司 | ||
#'''解説''' <<★べらんめえ! こまけぇこたぁいいんだよ!! >> まあ、大江戸線はまずもって「深い」と言われてしまう。「感慨深い」とか「味わい深い」ということではなく、単に物理的に深いのだからまいってしまう。特に新宿や六本木といったもっとも利用者の多い駅ほど深い点が、悪い印象に拍車をかける。加えて、車内の狭さもまた大江戸線の悪しき特徴だろう。圧迫感のあるところへもってきてカーブを走行中に耳をつんざくような異音に多々見舞われる。大江戸線は半ば環状線なので当然カーブは多い。どうやらあの音はブレーキ音ということらしい。大丈夫なのか?しかし、以上のような欠点は不可抗力だ。後発の路線故に、既に多くの路線が入り乱れている主要駅ほど深くなってしまうのは仕方がないし、建設費を節約するために径の小さいトンネルを採用したのも時代の要請といえる。確かにこれら問題は利便性や快適性に直結するものなので無いに越したことはないが、所詮は鉄とコンクリートの話でしかない。「コンクリートから人へ」。どっかの友愛政党のスローガンではないが、鉄道の主役は人だ。そして人がその鉄道を利用する最大の決め手となるのはそこに「街」があるからである。沿線の街に魅力があれば、どんなに駅が深くても車内が狭く煩くても人は電車に乗るだろう。<<★大江戸沿線物語 ~高台を捨て、高層へ~ >>昭和の沿線住宅開発の成功例が東急田園都市線とするなら、平成の成功例こそは、この大江戸線であろう。郊外の私鉄の高台の住宅地から、都心の地下鉄の高層マンションへと主役の座が移ったわけだ。最も象徴的なのが絵に描いたような下町の風景をハイペースで超高層マンション群に塗り替え続けている中央区の月島、勝どき界隈である。銀座に直線距離で近かったこのエリアを劇的に変貌させるきっかけになったのは、都市開発に関わる法改正と共に、大江戸線の果たした役割はとてつもなく大きい。さらにお役人もここまでの成功を予見できなかったのか、勝どき駅に至っては朝の駅構内と出入り口の混雑を解消するため、地下ホーム拡幅等の難工事を今になっておこなっているほどだ。とはいえ、昭和の田園都市線に対し平成の大江戸線と称するには、路線としての明確なイメージが大江戸線には存在しない。だいたい、家を探すにしても「大江戸線で探そう」とはなかなか考えないであろうし、「大江戸線沿線に住んでいます」と答える人も少ないと思う。このことは大江戸線が俗に「6の字」運転と言われながらも、路線図上は環状線であることに帰結する。環状線であるから、東西南北まったく性格の異なるエリアの寄り合い所帯となるし、放射状に伸びる鉄道との結節点が多く、ザ・大江戸線の駅というもの自体が多くないのだ。しかし、その散漫な沿線イメージこそが大江戸線の強みの裏返しではないだろうか?大江戸線は開通を契機に、利便性に優れる各乗換駅においてそれまで地味であった周辺の街の認知度を劇的に向上させるあまたの再開発プロジェクトをも成功させてきた。前述の月島然り、清澄白河、中野坂上、練馬、飯田橋、麻布十番、青山一丁目などあげればきりがない。それらプロジェクトの中でも最も象徴的なのがあの六本木であろう。また、大江戸線により新しい息吹を吹き込まれた街がそれぞれのブランドを独自に確立するまでになったからこそ、大江戸線としてのイメージをますます希薄にしているともいえるのだ。そんな大江戸線の沿線を結びつける唯一のキーワードが高層住宅ということになろう。大江戸線はもともと光が丘~練馬間のローカル鉄道であったが、この始発の光が丘自体が機能的な高層住宅の先駆けのような存在だ。まさに巨大公園の中に住まいがある、といった風情で公共施設も充実しているし、この環境から座って新宿や六本木、汐留の超高層ビルに通勤できるなんてある種の理想郷のようでもある。もっといえば、同じ都営でも三田線の暗いイメージ、大江戸線の明るいイメージは、高島平団地と光が丘団地の差とまでいっても過言ではないだろう。なお、光が丘は「グラント・ハイツ」と呼ばれるアメリカ空軍の家族宿舎が返還された跡地であるし、六本木一帯は「ハーディ・バラックス」と呼ばれる米軍駐留地であった。このハーディ・バラックスの跡地は現在、東京ミッドタウンや国立新美術館として六本木の新しい顔となっている。実は大江戸線はアメリカとの縁も深い路線なのである。<<★…そして江戸が色濃く残るエリアほど活気がない皮肉 >>一方で、再開発地の多い大江戸線でも高層化を頑なに拒み続ける頑固エリアが存在する。古めかしい町名を伝承し続けている牛込地区がそれだ。新宿区は条例により区内の大部分のエリアで新規の高層開発を禁じているので、せっかく大江戸線が陸の孤島から開放したにもかかわらず、隠遁者としての道を歩み続けている。また、上野御徒町、蔵前界隈に至っては、地域間競争で戦うことなど露程も考えていないような諦めムードが全体に漂っている。大江戸線は都心の南と北の勢いの差を如実に表出させたと言って良いだろう。光が丘を始発とする放射部は都庁前駅から環状部の南側に直通するように終日運転しているし、朝の最混雑区間は東西線からの乗客を南側に運ぶ門前仲町→月島間となっている。さて、今後の大江戸線であるが、光が丘から先、西側の大泉学園町方面への延伸計画が持ち上がっている。沿線としてのイメージの希薄な大江戸線ではあるが、放射部が伸びることにより通勤路線としての重量感が増し、新宿、六本木に便利な沿線としてイメージしやすくなるかもしれない。 ……、うーん、しかし、いったいどこまで江戸は大きくなるんだ?やはり「ゆめもぐら」の方が良かったのだろうか? もっとも死んでも言えないけどね。「ゆめもぐらに住んでます」なんて。恥ずかしくて… | #'''解説''' <<★べらんめえ! こまけぇこたぁいいんだよ!! >> まあ、大江戸線はまずもって「深い」と言われてしまう。「感慨深い」とか「味わい深い」ということではなく、単に物理的に深いのだからまいってしまう。特に新宿や六本木といったもっとも利用者の多い駅ほど深い点が、悪い印象に拍車をかける。加えて、車内の狭さもまた大江戸線の悪しき特徴だろう。圧迫感のあるところへもってきてカーブを走行中に耳をつんざくような異音に多々見舞われる。大江戸線は半ば環状線なので当然カーブは多い。どうやらあの音はブレーキ音ということらしい。大丈夫なのか?しかし、以上のような欠点は不可抗力だ。後発の路線故に、既に多くの路線が入り乱れている主要駅ほど深くなってしまうのは仕方がないし、建設費を節約するために径の小さいトンネルを採用したのも時代の要請といえる。確かにこれら問題は利便性や快適性に直結するものなので無いに越したことはないが、所詮は鉄とコンクリートの話でしかない。「コンクリートから人へ」。どっかの友愛政党のスローガンではないが、鉄道の主役は人だ。そして人がその鉄道を利用する最大の決め手となるのはそこに「街」があるからである。沿線の街に魅力があれば、どんなに駅が深くても車内が狭く煩くても人は電車に乗るだろう。<<★大江戸沿線物語 ~高台を捨て、高層へ~ >>昭和の沿線住宅開発の成功例が東急田園都市線とするなら、平成の成功例こそは、この大江戸線であろう。郊外の私鉄の高台の住宅地から、都心の地下鉄の高層マンションへと主役の座が移ったわけだ。最も象徴的なのが絵に描いたような下町の風景をハイペースで超高層マンション群に塗り替え続けている中央区の月島、勝どき界隈である。銀座に直線距離で近かったこのエリアを劇的に変貌させるきっかけになったのは、都市開発に関わる法改正と共に、大江戸線の果たした役割はとてつもなく大きい。さらにお役人もここまでの成功を予見できなかったのか、勝どき駅に至っては朝の駅構内と出入り口の混雑を解消するため、地下ホーム拡幅等の難工事を今になっておこなっているほどだ。とはいえ、昭和の田園都市線に対し平成の大江戸線と称するには、路線としての明確なイメージが大江戸線には存在しない。だいたい、家を探すにしても「大江戸線で探そう」とはなかなか考えないであろうし、「大江戸線沿線に住んでいます」と答える人も少ないと思う。このことは大江戸線が俗に「6の字」運転と言われながらも、路線図上は環状線であることに帰結する。環状線であるから、東西南北まったく性格の異なるエリアの寄り合い所帯となるし、放射状に伸びる鉄道との結節点が多く、ザ・大江戸線の駅というもの自体が多くないのだ。しかし、その散漫な沿線イメージこそが大江戸線の強みの裏返しではないだろうか?大江戸線は開通を契機に、利便性に優れる各乗換駅においてそれまで地味であった周辺の街の認知度を劇的に向上させるあまたの再開発プロジェクトをも成功させてきた。前述の月島然り、清澄白河、中野坂上、練馬、飯田橋、麻布十番、青山一丁目などあげればきりがない。それらプロジェクトの中でも最も象徴的なのがあの六本木であろう。また、大江戸線により新しい息吹を吹き込まれた街がそれぞれのブランドを独自に確立するまでになったからこそ、大江戸線としてのイメージをますます希薄にしているともいえるのだ。そんな大江戸線の沿線を結びつける唯一のキーワードが高層住宅ということになろう。大江戸線はもともと光が丘~練馬間のローカル鉄道であったが、この始発の光が丘自体が機能的な高層住宅の先駆けのような存在だ。まさに巨大公園の中に住まいがある、といった風情で公共施設も充実しているし、この環境から座って新宿や六本木、汐留の超高層ビルに通勤できるなんてある種の理想郷のようでもある。もっといえば、同じ都営でも三田線の暗いイメージ、大江戸線の明るいイメージは、高島平団地と光が丘団地の差とまでいっても過言ではないだろう。なお、光が丘は「グラント・ハイツ」と呼ばれるアメリカ空軍の家族宿舎が返還された跡地であるし、六本木一帯は「ハーディ・バラックス」と呼ばれる米軍駐留地であった。このハーディ・バラックスの跡地は現在、東京ミッドタウンや国立新美術館として六本木の新しい顔となっている。実は大江戸線はアメリカとの縁も深い路線なのである。<<★…そして江戸が色濃く残るエリアほど活気がない皮肉 >>一方で、再開発地の多い大江戸線でも高層化を頑なに拒み続ける頑固エリアが存在する。古めかしい町名を伝承し続けている牛込地区がそれだ。新宿区は条例により区内の大部分のエリアで新規の高層開発を禁じているので、せっかく大江戸線が陸の孤島から開放したにもかかわらず、隠遁者としての道を歩み続けている。また、上野御徒町、蔵前界隈に至っては、地域間競争で戦うことなど露程も考えていないような諦めムードが全体に漂っている。大江戸線は都心の南と北の勢いの差を如実に表出させたと言って良いだろう。光が丘を始発とする放射部は都庁前駅から環状部の南側に直通するように終日運転しているし、朝の最混雑区間は東西線からの乗客を南側に運ぶ門前仲町→月島間となっている。さて、今後の大江戸線であるが、光が丘から先、西側の大泉学園町方面への延伸計画が持ち上がっている。沿線としてのイメージの希薄な大江戸線ではあるが、放射部が伸びることにより通勤路線としての重量感が増し、新宿、六本木に便利な沿線としてイメージしやすくなるかもしれない。 ……、うーん、しかし、いったいどこまで江戸は大きくなるんだ?やはり「ゆめもぐら」の方が良かったのだろうか? もっとも死んでも言えないけどね。「ゆめもぐらに住んでます」なんて。恥ずかしくて… | ||
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*'''南北線''' | *'''南北線''' | ||
#'''【沿線ランドマーク】'''六義園、小石川後楽園、サントリーホール、麻布十番、プラチナストリート | #'''【沿線ランドマーク】'''六義園、小石川後楽園、サントリーホール、麻布十番、プラチナストリート | ||
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#'''【料理に例えると…】'''老舗洋食屋のオムライス | #'''【料理に例えると…】'''老舗洋食屋のオムライス | ||
#'''解説''' <<★本当の金持ちは退屈で慎ましいのか?? >>南北線は例えば地方から上京してきたような若者には最も話の通じない路線であろう。ざっと沿線を見渡した限り、スター不在であることは否めない。南北線沿線でいちばん賑やかな街は? と問われると答えに窮するのではないだろうか? しばらく考えてみると「飯田橋の神楽坂…」とか「後楽園? ラクーアあるし……」みたいな答えがポツポツと浮かんではくるが、「でも………」となってしまうであろう。白金なんかはマスコミにおける露出度も高かったもんだが、飽きられたのかデフレの世相を反映しているのか、最近は「シロガネーゼ」なんて造語を使う機会もめっきり無くなってしまったようだ。南北線の路線の経路を決定するにあたっては、もう少し柔軟さがあってもよかったのではないかと思う。例えば王子をでたらビッグターミナルで大商業地の池袋を経由して、早稲田、四谷へと抜けるコースでも大きな迂回にはならなかったはずだ。ましてや、南北線の駒込~後楽園にかけては都営三田線とほぼ平行していて、どちらも行き着く先は白金高輪~目黒のメトロ&都営併走区間となっている。地味な者どうしがここまでお互いに寄添い合って、いったいどうしようというのか? また直通先の埼玉高速鉄道沿線からすると赤羽岩淵駅がJR赤羽駅に接続していないのがツライ。もっとも赤羽駅などに乗り入れて乗客が南北線に流れることなくJRに逸走してしまうのを懸念してのことなのだろうが、「そんな逃げ腰な路線、はじめから作るなよ…」と言いたくなってしまう。結局のところ、地下鉄沿線のイメージを決定づけるのは魅力的な商業地である。公益性の観点からしても住宅よりも業務ビル、業務ビルよりも商業ビルなのだから。何線とはあえて言わないが、あれだけ都心のオフィス街を貫通していても、地味とか暗いとかオヤジ臭いなどと言われてしまう路線だってあるのだ。商業→業務→住宅という序列がまかりとおる中、間違いなく最下層に位置してしまうのがこの南北線だ。商業も弱ければオフィス街も弱い。森ビルのアークヒルズを皮切りに溜池山王から六本木一丁目にかけてはAクラスと呼ばれる高スペックのオフィスビルがずいぶんと集積はしてきたが、丸の内界隈や六本木ヒルズなどと比べると、どうしても見劣りするのだ。代わりに南北線沿線にあるのは俗にプレミアムアドレスと呼ばれる高級住宅街だ。本駒込、小石川、西片、市ヶ谷砂土原町、番町、赤坂、南麻布、白金台、上大崎と字面からして襟を正したような由緒正しい住所ばかりである。というわけで南北線に乗って最もハッスルするのは、自分で買うわけでもない高級住宅街のことを喧々囂々した上でその正しい序列化に日々心血を注いでいる高級住宅街オタクであろう。しかし、そんなオタクの中でもひときわマイノリティなオタクの数はたかが知れているし、金持ちはあまり電車に乗らない。だから乗客が少ない。もっというと悪いイメージすら持たれないほど空気な存在なのが南北線なのではないだろうか? もっともその空気は澄んでいて清潔なのだけど。数少ない南北線の公益性の高さを上げるとすれば、まず六本木一丁目は単独駅でありながら周囲に泉ガーデンをはじめとした都市機能が集積していること。そして溜池山王駅での銀座線への乗り換えがとても便利なことであろう。ちなみに銀座線の溜池山王駅は97年に南北線が延伸した際に一緒に開業した駅である。<<★スイーツ(笑)のいない路線に将来はあるか? >>と、まあ南北線自体は空気なのだが、この地下鉄線内の空気を直通先の東急沿線までそのまま共有していることはまことに興味深い。すでに南北線に関してはスター不在の静かな高級住宅街路線と結論づけたが、同じことが直通運転している東急目黒線にもそのまま当てはまることに異論はないであろう。これが、南北線と目黒線の関係だけで終わるのなら取り立ててどうということはないが、東急田園都市線と半蔵門線においても、朝と夕方に極端に混雑が集中する典型的なサラリーマン通勤路線という点で一致しているし、東横線と日比谷線に関しては単なる通勤路線にとどまらない、若者から観光客まで混載した華のあるメジャー路線としての共通項があると言えるのではないだろうか。この東急沿線との直通関係というのは本当にあなどれないものがある。東急の各沿線にはそれぞれ同類の人を惹きつけるような明確なイメージが存在するからだ。特に看板路線の東横線は、その割高とも言われる賃料に尻込みをしない進取の気性に富んだ感度の高い消費者が多く、意欲ある若い起業家が店や事務所をもつのにも最適の立地といえる。東横線と直通する日比谷線の恵比寿や六本木には若くて勢いのある企業、クリエイティブな産業が多く立地しているが、東横線との結びつきにより優秀な人材確保の点で有利であることも強く作用しているだろう。東横線と副都心線が一体化する2012年以降は、日比谷線と副都心線との間で、クリエイティブ産業や情報サービス企業の綱引きが激しくなることも予想される。この副都心線はファッションを中心とした日本一の消費地であることからも東横線との組み合わせはお互いが相乗効果を上げる上でベストマッチではないだろうか。先に「地下鉄沿線のイメージを決定づけるのは魅力的な商業地である」と述べたが、街を育て沿線のイメージを形成するのは、結局のところ人であり、視野の狭い鉄道オタクや退嬰的になってしまった中年男性でもない限り、人は家と会社を往復するだけでは満足しないものである。丸の内ほどのオフィス街ですら、商業地としての地位を確立しなければオフィス街としての優位性を保てなくなってしまったほどサービス業経済が進展した東京。その東京の中でも新しい路線である南北線が、大きな商業地をまったく経由していないというのは、やはり、あまりにももったいないなあ、と思わずにはいわれないのである。 | #'''解説''' <<★本当の金持ちは退屈で慎ましいのか?? >>南北線は例えば地方から上京してきたような若者には最も話の通じない路線であろう。ざっと沿線を見渡した限り、スター不在であることは否めない。南北線沿線でいちばん賑やかな街は? と問われると答えに窮するのではないだろうか? しばらく考えてみると「飯田橋の神楽坂…」とか「後楽園? ラクーアあるし……」みたいな答えがポツポツと浮かんではくるが、「でも………」となってしまうであろう。白金なんかはマスコミにおける露出度も高かったもんだが、飽きられたのかデフレの世相を反映しているのか、最近は「シロガネーゼ」なんて造語を使う機会もめっきり無くなってしまったようだ。南北線の路線の経路を決定するにあたっては、もう少し柔軟さがあってもよかったのではないかと思う。例えば王子をでたらビッグターミナルで大商業地の池袋を経由して、早稲田、四谷へと抜けるコースでも大きな迂回にはならなかったはずだ。ましてや、南北線の駒込~後楽園にかけては都営三田線とほぼ平行していて、どちらも行き着く先は白金高輪~目黒のメトロ&都営併走区間となっている。地味な者どうしがここまでお互いに寄添い合って、いったいどうしようというのか? また直通先の埼玉高速鉄道沿線からすると赤羽岩淵駅がJR赤羽駅に接続していないのがツライ。もっとも赤羽駅などに乗り入れて乗客が南北線に流れることなくJRに逸走してしまうのを懸念してのことなのだろうが、「そんな逃げ腰な路線、はじめから作るなよ…」と言いたくなってしまう。結局のところ、地下鉄沿線のイメージを決定づけるのは魅力的な商業地である。公益性の観点からしても住宅よりも業務ビル、業務ビルよりも商業ビルなのだから。何線とはあえて言わないが、あれだけ都心のオフィス街を貫通していても、地味とか暗いとかオヤジ臭いなどと言われてしまう路線だってあるのだ。商業→業務→住宅という序列がまかりとおる中、間違いなく最下層に位置してしまうのがこの南北線だ。商業も弱ければオフィス街も弱い。森ビルのアークヒルズを皮切りに溜池山王から六本木一丁目にかけてはAクラスと呼ばれる高スペックのオフィスビルがずいぶんと集積はしてきたが、丸の内界隈や六本木ヒルズなどと比べると、どうしても見劣りするのだ。代わりに南北線沿線にあるのは俗にプレミアムアドレスと呼ばれる高級住宅街だ。本駒込、小石川、西片、市ヶ谷砂土原町、番町、赤坂、南麻布、白金台、上大崎と字面からして襟を正したような由緒正しい住所ばかりである。というわけで南北線に乗って最もハッスルするのは、自分で買うわけでもない高級住宅街のことを喧々囂々した上でその正しい序列化に日々心血を注いでいる高級住宅街オタクであろう。しかし、そんなオタクの中でもひときわマイノリティなオタクの数はたかが知れているし、金持ちはあまり電車に乗らない。だから乗客が少ない。もっというと悪いイメージすら持たれないほど空気な存在なのが南北線なのではないだろうか? もっともその空気は澄んでいて清潔なのだけど。数少ない南北線の公益性の高さを上げるとすれば、まず六本木一丁目は単独駅でありながら周囲に泉ガーデンをはじめとした都市機能が集積していること。そして溜池山王駅での銀座線への乗り換えがとても便利なことであろう。ちなみに銀座線の溜池山王駅は97年に南北線が延伸した際に一緒に開業した駅である。<<★スイーツ(笑)のいない路線に将来はあるか? >>と、まあ南北線自体は空気なのだが、この地下鉄線内の空気を直通先の東急沿線までそのまま共有していることはまことに興味深い。すでに南北線に関してはスター不在の静かな高級住宅街路線と結論づけたが、同じことが直通運転している東急目黒線にもそのまま当てはまることに異論はないであろう。これが、南北線と目黒線の関係だけで終わるのなら取り立ててどうということはないが、東急田園都市線と半蔵門線においても、朝と夕方に極端に混雑が集中する典型的なサラリーマン通勤路線という点で一致しているし、東横線と日比谷線に関しては単なる通勤路線にとどまらない、若者から観光客まで混載した華のあるメジャー路線としての共通項があると言えるのではないだろうか。この東急沿線との直通関係というのは本当にあなどれないものがある。東急の各沿線にはそれぞれ同類の人を惹きつけるような明確なイメージが存在するからだ。特に看板路線の東横線は、その割高とも言われる賃料に尻込みをしない進取の気性に富んだ感度の高い消費者が多く、意欲ある若い起業家が店や事務所をもつのにも最適の立地といえる。東横線と直通する日比谷線の恵比寿や六本木には若くて勢いのある企業、クリエイティブな産業が多く立地しているが、東横線との結びつきにより優秀な人材確保の点で有利であることも強く作用しているだろう。東横線と副都心線が一体化する2012年以降は、日比谷線と副都心線との間で、クリエイティブ産業や情報サービス企業の綱引きが激しくなることも予想される。この副都心線はファッションを中心とした日本一の消費地であることからも東横線との組み合わせはお互いが相乗効果を上げる上でベストマッチではないだろうか。先に「地下鉄沿線のイメージを決定づけるのは魅力的な商業地である」と述べたが、街を育て沿線のイメージを形成するのは、結局のところ人であり、視野の狭い鉄道オタクや退嬰的になってしまった中年男性でもない限り、人は家と会社を往復するだけでは満足しないものである。丸の内ほどのオフィス街ですら、商業地としての地位を確立しなければオフィス街としての優位性を保てなくなってしまったほどサービス業経済が進展した東京。その東京の中でも新しい路線である南北線が、大きな商業地をまったく経由していないというのは、やはり、あまりにももったいないなあ、と思わずにはいわれないのである。 | ||
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*'''池袋駅''' | *'''池袋駅''' | ||
#'''【駅周辺ランドマーク】'''西武池袋本店、サンシャインシティ、家電量販店本店、池袋西口公園 | #'''【駅周辺ランドマーク】'''西武池袋本店、サンシャインシティ、家電量販店本店、池袋西口公園 | ||
#'''【パリのメトロに例えると…】'''バスティーユ駅 | #'''【パリのメトロに例えると…】'''バスティーユ駅 | ||
#'''解説''' <<★地下鉄乗降客数1位は伊達じゃない? >>もし、あなたが池袋という街にはじめて、それも期待を胸に訪れるのであれば絶対に地下鉄でアクセスすることをお奨めする。なぜなら地下鉄には車窓というものがないからだ。山手線で新宿方面から池袋に向かったとしよう。目白を過ぎ、車内アナウンスは池袋にまもなく到着することを告げているにもかかわらず、窓の外から目に飛び込んでくる景色にはあの「有名」で「大きく」て「新宿、渋谷と並ぶ副都心」の池袋の気配が一向に感じられない。どこまでも雑然とした、それも木造一戸建てと安アパートが線路際まで迫り来る有様に、これから訪れる街に対する不安を覚えずにはいられないはずだ。最悪なのは大塚、板橋方面からの来訪である。池袋北口という東京で最も悲惨な街並みがあなたを出迎えてくれるからだ。廃墟マニアの間で絶大な支持を誇った都営アパートが取り壊されたからまだいいようなものの、巨大なサラ金の看板と広大な青空駐車場、そして薄汚い風俗ビルが渾然一体となって襲いかかってくる景色を目の前にして「何というところに来てしまったんだろう…」と街に繰り出す前からいきなりゲンナリしてしまうこと請け合いだ。その点、地下鉄の池袋駅ときたら、これはもう立派なものだ。なかでも有楽町線のホームは豪勢で、そのホーム幅といい、天井の高さといい、それはそれは東京の他の駅ではお目にかかることのできない立派なつくりである。東京に初めてきた者なら「やっぱ大都会は違うな」とコロっと騙されてしまうであろう。副都心線はホームこそ上々の主要駅といった程度におさまるものの、改札前のコンコースが凄い。「パリをモチーフにしました」と恥ずかしげもなく呼号するだけのことはあり、池袋に対する偏見をもった御仁が腰を抜かすほど洒落た空間となっている。最近できた池袋の新名所「エチカ池袋」という地下街がそれだ。このエチカをまずは歩いてオシャレな池袋の束の間の夢を見るのもいいが、副都心線ホームの最も渋谷寄りのエスカレータをのぼってテクテクと通路を歩いていくと、正面にいきなり赤い電車の顔が見えてくる光景に驚かされるであろう。心配ご無用。電車があなたに向かって突っ込んでくることはない。そこは終点、丸ノ内線の池袋。ホームの行き先案内には「銀座・新宿・荻窪」とあるが、今となっては副都心線経由のほうが新宿や荻窪へずっと速く到着できるのだから、案内板を最も必要としている不慣れな人のことを考えれば、これは絶対に再考したほうがよい。ついでにもう一つ。副都心線と丸ノ内線の連絡通路は改札こそ通らずに済むものの、競歩の選手でもない限り、それなりに距離を感じるであろう。なんとか空間を工夫して動く歩道を設置してもらいたかった。<<★もはやこの世にダサイ街はない?? >>さて、池袋駅を語るときに欠かせないキーワードとなるものが「駅袋」であろう。語源については諸説あるが、総じて「駅の外には賑わいのない通過駅」といったものに集約される。しかし本当に駅の外に無いのは賑わいではない。企業の本社なのだ。知名度抜群の「サンシャイン60」ビルもあるにはあるが、入居しているテナントは支店が多いような気がする。つまるところ池袋は支店経済なのだ。ここが新宿や渋谷に比べて決定的に劣る。多くのサラリーマンにとって池袋は目的地たりえず、さらに電車を乗り継いで都心へと向かっていくことになる。池袋にオフィスが少ない背景には色々あるのだろうが、特に経営のイニシアティブを取っている年長者になればなるほど、池袋の心象がとてつもなく悪い点は無視できないであろう。実際、ニュースなどをみていると、企業犯罪と呼ぶにはあまりにも程度の低い「違法ビデオを販売しちゃいました」的なケースは池袋を拠点としていることが多い。よって「旧セゾングループ」のような創業以来の地縁でもない限り、パチンコメーカーや居酒屋経営のような泥臭い商売しか池袋に本社の地を求めないのである。その一方、最近のトレンドとして、若い人の間では池袋のイメージが急速に向上している兆しがある。昔ではまったく考えられなかったことだが、「あの」池袋が住みたい街ランキングで唐突に上位に顔を出したりするのだ。しかしこれは最近の池袋をみていれば不思議でもなんでもない。新宿や渋谷に住むというのは夢想的なように聞こえるが、これが池袋となると話はグッと現実的になる。それでいて渋谷や新宿ほどではないにしろ、若い人の欲しがるものが池袋にはギュッと詰まっているのだから。ブログ文化の影響もあると思う。ブログでは旧来のメディアがあまり取り上げてこなかった街をテーマにした方が必然性も需要も新鮮さもあるからだ。これは何も池袋に限ったことではなく、今まであまり日の目を見なかった地味なエリアや実力はあるのに知名度の無かった駅がじわじわと評価を上げていく力を秘めているように思える。だいたい「住めば都」という言葉があるように、どんなダサイ街だって住んでみれば良いところの一つや二つはみつかるはずだ。それどころか今の若い人にとっては、そういった自分の身近の小さな幸せをみつけることのほうが、背伸びして人気タウンにしがみつくよりも、自分にしっくりきたりするものなのだ。<<★池袋とハサミは使いよう? >> そういうこともあって今では「池袋が好き」と言いやすい環境にだいぶなったのではないか。そもそも池袋に愛着を持つ人は非常に多い。そりゃそうだろう。渋谷なんかよりも多くの人が毎日、池袋駅を利用しているのだから。しかし、その「好き」の中身となると「得られる利便性のわりには居住コストが安い」といった経済的都合によるものや、「何となく落ち着く」「私は良いと思う」といった他人を説得する力のないものになってしまう。だが、これらは素直な地元意識の発露ではある。タチが悪いのはつまらない文化人が池袋を語るときの常套句「都会の中の田舎なところが云々」といったものだ。これはもう切り口としてはあまりにも使い古されていて、プロの表現者ならたとえ本当にそう思っているとしても何か他のことを言ってほしいものだ。ついでに言うと、雑誌の池袋特集で判を押したように「ラーメン」「エスニック」「乙女ロード」と構成するのもいささか食傷気味だ。確かにこれらはメインストリートの「サンシャイン60通り」ですらファーストフード、ゲーセン、パチンコ屋、居酒屋ぐらいしかめぼしいものがない池袋にとっては欠くことのできない要素ではあるのかもしれないが。ただ、池袋は街が小さいことがこれ幸いして、乗換えの際に買い物をするのに便利という合理性がある。渋谷だと気取っているのか何なのか、坂の上にあるような人気ショップが池袋では大抵の場合、駅ビルに入っていたりする。また、毎日の生活には欠かせない食料品も地下一階で繋がる西武と東武、そして地下街を往復すれば効率よく、それも東京の中でもとびきりの品揃えの中から選択することが可能だ。池袋のこういう点はもっと評価されて然るべきだし、池袋を乗換えの拠点に生活する理由として大いに「アリ」であろう。また、池袋東口では駅前の明治通りやグリーン大通りの車を排除し、欧米の都市にあるようなトランジットモールを構築しようという遠大な計画が持ち上がっている。夢物語のような話だが、そのための前提となる都施工の環5-1号線バイパストンネルは具体化までこぎ着けた。区役所跡地や造幣局再開発などの大規模な開発用地も残されているので東京のまさかの「大穴」であることは記しておこう。 | #'''解説''' <<★地下鉄乗降客数1位は伊達じゃない? >>もし、あなたが池袋という街にはじめて、それも期待を胸に訪れるのであれば絶対に地下鉄でアクセスすることをお奨めする。なぜなら地下鉄には車窓というものがないからだ。山手線で新宿方面から池袋に向かったとしよう。目白を過ぎ、車内アナウンスは池袋にまもなく到着することを告げているにもかかわらず、窓の外から目に飛び込んでくる景色にはあの「有名」で「大きく」て「新宿、渋谷と並ぶ副都心」の池袋の気配が一向に感じられない。どこまでも雑然とした、それも木造一戸建てと安アパートが線路際まで迫り来る有様に、これから訪れる街に対する不安を覚えずにはいられないはずだ。最悪なのは大塚、板橋方面からの来訪である。池袋北口という東京で最も悲惨な街並みがあなたを出迎えてくれるからだ。廃墟マニアの間で絶大な支持を誇った都営アパートが取り壊されたからまだいいようなものの、巨大なサラ金の看板と広大な青空駐車場、そして薄汚い風俗ビルが渾然一体となって襲いかかってくる景色を目の前にして「何というところに来てしまったんだろう…」と街に繰り出す前からいきなりゲンナリしてしまうこと請け合いだ。その点、地下鉄の池袋駅ときたら、これはもう立派なものだ。なかでも有楽町線のホームは豪勢で、そのホーム幅といい、天井の高さといい、それはそれは東京の他の駅ではお目にかかることのできない立派なつくりである。東京に初めてきた者なら「やっぱ大都会は違うな」とコロっと騙されてしまうであろう。副都心線はホームこそ上々の主要駅といった程度におさまるものの、改札前のコンコースが凄い。「パリをモチーフにしました」と恥ずかしげもなく呼号するだけのことはあり、池袋に対する偏見をもった御仁が腰を抜かすほど洒落た空間となっている。最近できた池袋の新名所「エチカ池袋」という地下街がそれだ。このエチカをまずは歩いてオシャレな池袋の束の間の夢を見るのもいいが、副都心線ホームの最も渋谷寄りのエスカレータをのぼってテクテクと通路を歩いていくと、正面にいきなり赤い電車の顔が見えてくる光景に驚かされるであろう。心配ご無用。電車があなたに向かって突っ込んでくることはない。そこは終点、丸ノ内線の池袋。ホームの行き先案内には「銀座・新宿・荻窪」とあるが、今となっては副都心線経由のほうが新宿や荻窪へずっと速く到着できるのだから、案内板を最も必要としている不慣れな人のことを考えれば、これは絶対に再考したほうがよい。ついでにもう一つ。副都心線と丸ノ内線の連絡通路は改札こそ通らずに済むものの、競歩の選手でもない限り、それなりに距離を感じるであろう。なんとか空間を工夫して動く歩道を設置してもらいたかった。<<★もはやこの世にダサイ街はない?? >>さて、池袋駅を語るときに欠かせないキーワードとなるものが「駅袋」であろう。語源については諸説あるが、総じて「駅の外には賑わいのない通過駅」といったものに集約される。しかし本当に駅の外に無いのは賑わいではない。企業の本社なのだ。知名度抜群の「サンシャイン60」ビルもあるにはあるが、入居しているテナントは支店が多いような気がする。つまるところ池袋は支店経済なのだ。ここが新宿や渋谷に比べて決定的に劣る。多くのサラリーマンにとって池袋は目的地たりえず、さらに電車を乗り継いで都心へと向かっていくことになる。池袋にオフィスが少ない背景には色々あるのだろうが、特に経営のイニシアティブを取っている年長者になればなるほど、池袋の心象がとてつもなく悪い点は無視できないであろう。実際、ニュースなどをみていると、企業犯罪と呼ぶにはあまりにも程度の低い「違法ビデオを販売しちゃいました」的なケースは池袋を拠点としていることが多い。よって「旧セゾングループ」のような創業以来の地縁でもない限り、パチンコメーカーや居酒屋経営のような泥臭い商売しか池袋に本社の地を求めないのである。その一方、最近のトレンドとして、若い人の間では池袋のイメージが急速に向上している兆しがある。昔ではまったく考えられなかったことだが、「あの」池袋が住みたい街ランキングで唐突に上位に顔を出したりするのだ。しかしこれは最近の池袋をみていれば不思議でもなんでもない。新宿や渋谷に住むというのは夢想的なように聞こえるが、これが池袋となると話はグッと現実的になる。それでいて渋谷や新宿ほどではないにしろ、若い人の欲しがるものが池袋にはギュッと詰まっているのだから。ブログ文化の影響もあると思う。ブログでは旧来のメディアがあまり取り上げてこなかった街をテーマにした方が必然性も需要も新鮮さもあるからだ。これは何も池袋に限ったことではなく、今まであまり日の目を見なかった地味なエリアや実力はあるのに知名度の無かった駅がじわじわと評価を上げていく力を秘めているように思える。だいたい「住めば都」という言葉があるように、どんなダサイ街だって住んでみれば良いところの一つや二つはみつかるはずだ。それどころか今の若い人にとっては、そういった自分の身近の小さな幸せをみつけることのほうが、背伸びして人気タウンにしがみつくよりも、自分にしっくりきたりするものなのだ。<<★池袋とハサミは使いよう? >> そういうこともあって今では「池袋が好き」と言いやすい環境にだいぶなったのではないか。そもそも池袋に愛着を持つ人は非常に多い。そりゃそうだろう。渋谷なんかよりも多くの人が毎日、池袋駅を利用しているのだから。しかし、その「好き」の中身となると「得られる利便性のわりには居住コストが安い」といった経済的都合によるものや、「何となく落ち着く」「私は良いと思う」といった他人を説得する力のないものになってしまう。だが、これらは素直な地元意識の発露ではある。タチが悪いのはつまらない文化人が池袋を語るときの常套句「都会の中の田舎なところが云々」といったものだ。これはもう切り口としてはあまりにも使い古されていて、プロの表現者ならたとえ本当にそう思っているとしても何か他のことを言ってほしいものだ。ついでに言うと、雑誌の池袋特集で判を押したように「ラーメン」「エスニック」「乙女ロード」と構成するのもいささか食傷気味だ。確かにこれらはメインストリートの「サンシャイン60通り」ですらファーストフード、ゲーセン、パチンコ屋、居酒屋ぐらいしかめぼしいものがない池袋にとっては欠くことのできない要素ではあるのかもしれないが。ただ、池袋は街が小さいことがこれ幸いして、乗換えの際に買い物をするのに便利という合理性がある。渋谷だと気取っているのか何なのか、坂の上にあるような人気ショップが池袋では大抵の場合、駅ビルに入っていたりする。また、毎日の生活には欠かせない食料品も地下一階で繋がる西武と東武、そして地下街を往復すれば効率よく、それも東京の中でもとびきりの品揃えの中から選択することが可能だ。池袋のこういう点はもっと評価されて然るべきだし、池袋を乗換えの拠点に生活する理由として大いに「アリ」であろう。また、池袋東口では駅前の明治通りやグリーン大通りの車を排除し、欧米の都市にあるようなトランジットモールを構築しようという遠大な計画が持ち上がっている。夢物語のような話だが、そのための前提となる都施工の環5-1号線バイパストンネルは具体化までこぎ着けた。区役所跡地や造幣局再開発などの大規模な開発用地も残されているので東京のまさかの「大穴」であることは記しておこう。 | ||
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*'''渋谷駅''' | *'''渋谷駅''' | ||
#'''【駅周辺ランドマーク】'''ハチ公広場、SHIBUYA109、bunkamura、NHK放送センター | #'''【駅周辺ランドマーク】'''ハチ公広場、SHIBUYA109、bunkamura、NHK放送センター | ||
#'''【ロンドンのチューブに例えると…】'''ピカデリー・サーカス駅 | #'''【ロンドンのチューブに例えると…】'''ピカデリー・サーカス駅 | ||
#'''解説''' <<★渋谷人気が先か? 沿線人気が先か? >> 鉄道業界においてブランド価値が最も高いのは電車の方向幕が「渋谷」であることだろう。京王井の頭線と東急東横線というリッチで羨望の的の2大路線は行き先がこの「渋谷」だ。地下鉄の中で最も歴史が古く、沿線に多数の商業地域とオフィス街を抱える銀座線にしても「渋谷」である。ターミナル駅としての規模や乗降客数は新宿や池袋の後塵を拝するものの、渋谷に結集する路線は一般論として評価、人気が高い。こう言うと「渋谷が人気なのではない。東急沿線や井の頭線沿線にある数々の街の魅力故なのだ。特に東急様の素晴らしい開発が…」といった、もはや宗教論争的な話になってしまう。しかし、73年にはNHK移転や渋谷パルコ誕生により、文化、ファッションの発信地としてトレンディ渋谷が全国にその名を轟かせはじめたことを考えれば、認知度の一点においても渋谷の開発がそこからのびる沿線に及ぼした好影響はやはり計り知れないものがある。それに渋谷は趣味がよい。ファッションや音楽にしてもただ消費するだけにとどまらず、オピニオンリーダーを自認する人々が、それぞれのセンスを競い合って発信する気風がある。そういった進取の気性に富んだ主役が、大型店よりも個人店、表通りよりも裏通りへと渋谷の街を独自のものに発展させることにより、さらに多くの若者を惹き付けていったのだろう。秋葉原や池袋のオタク文化が趣味として劣位と言う気は毛頭無いが、やってることがあまりにも二次消費的で「この場所から発信している」という説得力はどうしても欠ける。それにコスプレにしても忠実度やひねりを競うことはできても、そのセンスを池袋の衣装店がセレクトして提供するというは難しいのではないだろうか?ついでにいうと「アニメ制作会社があるからアニメのまちでござい」なんて類の街興しも、せいぜいギョーカイ人が打ち上げに駅前の飲み屋を利用する程度の痕跡しか街には残さないのだから、アニメのまちと必死にアピールされても「それがどーした」としか言いようがない。「ラーメン激戦区」なんて称号はもっと悲惨で、こんなものは街の個性でも強みでも何でもなく、単なる食費による客層のリトマス試験紙でしかない。だいたいラーメン激戦区なるものは津々浦々、どこにでも突如として現れては消えるのを繰り返しているではないか。ネタ切れした雑誌の企画に体よく利用されているだけとみるのが妥当であろう。もちろん渋谷にだって非常に多くの求道系ラーメン店は存在する。でも、余所みたいにラーメン激戦区であることを声高に叫ぶ必要がない時点で、それはもう渋谷というブランドの勝ちなのである。<<★「 渋谷経由でのりかえ 」 ←クリック >>さて、昔話はこのへんにして時計の針を現代に戻そう。今の渋谷を象徴する特徴的な事例として、HMVやブックファーストといった大型店が撤退した後に、海外ファストファッションがその穴を埋めたことがあげられるだろう。残念ながら銀座や原宿の後塵を拝する、それどころか最近すっかりファストファッション街と化した新宿三丁目と比べてもやや出遅れての出店である。若者の気質や文化の変容の中で、往年の先鋭さが失われてしまったのが今の渋谷の姿だ。楽器専門店やライブハウスの集積などは未だ衰えぬ渋谷の面目躍如といったところだが、これさえも、40代以上のオヤジ世代の青春回顧癖が支えている側面がある。渋谷はかつての神通力を失った今、ターミナルとしての構造的欠陥ばかりが浮き彫りになってきている。具体的に言い換えると、渋谷を目的地ではなく乗換駅として捉えたときの渋谷駅の機能性は果たしてどうか? ということだ。さて、どうであろう?地下5階から地上3階まで、道玄坂の中枢から並木橋の目と鼻の先まで、非常に広範でかつ多くの上下動を要求される素晴らしいエクササイズマシンとしての駅に仕上がっている。さらにどの改札を出るかでまったく通路が異なるうえ、見通しの利かない中で細い通路が立体的に入り組むなど、高齢者の脳トレとしてもなかなか出来がよい駅ではないだろうか?ここらへんの乗り換えの簡便さは地下1階だけですべての路線の改札につながる池袋駅に遙かに軍配が上がる。特に東武東上線の都内区間は井の頭線と同じく地下鉄直通がないのでターミナル駅で乗り換える機会が必然的に多いが、そのスムーズさはというと、JR線とも丸ノ内線ともほとんど隣り合わせの東武東上線の方がずっと便利といえる。池袋にしても東武東上線にしてもすこぶるイメージも見栄えも悪いが、だからといって何でもかんでもマイナスバイアスをかけるのは事実を単純化しすぎているし、単なる偏見だ。もっというと、3大ターミナルの中で私鉄、地下鉄各線からりんかい線直通電車や湘南新宿ラインへの乗換えがちゃんと機能しているのは池袋だけである。渋谷駅における埼京線、湘南新宿ラインの不便さは、東京駅の京葉線ホームと並んで語り種になっている。そんな渋谷駅の乗換コンコースの中で異彩を放っているのが、井の頭線の駅舎に飾られた岡本太郎による巨大壁画「明日の神話」だ。第五福竜丸事件をテーマにした芸術をなるべく多くの人の目に留まるようにという理念はあまりにも崇高だが、はっきりいって毎日拝みたくなるようなものではない。実際に観てもらえばわかるがむしろ部屋に飾りたくないタイプのシロモノだ。とにかく巨大なのでオブジェとしての存在感は抜群だし高名な芸術家の代表作が毎日利用する駅にあるというのは誇らしいけど、これが乗換えの煩わしさを癒してくれるわけではもちろんない。こんなことに騙されてはいけない。また、渋谷は乗り換えが不便なだけには留まらず、乗り換えの際にちょっと買い物するにも不便だ。なにより渋谷の駅ビルは池袋や新宿のそれと比べて圧倒的に規模が小さい。その上、各大型店内部の移動も不便極まりない。複数館体制で分かれている「西武」や「パルコ」は言うに及ばず、エスカレータのない独特な構造の「東急ハンズ」は坂が多い地形の影響が滲み出ている。東急東横店や渋谷マークシティに至っては同じフロアなのに館によって相互に移動できなかったり、逆に同じ館なのに上のフロアに行けなかったりとドラクエのダンジョンのような複雑怪奇さだ。渋谷のフツーの街としての買い物の不便さの象徴として大型書店がある。駅周辺にもそれなりに品揃えの良い本屋は渋谷にだってあるが、池袋や新宿並の品揃えを求めると坂の上の雲ならぬ坂の上の東急本店にある「丸善&ジュンク堂書店」という呼び名に困る店までえっちらおっちら足を運ばなければならない。しかもこの東急本店、一筋縄ではいかない。店に入った途端、ただ一冊の本が欲しいだけの客に対し、ブルガリやらグッチやらのいかめしいブティックが無駄に威圧してくる。なんだか本しか買わないのは申し訳ないような、そんな嫌な気分にさせられるのだ。それにしてもこの東急本店、端からみていると客の入りが悪いけど大丈夫なのかな? 豪奢なブティックを入口に固めるのは虚栄のような気がしてならない。そりゃあ、渋谷駅周辺は日本でも最も富裕層の多いリッチなエリアだけどさ。<<★2012年 その時 渋谷が動いた >>そんな劣悪な環境の渋谷駅舎、駅ビルに、今、まさに変革の波がおしようせようとしている。発端は副都心線の東急東横線の直通化だ。その後、古くて使い勝手の悪い東急百貨店を取り壊し、離れた埼京線ホームも山手線の隣に移動させようというものだ。しかし、このターミナルの大改造計画も具体的な中身をみてみると微妙と言わざるを得ない。以下に、問題点を列挙したのでご覧あれ。【1】東横線は新宿、池袋エリアにも直通できるし、上り電車の進入速度も向上するが、始発着席機会が無くなり山手線への乗り換えも不便になるのは代償として大きい。【2】その東横線は銀座線への乗り換えも不便になるので、そのことにより半蔵門線経由の乗客が増え、田園都市線のホームの混雑が極限まで悪化。田園都市線の遅延を誘発する。【3】山手線ホームは島式ホームに変更されるので、山手線外回りから井の頭線への乗り換えも上下動が増えて今より不便になる。銀座線ホームも井の頭線からさらに離れる。とまあ、こう書くとロクでもない計画に思えてくるが、これが渋谷駅の未来の姿である。特に1と2に関しては目前に迫っている問題だ。しかしやむを得ない面もある。そもそも渋谷はそのすり鉢状の地形からして、地下も地上も空間に制約が多い。これも有名な話だが渋谷駅の真下には暗渠と化した渋谷側も流れている。いずれのレベルにおいても面的に展開することは不可能であるし、駅もビルも内部で分断されてしまう。これまでの渋谷は「公園通り」や「スペイン坂」を筆頭に地形を逆手にとって洒落た雰囲気を演出してきたが、坂の街というのはベールがひとたび剥がれれば日常の不便さが残るだけだ。同じことが田園都市線の丘陵地帯などにもいえる。田園都市線に関してはもう一つ心配の種がある。渋谷駅利用者の食を支えてきた「東急フードショー」が再開発の期間、どうなるかということである。文化会館跡地に2012年に開業する「渋谷ヒカリエ」内にも当然食品フロアはできるだろうが、乗り換えの動線からはだいぶ外れてしまう。渋谷駅再開発の期間は予定でも16年間もかかる。また、渋谷駅再開発が完了しても新駅ビルは246沿いになるので、やはり田園都市線や井の頭線の乗り換え動線からも離れてしまう。あとに残るは「ザ・ガーデン」にしたり元に戻したりと改装で迷走した挙げ句、「客のいないデパ地下」という世にも珍しい売り場を完成させた「シブヤ西武」だけである。<<★シブヤが若者の街という幻想 >>とまあ、なんだか暗い話ばかりになってしまったが、総じて言えることは「イメージは悪いけど乗り換えも買い物も便利な池袋」に対して、「イメージは良いけど、乗り換えも買い物も不便な渋谷」ということになる。同じ若者の街でもまったく性格が違うということだ。もう一つ池袋と大きな違いがある。それは渋谷は決して若者だけの街ではないということ。「センター街」の周辺ばかりで遊んでいないで、マークシティの周辺も歩いてみて欲しい。マークシティの内部はいかにも癒されたいOLの園といった趣だが、その周囲は徹底して昔ながらのオヤジの町である。さらに南下して246沿いに至ると渋谷がビジネス街としてもけっこう成熟していることがわかってくる。意外に思われる向きもあるかも知れないが、渋谷の「セルリアンタワー」や「インフォスタワー」は新宿の超高層ビル街と同等かそれ以上の高額賃料である。テナントも六本木に移転してしまったがグーグルや有名芸能事務所など旬揃いだ。住友不動産が六本木通り沿いにこのたび竣工させたファーストビルにはミクシィやぴあなども入居している。ようは相変わらず渋谷はIT系や最先端のサービス業に強いのだ。こういうことからも渋谷のもつコマーシャルメッセージ性は未だ顕在であることがうかがえる。かつては都心に入居できない中堅生保がこぞって渋谷に集結し、そして破綻していった。渋谷ブランドを求める若い企業があり続ける限り、渋谷は独特の文化をはぐくんでいくだろう。あとは、彼らが成長したときに、その受け皿となる超大型ビルがあればいい。現に246沿いを中心に再開発の機運があちらこちらで高まっている。渋谷という良きイメージを武器に、都心として今後、もっとも大きく飛躍するであろう、この街に期待したい。 | #'''解説''' <<★渋谷人気が先か? 沿線人気が先か? >> 鉄道業界においてブランド価値が最も高いのは電車の方向幕が「渋谷」であることだろう。京王井の頭線と東急東横線というリッチで羨望の的の2大路線は行き先がこの「渋谷」だ。地下鉄の中で最も歴史が古く、沿線に多数の商業地域とオフィス街を抱える銀座線にしても「渋谷」である。ターミナル駅としての規模や乗降客数は新宿や池袋の後塵を拝するものの、渋谷に結集する路線は一般論として評価、人気が高い。こう言うと「渋谷が人気なのではない。東急沿線や井の頭線沿線にある数々の街の魅力故なのだ。特に東急様の素晴らしい開発が…」といった、もはや宗教論争的な話になってしまう。しかし、73年にはNHK移転や渋谷パルコ誕生により、文化、ファッションの発信地としてトレンディ渋谷が全国にその名を轟かせはじめたことを考えれば、認知度の一点においても渋谷の開発がそこからのびる沿線に及ぼした好影響はやはり計り知れないものがある。それに渋谷は趣味がよい。ファッションや音楽にしてもただ消費するだけにとどまらず、オピニオンリーダーを自認する人々が、それぞれのセンスを競い合って発信する気風がある。そういった進取の気性に富んだ主役が、大型店よりも個人店、表通りよりも裏通りへと渋谷の街を独自のものに発展させることにより、さらに多くの若者を惹き付けていったのだろう。秋葉原や池袋のオタク文化が趣味として劣位と言う気は毛頭無いが、やってることがあまりにも二次消費的で「この場所から発信している」という説得力はどうしても欠ける。それにコスプレにしても忠実度やひねりを競うことはできても、そのセンスを池袋の衣装店がセレクトして提供するというは難しいのではないだろうか?ついでにいうと「アニメ制作会社があるからアニメのまちでござい」なんて類の街興しも、せいぜいギョーカイ人が打ち上げに駅前の飲み屋を利用する程度の痕跡しか街には残さないのだから、アニメのまちと必死にアピールされても「それがどーした」としか言いようがない。「ラーメン激戦区」なんて称号はもっと悲惨で、こんなものは街の個性でも強みでも何でもなく、単なる食費による客層のリトマス試験紙でしかない。だいたいラーメン激戦区なるものは津々浦々、どこにでも突如として現れては消えるのを繰り返しているではないか。ネタ切れした雑誌の企画に体よく利用されているだけとみるのが妥当であろう。もちろん渋谷にだって非常に多くの求道系ラーメン店は存在する。でも、余所みたいにラーメン激戦区であることを声高に叫ぶ必要がない時点で、それはもう渋谷というブランドの勝ちなのである。<<★「 渋谷経由でのりかえ 」 ←クリック >>さて、昔話はこのへんにして時計の針を現代に戻そう。今の渋谷を象徴する特徴的な事例として、HMVやブックファーストといった大型店が撤退した後に、海外ファストファッションがその穴を埋めたことがあげられるだろう。残念ながら銀座や原宿の後塵を拝する、それどころか最近すっかりファストファッション街と化した新宿三丁目と比べてもやや出遅れての出店である。若者の気質や文化の変容の中で、往年の先鋭さが失われてしまったのが今の渋谷の姿だ。楽器専門店やライブハウスの集積などは未だ衰えぬ渋谷の面目躍如といったところだが、これさえも、40代以上のオヤジ世代の青春回顧癖が支えている側面がある。渋谷はかつての神通力を失った今、ターミナルとしての構造的欠陥ばかりが浮き彫りになってきている。具体的に言い換えると、渋谷を目的地ではなく乗換駅として捉えたときの渋谷駅の機能性は果たしてどうか? ということだ。さて、どうであろう?地下5階から地上3階まで、道玄坂の中枢から並木橋の目と鼻の先まで、非常に広範でかつ多くの上下動を要求される素晴らしいエクササイズマシンとしての駅に仕上がっている。さらにどの改札を出るかでまったく通路が異なるうえ、見通しの利かない中で細い通路が立体的に入り組むなど、高齢者の脳トレとしてもなかなか出来がよい駅ではないだろうか?ここらへんの乗り換えの簡便さは地下1階だけですべての路線の改札につながる池袋駅に遙かに軍配が上がる。特に東武東上線の都内区間は井の頭線と同じく地下鉄直通がないのでターミナル駅で乗り換える機会が必然的に多いが、そのスムーズさはというと、JR線とも丸ノ内線ともほとんど隣り合わせの東武東上線の方がずっと便利といえる。池袋にしても東武東上線にしてもすこぶるイメージも見栄えも悪いが、だからといって何でもかんでもマイナスバイアスをかけるのは事実を単純化しすぎているし、単なる偏見だ。もっというと、3大ターミナルの中で私鉄、地下鉄各線からりんかい線直通電車や湘南新宿ラインへの乗換えがちゃんと機能しているのは池袋だけである。渋谷駅における埼京線、湘南新宿ラインの不便さは、東京駅の京葉線ホームと並んで語り種になっている。そんな渋谷駅の乗換コンコースの中で異彩を放っているのが、井の頭線の駅舎に飾られた岡本太郎による巨大壁画「明日の神話」だ。第五福竜丸事件をテーマにした芸術をなるべく多くの人の目に留まるようにという理念はあまりにも崇高だが、はっきりいって毎日拝みたくなるようなものではない。実際に観てもらえばわかるがむしろ部屋に飾りたくないタイプのシロモノだ。とにかく巨大なのでオブジェとしての存在感は抜群だし高名な芸術家の代表作が毎日利用する駅にあるというのは誇らしいけど、これが乗換えの煩わしさを癒してくれるわけではもちろんない。こんなことに騙されてはいけない。また、渋谷は乗り換えが不便なだけには留まらず、乗り換えの際にちょっと買い物するにも不便だ。なにより渋谷の駅ビルは池袋や新宿のそれと比べて圧倒的に規模が小さい。その上、各大型店内部の移動も不便極まりない。複数館体制で分かれている「西武」や「パルコ」は言うに及ばず、エスカレータのない独特な構造の「東急ハンズ」は坂が多い地形の影響が滲み出ている。東急東横店や渋谷マークシティに至っては同じフロアなのに館によって相互に移動できなかったり、逆に同じ館なのに上のフロアに行けなかったりとドラクエのダンジョンのような複雑怪奇さだ。渋谷のフツーの街としての買い物の不便さの象徴として大型書店がある。駅周辺にもそれなりに品揃えの良い本屋は渋谷にだってあるが、池袋や新宿並の品揃えを求めると坂の上の雲ならぬ坂の上の東急本店にある「丸善&ジュンク堂書店」という呼び名に困る店までえっちらおっちら足を運ばなければならない。しかもこの東急本店、一筋縄ではいかない。店に入った途端、ただ一冊の本が欲しいだけの客に対し、ブルガリやらグッチやらのいかめしいブティックが無駄に威圧してくる。なんだか本しか買わないのは申し訳ないような、そんな嫌な気分にさせられるのだ。それにしてもこの東急本店、端からみていると客の入りが悪いけど大丈夫なのかな? 豪奢なブティックを入口に固めるのは虚栄のような気がしてならない。そりゃあ、渋谷駅周辺は日本でも最も富裕層の多いリッチなエリアだけどさ。<<★2012年 その時 渋谷が動いた >>そんな劣悪な環境の渋谷駅舎、駅ビルに、今、まさに変革の波がおしようせようとしている。発端は副都心線の東急東横線の直通化だ。その後、古くて使い勝手の悪い東急百貨店を取り壊し、離れた埼京線ホームも山手線の隣に移動させようというものだ。しかし、このターミナルの大改造計画も具体的な中身をみてみると微妙と言わざるを得ない。以下に、問題点を列挙したのでご覧あれ。【1】東横線は新宿、池袋エリアにも直通できるし、上り電車の進入速度も向上するが、始発着席機会が無くなり山手線への乗り換えも不便になるのは代償として大きい。【2】その東横線は銀座線への乗り換えも不便になるので、そのことにより半蔵門線経由の乗客が増え、田園都市線のホームの混雑が極限まで悪化。田園都市線の遅延を誘発する。【3】山手線ホームは島式ホームに変更されるので、山手線外回りから井の頭線への乗り換えも上下動が増えて今より不便になる。銀座線ホームも井の頭線からさらに離れる。とまあ、こう書くとロクでもない計画に思えてくるが、これが渋谷駅の未来の姿である。特に1と2に関しては目前に迫っている問題だ。しかしやむを得ない面もある。そもそも渋谷はそのすり鉢状の地形からして、地下も地上も空間に制約が多い。これも有名な話だが渋谷駅の真下には暗渠と化した渋谷側も流れている。いずれのレベルにおいても面的に展開することは不可能であるし、駅もビルも内部で分断されてしまう。これまでの渋谷は「公園通り」や「スペイン坂」を筆頭に地形を逆手にとって洒落た雰囲気を演出してきたが、坂の街というのはベールがひとたび剥がれれば日常の不便さが残るだけだ。同じことが田園都市線の丘陵地帯などにもいえる。田園都市線に関してはもう一つ心配の種がある。渋谷駅利用者の食を支えてきた「東急フードショー」が再開発の期間、どうなるかということである。文化会館跡地に2012年に開業する「渋谷ヒカリエ」内にも当然食品フロアはできるだろうが、乗り換えの動線からはだいぶ外れてしまう。渋谷駅再開発の期間は予定でも16年間もかかる。また、渋谷駅再開発が完了しても新駅ビルは246沿いになるので、やはり田園都市線や井の頭線の乗り換え動線からも離れてしまう。あとに残るは「ザ・ガーデン」にしたり元に戻したりと改装で迷走した挙げ句、「客のいないデパ地下」という世にも珍しい売り場を完成させた「シブヤ西武」だけである。<<★シブヤが若者の街という幻想 >>とまあ、なんだか暗い話ばかりになってしまったが、総じて言えることは「イメージは悪いけど乗り換えも買い物も便利な池袋」に対して、「イメージは良いけど、乗り換えも買い物も不便な渋谷」ということになる。同じ若者の街でもまったく性格が違うということだ。もう一つ池袋と大きな違いがある。それは渋谷は決して若者だけの街ではないということ。「センター街」の周辺ばかりで遊んでいないで、マークシティの周辺も歩いてみて欲しい。マークシティの内部はいかにも癒されたいOLの園といった趣だが、その周囲は徹底して昔ながらのオヤジの町である。さらに南下して246沿いに至ると渋谷がビジネス街としてもけっこう成熟していることがわかってくる。意外に思われる向きもあるかも知れないが、渋谷の「セルリアンタワー」や「インフォスタワー」は新宿の超高層ビル街と同等かそれ以上の高額賃料である。テナントも六本木に移転してしまったがグーグルや有名芸能事務所など旬揃いだ。住友不動産が六本木通り沿いにこのたび竣工させたファーストビルにはミクシィやぴあなども入居している。ようは相変わらず渋谷はIT系や最先端のサービス業に強いのだ。こういうことからも渋谷のもつコマーシャルメッセージ性は未だ顕在であることがうかがえる。かつては都心に入居できない中堅生保がこぞって渋谷に集結し、そして破綻していった。渋谷ブランドを求める若い企業があり続ける限り、渋谷は独特の文化をはぐくんでいくだろう。あとは、彼らが成長したときに、その受け皿となる超大型ビルがあればいい。現に246沿いを中心に再開発の機運があちらこちらで高まっている。渋谷という良きイメージを武器に、都心として今後、もっとも大きく飛躍するであろう、この街に期待したい。 | ||
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*'''新宿三丁目''' | *'''新宿三丁目''' | ||
#'''【駅周辺ランドマーク】'''伊勢丹新宿本店、スタジオアルタ、高島屋タイムズスクエア、新宿御苑 | #'''【駅周辺ランドマーク】'''伊勢丹新宿本店、スタジオアルタ、高島屋タイムズスクエア、新宿御苑 | ||
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*有楽町線、、、何であんなに車内が寒いんだろう。東西線より冷房の温度設定が低くて何かおかしい気もします。11月で初冬に入ると言うのに冷房が動いていた。しかも、ブロア・ファンを廻していた。ただでさえ冷房は空気が乾燥するのにブロア・ファンを廻すのは、他人の風邪のウィルスをかき混ぜる物ではないか? と。ちなみに新木場駅の気温は都心より2℃は低い。暖房の効いた京葉線から乗り換えると有楽町線はどうも暖房を切っている様で温もりが全く無い。 | *有楽町線、、、何であんなに車内が寒いんだろう。東西線より冷房の温度設定が低くて何かおかしい気もします。11月で初冬に入ると言うのに冷房が動いていた。しかも、ブロア・ファンを廻していた。ただでさえ冷房は空気が乾燥するのにブロア・ファンを廻すのは、他人の風邪のウィルスをかき混ぜる物ではないか? と。ちなみに新木場駅の気温は都心より2℃は低い。暖房の効いた京葉線から乗り換えると有楽町線はどうも暖房を切っている様で温もりが全く無い。 | ||
*駅力なら大手町が最強じゃない?住んでる人もいるだろうし。成金お金持ちなら麻布十番。派手なお金持ちなら赤坂見附。物好きな金持ちなら新宿三丁目。田舎出のお金持ちなら表参道。静かなお金持ちなら三越前・日本橋。いつも天皇陛下のお側にいたい金持ちなら九段下か半蔵門。城東サラリーマンなら錦糸町。関西出身サラリーマンなら豊洲。穴場で神保町。 | *駅力なら大手町が最強じゃない?住んでる人もいるだろうし。成金お金持ちなら麻布十番。派手なお金持ちなら赤坂見附。物好きな金持ちなら新宿三丁目。田舎出のお金持ちなら表参道。静かなお金持ちなら三越前・日本橋。いつも天皇陛下のお側にいたい金持ちなら九段下か半蔵門。城東サラリーマンなら錦糸町。関西出身サラリーマンなら豊洲。穴場で神保町。 | ||
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==住環境== | ==住環境== |
2021年9月14日 (火) 12:19時点における版
マンションの購入者や購入検討中の方々の『東京メトロ・都営地下鉄沿線の住環境』に関するご意見・ご感想などをまとめたページです。
※当サイト(月間延べ閲覧数:約60万人)及び姉妹サイト『マンションコミュニティ(月間延べ閲覧数:約1,000万人)』より
目次
土地
- ウォーターフロントの名所”豊洲”高層ビル群に大型商業施設「ららぽーと豊洲」を擁する豊洲。大規模再開発が進み、ウォーターフロントの新名所となる魅惑的なアメニティ空間を創出しています。メトロ有楽町線やゆりかもめが乗り入れ、「銀座」や「お台場」へのアクセスも便利。「浅草」や「お台場」へは「ヒミコ」でのクルーズも人気です。
- 丸ノ内線の四谷三丁目駅から新宿御苑前駅あたりが穴場。新宿のデパートや御苑、区立図書館や区役所(出張所)が徒歩圏。足を伸ばせば、大学病院や区立のスポーツセンターなどもあるし。名門から微妙なとこまで様々な私立中高も塾もいろいろ近いし。
交通
- 丸の内線が最強 半蔵門線もなかなか
- 丸の内線は災害に弱い、シールド工法の地下鉄線が安全。
- 不便と言われる豊洲の実力が浮き彫りになりますね。
- 利便性では丸の内線・銀座線の2強。でも個人的には南北線が好き。大江戸線深すぎ・・・
- 大江戸線など新しい路線は地下深いけど 安全性は高い 銀座・丸ノ内線は地下浅いけど危険性がある
- 大江戸線乗ると騒音がものすごい!!それと車内が狭いので足元を見ながら移動する毎日です。。ある程度慣れてもやはり気になりますよね(*_*;
- 大江戸線は設計の問題ですね。昔、首都高を3車線で計画していたのに、そんなに車両数は多くならないという予測で2車線にした結果が現在の慢性的渋滞を生みました。大江戸線もそうでしょう。しかも、相互乗り入れもできないのでは?
- 中目黒、恵比寿、広尾、六本木、霞ヶ関、銀座、築地、八丁堀、茅場町、人形町、秋葉原、上野有する日比谷線が好きです。
- 東池袋は、サンシャインと直結になるし、有楽町線に加えて、副都心線も駅が出来る見込みだし、最強。そんな東池袋駅直結のマンションを買える人が羨ましいです。
- 大江戸線はホームに余裕がないので車両の増結はできません。それをやるにはすべての駅のホーム延長工事が必要ですが、地下にあるので簡単にはできないんです。車両も小型ですが、これも大型化できません。つまり本数の増発以外に方法はなく、混雑してきたら東西線や田園都市線のような悲惨なことになるのは目にみえてます。
- 東西線で通勤してる人はよくやってると思います。なんであんなつらい目にあうのに東西線沿線に家を買うのかとても不思議です。
- メトロでは半蔵門線の東側がラッシュでも比較的空いてるよ。若干微妙な駅ばかりだけど、日本橋、大手町への通勤にはいいかも。
- 古い地下鉄ではよくドブネスミを見かけるね。前に日比谷線の某駅でネズミ達がじゃれ合ってて、ホームでは子供が喜んでたけど、大人はみんなどん引きだった。
- 人生で最も長く使い、最も深く愛する日比谷線だけど、ネズミだけはドラえもんより苦手なのよ〜。
- 別に隠すほどのことはないか。霞ヶ関駅。
- ちなみにネズミがいたのはホームではなく線路の方だからね。
- 恵比寿駅にもねずみいましたよー
- 神谷町もいましたよ
- 地下鉄のホームで線路の辺りを見ると排水溝の穴が壁についてるのがわかります。この穴はほとんどが金網で厳重に塞がれていますが、たまに金網が外れている場所があります。鼠はこのような穴から出入りするので、大体どこでも鼠は出没します。
- 南北線が一番いいよ。ラッシュ時間でも空いてるし、ホームドアが付いてて綺麗だし。
- やっぱり有楽町線だね。飯田橋、有楽町と主要な駅を通っている。10両編成&大型車両で輸送力抜群。適度なダイヤで遅延も少ない。
- 日比谷線はそんなに混んでないかも。
- 私が知っているのは東銀座⇔恵比寿だけど、確かに日比谷線はあまり混まない。ラッシュ時は前の車両の尻尾が見えている間に、次の先頭が見えている感じだし、日中は六本木と銀座でガサッと人が降りるので車内で座れない事はなかった。親や親戚がしたように若いうちは東横沿線に住んで、中年に入ったら日比谷線に住むつもりだったのが、千代田線になってしまったら、やっぱり本数は少ないね。駅前はむしろ今の家の方が便利だが。同じ位の徒歩分数で銀座線の駅にも出られるけど、慣れで千代田線から乗り換えて→日比谷線を使う方が楽なので、殆ど使わない。銀座線の駅はラッシュ時の混み方が、車内も含めて半端ないんだもん。
- 有楽町線は、表向きはつながっているはずの永田町駅と他線の赤坂見附との接続が悪過ぎるのが問題。
- 有楽町線なら副都心線も使える小竹向原~地下鉄成増がいい。
- 三田線って、あの陰鬱な空気で、自殺率が高いから、ゲートができたんじゃなかったっけ・・・ 日比谷駅や、内幸町、なかなか暗いです。。
- 三田線沿線に10年以上住んでますが、飛び込みなんて聞いたことないですよ。ホームゲートができる前も人身事故で電車が止まった記憶がありません。三田線は都内の電車では定時運行率が一番高いんです。
- この前都営浅草線で日本橋から羽田空港まで行ったが、あまりにも暗くてボロい駅が多くて驚いた。浅草線の駅って天井も壁もボロボロのところが多いですよね。どこかの途上国に来たような気がしたよ。
- 都内最強は都営三田線だよ。有楽町線は新木場で千葉県民がどっと乗りこんでくるだろ?でも三田線は終点の西高島平は都内だから埼玉県民が乗ってくる心配がない。西高島平-板橋くらいまでは板橋区民専用の鉄道みたいになってる。南側は日吉までつながってるから知らんけど、北側は最高だよ。
- 高校時代日比谷〜巣鴨三田線で通っていたけど、暗くて嫌だったな。途中下車して遊んだり買物するとこないし、西高島平って自殺の名所だったんじゃなかったっけ。西高島平行きって聞くだけでどんよりしたものだよ。三田線沿線にだけは住みたくないと高校のころ思ったよ。いまはだいぶ変わったのかな。
- 副都心線は最終的に東横線(みなとみらい線)まで乗り入れる予定とは言っていますけど、東京メトロと東急は強い絆で結ばれているそんな感じがしますね。区別がだんだんつかなくなってきそう(笑)
- 都営三田線高島平方面発も直通乗り入れ無しでしたね。確かに大手町駅や日比谷駅(有楽町線の有楽町駅)もあるので大手町丸の内霞ヶ関通勤には最適かもしれませんねでも有楽町線も行きも帰りも程よく空いていてなかなかいいですよ! 新木場発は車両によりますが豊洲でも座れる確率が高い(新木場駅前に住宅街がないため?)のであまり千葉市民の利用率はあまり高くないのではないでしょうか?。
- 有楽町副都心線。実は環境も最高。副都心線ほど沿線に緑の多い路線は無い。和光樹林公園→光が丘公園→城北中央公園→雑司ヶ谷霊園→戸山公園→新宿御苑→明治神宮→代々木公園東横線直通で2つの海にも行ける。有楽町線=豊洲、ゆりかもめ、お台場 副都心線=横浜、みなとみらい、山下公園
- 地下鉄(メトロ、都営)で三路線以上ある駅。永田町/赤坂見附などはとりあえず別駅としています。抜けなどありましたらご指摘ください。
- 5路線 大手町(丸の内、東西、半蔵門、三田、千代田)
- 4路線 飯田橋(有楽町、東西、南北、大江戸)
- 3路線 表参道(銀座、半蔵門、千代田) 青山一丁目(銀座、半蔵門、大江戸) 渋谷(銀座、半蔵門、副都心) 池袋(有楽町、副都心、丸の内) 日比谷(千代田、三田、日比谷 永田町(半蔵門、銀座、表参道) 神保町(新宿、三田、半蔵門) 九段下(新宿、東西、半蔵門) 市ヶ谷(新宿、有楽町、南北) 新宿三丁目(丸の内、新宿、副都心) 銀座(日比谷、銀座、丸の内) 霞ヶ関(日比谷、銀座、丸の内) 新宿(大江戸、新宿、丸の内) ざっと見たところオフィス街が中心ですが徒歩圏内に住宅が普通にある立地でJRがある駅をのぞく純粋な地下鉄駅としては表参道、青山一丁目、永田町、神保町、九段下あたりが最強ってことでどうでしょうか
- 永田町(半蔵門、銀座、南北)だよね。細かくてすまん。
- あれ有楽町線にも永田町ありますよね?
- ご指摘ありがとう 永田町は半蔵門、南北、有楽町線でした。 銀座線が止まるのは永田町駅から改札を出ずに乗り換え可能な 赤坂見附です。赤坂見附は丸の内線も止まりますね。 これらを一駅と考えると永田町は大手町に匹敵する5路線となります。
- 南北線、千代田線、副都心線、都営三田線の4路線は中央区に駅がありません。一番路線数が多いのは千代田区です駅がないのは副都心線と浅草線と大江戸線の3路線ですかね。
- 港区に駅がないのは東西線、新宿線、副都心線、有楽町線の4路線です。数え方にもよりますがJRや私鉄を含む駅の数が23区で一番多いのが港区です。2位は世田谷と大田だったかな?
- 浅草線は日本橋で銀座線、東西線とともに交わっています。乗り換えのない単独駅は高輪台、宝町、本所吾妻橋の3駅なので孤独ともいえないでしょう。浅草線の路線記号はA。すなわち東京の「A列車」ですな
- 丸の内通勤(たまに大手町霞ヶ関直行あり)ですが個人的な感じでは…最良の路線、駅は大手町、丸の内いずれかへ直通で停まり、かつ地方からの直通運行乗り入れの無い都内発の電車のみで乗車時間10分以内…と思います。とりあえず住宅地は有楽町線の月島駅豊洲駅と三田線の文京区エリアくらいしか思い浮かばないけど他にもどこかありますか?
- 有楽町駅北側改札を出てすぐ上がったら丸の内3丁目周辺になります。商工会議所〜ペニンシュラくらいにかけてが3丁目です。2丁目の丸ビルまでなら有楽町駅から地下道で徒歩5分くらいですね。ちなみに丸の内線丸の内駅から丸ビルまでは3分くらいです。国際フォーラムも丸の内3丁目ですよね。
- 有楽町線新富町と日比谷線築地の間に住んでいますが、有楽町線って池袋に行くときくらいしか使いません。銀座一丁目よりも銀座、東銀座の方が便利ですし、秋葉原上野へも日比谷線、新宿へは、銀座乗り換えで丸の内線、渋谷へは、銀座乗り換えで銀座線、日本橋へは、茅場町乗り換えで東西線、表参道へは、日比谷乗り換えで千代田線です。それぞれホームも近いので乗り換えもスムーズです。有楽町線、最強でしょうか?
- 有楽町線有楽町駅改札から丸ビルまで多目に見ても10分掛かりません。地下道直結なので信号も無ければ雨も暑さも寒さも関係ありません。ビル同士が地下でくっついてる新丸も似たようなもんってこと。プラス2〜3分って所です。あ、もしかして丸の内って丸ビルと新丸だけと思ってます?丸の内在勤者には常識だけど三菱東京UFJ本店も八重洲北口のシャングリラも大和証券も有楽町駅前の豊田通商も丸の内なんですが。丸の内にあるうちの某社は有楽町駅や日比谷駅や二重橋駅から通っている人もかなり多いですよ。霞ヶ関勤務者が桜田門駅や虎ノ門駅利用も沢山いるのと同じですよね。
- 品川〜泉岳寺は京急区間だからつい東銀座あたりから浅草線で品川まで帰ってくると 高くつくね。あれだまされた気分になる。 もっとも最近はパスモやスイカの普及で現金ださないから料金見てから乗ることあま りないからおりるときに引き去り額みて驚く
- メトロとJRの運賃比較の話がありましたが定期券の割引率はJRが6ヶ月定期の場合概ね6割引に対して東京メトロは3割程度の割引利率にしかなりません。通勤に使う場合JRは一月に12-3回使えば元が取れますがメトロの場合21回往復しないと元がとれません。休みの日に定期を使わないのであればPASMOや回数券にしたほうが得です。
- メトロの回数券は3種類あります すべての時間、曜日で使える普通回数券は10回分の料金で1枚おまけ 平日昼間+土日のみつかえる時差回数券は10回分の料金で2枚おまけ 土日休日のみつかえる休日回数券は10回分の料金で4枚おまけになります。土日休みで定期を使わないひとなら通勤定期を買うよりこの三種類を購入して適宜使い分けるほうが安上がりのはずですよ。
- メトロは銀座線と丸ノ内線以外は2ランクくらい落ちるよ。この2路線はホームも浅いし、南北線や有楽町線なんて深くて乗る気がしない。
- 副都心線
- <キーワード>山の手副都心、百貨店旗艦店、若者文化、東急東横線一体運用
- <利用者イメージ>ファッション好きの若者、高感度な女性、有名私立に通うお嬢様、東横線沿線のセレブ
- <解説>都心のオフィス街を通らないぶん、極めて純度の高いセレブ&モード路線。沿線には渋谷109や渋谷池袋パルコ、マルイ、表参道ヒルズをはじめ若者の流行発信ショップが目白押しでとりわけ高感度なヤングキャリアとラグジュアリーファッションに強い。また、新宿伊勢丹やラフォーレ原宿といったファッションリーダーストアに最もアクセスのしやすい路線であることは特筆モノ。さらに、東急東横線に直通した暁には代官山、自由が丘と言った都心の商業地とはまた違ったオシャレタウンを沿線に取り込むことにもなる。極めつけはモード業界の各企業が集積する北参道駅までこの沿線にあるという徹底ぶり。沿線そのものがファッションに染まっているのである。今はまだ認知度が低いが、日本一のセレブ路線の東急東横線と一体化することにより東京-横浜エリアにおける商業の一大ベルト地帯になることは間違いないであろう。
- 銀座線
- <キーワード>昭和、銀座日本橋エリア、三越、下町観光、伝統的オフィス街
- <利用者イメージ>高齢者、レディス4視聴者、観光客、世田谷の奥様、ビジネスマン
- <解説>北は浅草・上野からはじまり、銀座の中心を通り、渋谷表参道へと結ぶまさに東京の発展史をその目で見てきたと言わんばかりの路線。伝統的な東京の商業地を縫うように走り、和服姿の金持ち老婦人が三越のある駅へと吸い込まれていく姿が目に浮かぶ。そういう点で同じ商業地でもより生きの良い層が集う副都心線とは対極にある路線とも言える。また、最も伝統的であるが故に集積度と連続性は間違いなく断トツナンバーワンだが、個々を見るとやや小振りな印象もあり、沿線のオフィスビルの規模では丸ノ内線に劣り、百貨店はじめ商業施設の規模では副都心線の後塵を拝する感は否めない。とはいえサラリーマンの聖地・新橋をはじめビジネス街としての沿線のポテンシャルも極めて高く平日も休日も昭和の頃も平成の今も東京を代表する路線であることに異論はないだろう。
- 有楽町線
- <キーワード>東武西武乗り入れ、キャナリーゼ、池袋と銀座有楽町、有名国公立
- <利用者イメージ>埼玉、練馬、豊洲のニューファミリー、ディズニー&キッザニア帰りの母子
- <解説>銀座有楽町と池袋という東京を代表する繁華街を結ぶわりには地味な印象の路線。特に他の地下鉄路線との乗り換えが不便である点が長らく指摘されてきたが、新しく開通した南北線との乗り換えは便利なようだ。また、池袋よりも北で併走する副都心線は、千代田線や銀座線(丸ノ内線で赤坂見附の対面乗換)といった、これまで有楽町線との相性の悪かった路線への乗り換えが可能で、有楽町線の欠点を補っていると言える。そう言う意味では性格的にもカバーするエリア的にも有楽町線と副都心線は2つ揃って一人前なのかもしれない。また、沿線は番町・麹町エリアや音羽・目白台などの伝統的な高級住宅街を抱え、他にも佃リバーシティで有名な月島、運河沿いでマンションラッシュの豊洲・辰巳、緑の多い練馬・板橋区間など住環境の良い地域が多いと言える。余談だが、「護国寺」「麹町」など画数が多く硬派なイメージの駅名が多い。沿線には筑波大付属やお茶の水女子大付属などエリート国立校が複数あり、やはり華やかさよりも硬派で地味な印象が先行するのである。成長著しい豊洲をはじめとした開放的なキャナルエリアが新しい有楽町線のイメージを築いていくのかもしれない。
- 大江戸線
- <キーワード>新山手線、6の字運転、駅が深い、光が丘、勝どき、南北格差
- <利用者イメージ>光が丘のサラリーマン、新宿と六本木の往復、中央区マンション購入者
- <解説>名前には江戸なんてついているけど、むしろ再開発で誕生した超高層オフィス街や超高層マンション街をつなぐ、ピカピカの新しい路線。しかも江戸っぽいエリアへ向かう区間の方が乗客が圧倒的に少ないという皮肉。この路線の性格はひたすら汐留、六本木ヒルズ、ミッドタウン、都庁をはじめとした西新宿といった超高層ビル街への足であり、しかもその利用客も光が丘団地や勝どき周辺、及び東西線沿線のマンションといった高層集合住宅住民がかなりの割合を占めるのである。特に始発の光が丘は、たまプラーザやあざみ野といった東急田園都市エリアと並んでお受験を考えるハイソなファミリーの聖地なのだそうだ。かたや勝どき駅周辺は当初の想定以上に住人が増えたために駅の改良工事を余儀なくされており、いずれにしてもこの沿線からは「深い」「煩い」と陰口をたたかれながらも暗い印象は微塵も感じられず、今日も勝ち組サラリーマンの夢を乗せてもぐらのようにかつての江戸(?)を走るのである。
- 南北線
- <キーワード>地味、ホームドア、目黒線、彩の国スタジアム線
- <利用者イメージ>埼玉鳩ヶ谷方面&目黒線沿線からの通勤者
- <解説>もうなんというか、地味で地味でしようがない路線であり、それがイメージの上だけならまだしも、改めて路線図を見ると「……この路線、別になくても困らなくね?」と思わせてしまうところがなんとも悲しい。が、溜池山王~六本木一丁目間はやはりさほど有名ではないが新しい超高層オフィスビルがかなり集積してきており、都心を代表するビジネス拠点として無視できない存在になっている。また、文京区、新宿区、港区のプレミアムアドレス住宅街を縫うように走っており、銀座線が都心の商業・業務集積地の代表路線なら、南北線は都心の高級住宅街の代表路線と言えるのではないか。よって、この路線の車内はたいてい至って静かでありこの静けさは地味さのではなく上品さと言わねばならないことに人はいつしか気付くのである。ま、東急東横線と目黒線の差がそのまま乗り入れ先の副都心線と南北線の差につながっていると言えなくもないが。
- 丸ノ内線
- <キーワード>東京の中心、東京駅
- <利用者イメージ>池袋からの都心への通勤者、新宿方面から銀座線へのつなぎ
- <解説>乗降客数日本1、2位の大ターミナル新宿、池袋。首都の玄関口・東京駅。オフィス街の代名詞・大手町。行政の中心・霞ヶ関。日本一の商店街・銀座………圧巻である。駅のホームの天井からぶら下がっている「1番線 ○○、○○方面行き」の案内板でこれほどどの駅名を記したらよいか悩む路線もないのではないだろうか?実際この路線の池袋駅では「○○、□□、▽▽方面」の案内板にさらに「△△、■■、◎◎方面」の案内板がとってつけたようにぶら下がっている。これをもって、この路線を銀座線を越える東京を代表する地下鉄とする向きも多い。が、実際にはこの路線と銀座線の間には歴然とした格差があり、その差は乗客の輸送密度として数字にも表れている。そう、銀座線のほうがより都心の地下鉄としての性格が色濃いのだ。確かに平日朝のラッシュ時は別としても、この路線からはそれほど混んでいるという印象は受けない。なぜか? これにはいくつか理由が考えられ、まず一つめとして丸ノ内線の場合、上記に挙げたような代表的な駅を除くと、基本的に住宅街としての性格の駅が多い。池袋~大手町間と新宿三丁目~赤坂見附間がそれだ。都心としての連続性が銀座線と比してどうしても劣るのである。そして二つめの理由として平行するJR中央線の存在も無視できない。荻窪~新宿~東京駅間の輸送のメインは何と言っても中央線なのである。…とはいえ、そこは丸ノ内線。ただの中央線の裏路線に甘んじることなく、西新宿駅を新たに開業してその周辺の大規模再開発プロジェクトが複数着工していたり、中野坂上にまで超高層オフィスが複数誕生したりと、独自の需要の掘り起こしに余念がないのである。
- 半蔵門線
- <キーワード>東急田園都市線、銀座線バイパス、山手と下町、東武の車両です
- <利用者イメージ>田都沿線の勝ち組痛勤リーマン、スカイツリー観光客
- <解説>一言で言えば、東急田園都市線住民のための路線である。田園都市線に家を構え、乗り換え無しで大手町へと通勤するスタイルは一種のステータスとも言える。が、乗り換え無しとは言ってもその道中はあまりにも長く過酷であり、東の東西線、西の田園都市線と並び称される所以である。さらに車内の混雑はもとより、核となる渋谷駅のホームの混雑も酷く、ホームのキャパが全然足りてない。隣の副都心線と東横線の安藤忠雄「地宙船」ホームに比べると「差別じゃないか!」というぐらい貧相で、こんなところに東急の看板である都市間輸送の東横線と虐待通勤路線の田園都市線との格差が垣間見られるのである。もちろん混雑はこの沿線の人気の裏返しであり、表参道の同ホームで便利な銀座線乗り換えを利用すれば都心の大抵のビジネス街を網羅することにもなり、通勤には申し分のない使い勝手を誇る。なお、田園都市線ほどの一体感はないが、最近は北からも東武伊勢崎線が乗り入れており、むしろ田園都市線内でも東急の車両よりも東武の車両の方を多く目にすることになり、車内の広告はもちろん草加・越谷住民をターゲットとしたものでもあるので、とにかく頭のてっぺんからつま先まで東急色に染まりたくて田園都市線に引っ越す人は面食らうかもしれない。それにしても東急における東横線、田園都市線、目黒線の沿線カラーの違いが、そのまま乗り入れ先のセレブで華のある副都心線、痛勤の半蔵門線、落ち着きのある高級住宅街の南北線という特色に結びついているというのはなんとも興味深いではないか。
- 貴方の主観が出てて面白いです。特に豊洲とか埋立地の存在は、有楽町線にとってマイナスイメージだと思うけど。続編楽しみにしています。
- 全くですね。物は言い様で主観的。都合悪いことは飛ばして書いてる。
- 自己満足っていうより偏見レス。半蔵門線は東武線住民の通勤線でもあるのに、田都側の立場で見ている。更に、田都・半蔵門線より東横線・副都心線を美化している点から見て書き手は東横線沿線住民であろう。
- 東横沿線民にしては、これまで日比谷線を話題にしていないよね?実際、東横住民の友達に乗り入れは副都心線なんて言ったら殴られるよ。彼らにとっての乗り入れ線は銀座直通の日比谷線のみだもの。JRの時代から、東横沿線民が使うのは渋谷の先はせいぜい原宿まで(実は原宿よりは代官山、自由が丘なんだけど)新宿なんて、文字通り副都心の田舎なわけで、通勤・通学でもない限り縁のない所だよ。自分は日比谷線住まいだが、感覚的に自由が丘辺りまでは日比谷線のうち、って感じなので、各線の評定者は副都心線関係者だと思う。
- 比谷線
- 【沿線ランドマーク】南千住、アキバ、築地、六本木ヒルズ、広尾ガーデンヒルズ
- 【利用者イメージ】足立区民、外資系勤務者、外国人観光客
- 【料理に例えると…】スキヤキ
- 解説 <足立区を開拓した直通運転> 中目黒、恵比寿、広尾と駅が続いてオシャレな路線だと勘違いすることなかれ。この路線の利用者の圧倒的多数は、山手線に接続していない東武伊勢崎線からの通勤客や買い物客である。なにしろ彼らにしてみれば日比谷線がなかったら上野ですら「遠き都」になってしまうのだから。反対側の東急東横線では、直通運転が廃止になったとしても、沿線内で自給自活すら可能な東横線沿線の文化生活レベルが下がることなど到底考えられない。が、東武伊勢崎線沿線民にしてみれば日比谷線直通電車はまさしく都会生活そのものなのである。< 日比谷線離れが進んでいるってホント? > そんな東武伊勢崎線でも最近は半蔵門線直通電車なるものが存在する。が、北千住からの乗客が多いのはもちろん日比谷線である。なにより半蔵門線直通は線形が悪すぎる。地図を見てもらえば一目瞭然だが半蔵門線直通電車は北千住から都心へ向かうのにベラボーに迂回しているのだ。この直通は利便性の向上と言うよりも朝ラッシュ時の日比谷線の混雑を解消するために無理矢理くっつけたに過ぎないのだ。一方で、西の東急東横線にとって日比谷線直通の意味はどんどん薄れている。実際、直通本数も年々減ってラッシュ時ですら毎時4本程度。昼間時は2本しかない。だいたい、各停しか直通していないのだし中目黒の同ホームでちゃんと接続しているのだから、直通が廃止になったところで利便性が大きく損なわれることはないのである。< 日比谷線は東京の出島である! > 日比谷線沿線自体の特色をみてみると、これはもう国際観光路線として際だっている。外国人観光客が大好きな築地やアキバを筆頭に、上野、銀座、六本木、東京タワーとくれば、これはもうミシュラン三つ星級だ。試しに銀座駅ホームにでも立ってみてもらえば、やはり大好きなキヤノンやソニーのカメラを首から提げた欧米系観光客を目にするのに苦労はないだろう。また、中目黒~六本木はやはり欧米系外国人も多く居住していて、ホンモノの舶来文化を東京に伝来させる現代の出島としても機能しているのである。
- 副都心線
- 【沿線ランドマーク】巨艦百貨店、ファッションビル、安藤忠雄建築、山の手の緑
- 【利用者イメージ】高感度な若者、アパレル業界人、東横線沿線のセレブ、埼玉の中高生
- 【料理に例えると…】ラーメンとクレープ
- 解説 <「Fukutoshin Line 2.0」> いや~快適だ。何がって? そりゃ、副都心線での渋谷~新宿~池袋間の移動のことに決まってるじゃないの! こんなに空いているんだよ。いや、もう煩い馬鹿学生やオッサンの加齢臭に悩まされる体臭もとい大衆路線・山手線には戻れないよね!……って冗談はともかく、現在の副都心線は確かに空いている。が、それも無理からぬことだ。なにせ、今の副都心線は予行運転に過ぎないのだから。もちろん本運転開始とは日本一のセレブ路線であり、日本一、二の大都会を結ぶ東急東横線と一体化したときのことに他ならない。実際、副都心線関連各社は来るべき「2.0」化に備えてハードとソフトの両面から更新を進めている。東京メトロはさっそく急行の停車駅を増やしているし、西武鉄道も副都心線の増発に向けて複々線化工事を着々と行っているのだ。驚くべきはなんと直通運転開始前から、各社合同で「チーム F ライン」なるプロジェクトチームを立ち上げ、鉄道グッズまで販売しているのだ! 硬派と言われる鉄道業界が、たったひとつの地下鉄に対してここまで色めきだっている事実は寡聞にして聞いたことがない。< 例えばパリとミラノとニューヨークが繋がった衝撃 >そんな副都心線の特色を一言で言えば「ファッションの最大の生産地にして最大の消費地」であるということだ。あの伊勢丹本店に直結するなど、名だたるファッションリーダーストアやストリートを沿線の駅直近にキラ星のごとく侍らしている副都心線だが、同時にオトナの隠れ家として知られる北参道駅周辺はアパレル・ヘッド・オフィスの集積地でもあるのだ。さらに「2.0」により代官山や自由が丘といった都心の商業地とはまた違った客層と特色をもつファッション街と一体化することによる化学反応的モード・スタイルで、東京~横浜における衣食住すべてのファッション化を先導するポジションをこの沿線が担っていくことになるのだ。< 成功の約束された未来の真・都心線 > そんな潮流を見越して貸しビル業界までが旧来の常識を覆す投資を副都心沿線におこなっている。特に三菱地所と住友不動産の社からの熱い視線がまぶしい。これまでビジネスのBの字も想起不能だった高田馬場(西早稲田)や新大久保(東新宿)で超高層大型オフィスビルを建設しているのだ。住友はさらに北参道で先行している物件があるし、三菱地所は新宿三丁目駅で簡便に乗り換えできる丸ノ内線の西新宿駅周辺においてもオフィスの超高層を数棟着工している最中だ。これらの物件には停滞している日本経済の枠を越えた創造的企業の入居が想定される。産業構造のさらなる高度化が副都心線沿線からおこり、いつしか「真・都心線」と自然と口にされる日が来るのだろうか?
- 丸ノ内線
- 【沿線ランドマーク】東京ドーム、東京大学、丸ビル、国会議事堂、西新宿摩天楼
- 【利用者イメージ】都心への通勤者、赤坂見附での銀座線乗換え客、巨人戦帰りの親子
- 【料理に例えると…】満漢全席
- 解説 <<★22世紀に残したい東京を代表する風景 >> それにしても東京は本当に起伏の多い都市である。この丸ノ内線に乗っていると、ふと、そんなことに気付かせてくれる。丸ノ内線といえば東京都心部において唯一、地上にたびたび顔を出して車窓を楽しませてくれる路線だが、そのいずれもが絵心をくすぐるような風情を醸し出しており、なんとも心憎い。それも郊外のように地上に出た途端に高架に突撃するような「都市計画の都合でこうなっちゃいました」的な無理矢理感がなく、前述のような東京の地形の賜物によるものなので、とてもバラエティに富んでいる。最も有名なのは御茶ノ水の聖橋だが、ダイナミックに迫り来る東京ドームも見応え満点だし、四谷や後楽園の高層ビルを背後にしたグリーンビューも良い。まったく、それに比べて派手で遠慮のない広告看板類が怒濤の如く押し寄せてくる大衆路線・山手線の景色の、なんとまあ貧しいこと。<<★格式が高すぎて失われたモノもある >> そんなわけで丸ノ内線は大変に格式高い路線だ。新宿や池袋といった野暮ったい土地に都心の品格の何たるかを教えている路線と言っても良い。しかもその「都心」の中身が凄い。駅の名前を列挙しただけでも「大手町」「東京」「銀座」「霞ヶ関」って、ちょっとそれ、都心のオールスターじゃないの! それも某TV局によるオールスター感謝祭みたいにビミョーな芸人のラインナップじゃなくて、いずれ劣らぬ超一流揃いですよ。うーん、圧巻。こりゃあ東京を代表する地下鉄ナンバー1の座は丸ノ内線で決定ですな。わ~パチパチ!……って、アレ? でも丸ノ内線って昼間は意外に混んでいないよなぁ? 朝は混むけど昼は空いてるって、それ典型的な郊外痛勤路線のパターンじゃないか。どーなってるの?丸ノ内線の正体とは「格式はあるけど賑わいのない路線」というものである。こういうと「銀座や新宿、池袋は凄い人出じゃないか」と反論する向きもあろうが、それはあくまで「点」としての賑わいの話であり、銀座線のような「線」としての賑わいは存在しないのだ。それもそのはず。すでに名前を挙げた都心オールスターズに赤坂見附を加えた駅を除くと、丸ノ内線の駅は、ほぼ住宅街に集約されてしまうのだ。結局のところ、起伏の多い土地というものは第一山の手として君臨することはできても、ダウンタウンには成り得ないのだろう。<<★失われたアイデンティティを探して… >> だから丸ノ内線は沿線自体に華が無く、池袋~都心~新宿の橋渡し役にしかなっていない。しかし池袋からは別としても、荻窪~新宿~都心の橋渡し役なら中央線の方が圧倒的に速い。それでも丸ノ内線に乗る人が少なからずいるのは赤坂見附で銀座線に同ホームで対面乗換ができるからである。特に朝は虎ノ門と新橋へ、休日は銀座のより中心に向かい、隣の銀座線の車両へどっと乗客が移っていく。つまるところ丸ノ内線の誇る都心とは、都心すぎるあまり、他にもいくらでもアクセス手段があるので、丸ノ内線だけの特色、強みにはならないのである。そんな丸ノ内線もこれからは乗客が増えていくものと思われる。鍵は新宿三丁目駅だ。この駅は赤坂見附ほどではないが、副都心線との乗り換えが大変簡便にできている。杉並、中野区内の丸ノ内線放射部から池袋、原宿、渋谷、横浜に向かう足としてはもちろん、副都心線から西新宿や赤坂方面のオフィス街に向かう新ルートとしても積極的に活用されていくだろう。かくして格式ある丸ノ内線は、苦手な若さとファッション性において圧倒的に強い副都心線と、文明の十字路たる新宿三丁目を介して、JRの大衆性に立ち向かっていくのだ。
- 都営新宿線
- 【沿線ランドマーク】日本橋問屋街、神保町古書店街、靖国神社、京王百貨店
- 【利用者イメージ】東西線と総武線のサンドウィッチマン、物ぐさな多摩ニュータウン住民
- 【料理に例えると…】ロッテリアのサイドメニュー
- 解説 <<★ファミレスのような明るさが持ち味なのです >> 結論から言ってしまえば、大江戸線を除く都営地下鉄の路線はいずれも地味で暗いのだが、その中にあって都営新宿線のイメージは幾分さわやかで明るい方だ。浅草線ほど古く時代に取り残された下町イメージもないし、同じく神保町を通っている三田線と比べても、あちらは昭和の薄暗い喫茶店で食べるカレーが似合いそうなものだが、新宿線だとなぜか専門書を探しにきたナイスミドルの大学教授を連想してしまうから不思議だ。 この理由は若者の多い新宿と京王線に直通しているという面も大きいだろうが、単純に昭和53年開業の比較的新しい路線であるために、昭和の暗部というか負の遺産を背負っていないことが最大の要因であろう。それに何を差し置いてもラインカラーが良い。明るいグリーンなんてまるで山の手の新緑みたいじゃないか。それに比べて日比谷線はなんだ! シルバーのラインカラーは高級感あるけど一歩間違えば灰色だ。六本木は「ヒルズ族と呼ばないで」が映画化されて以降(嘘何かとグレーなイメージと事件が染みついてしまったし、何よりも沿線に山谷地区や吉原を抱えるなど、千住の名を出すまでもなく下町の最ディープエリア、もとい昭和のしがらみにとらわれているのだ。それに比べると、新宿線は高級感も深い味わいなんてものもないけど、ファミリーが安心して暮らせる、まさにファミレス沿線と言えるだろう。<<★オイラはオイラで上手くやってるよ >> うん。悪くないよね、新宿線。…悪くはないんだけど、…いくらなんでも地味すぎるよ!都営地下鉄ってだけで認知度やら運賃やらで大きなハンデを背負っているのに、肝心の都心部が日本橋のはずれと学生街、そして新宿区の陸の孤島エリアじゃ…せめて裏・銀座線である浅草線との乗り換えが便利なら良かったんだけど、これがまたえらく歩かされるんだよね。何でこうなった? こういうのをお役所仕事というのか? 唯一の救いは三田線との乗り換えが便利なこと。これでオフィス街への足は何とか確保できる。問題は繁華街への足だ。駅前に店が少ないのが地下鉄沿線住宅街の特徴だが、新宿線もその例にもれず。どうしても都心の繁華街にでたいのだが、最も行きやすいのは山手線の反対側、遠き新宿だ。そんな事情を察してか、東京都もこの新宿線にはそれなりに急行を走らせている。しかし、その急行の途中停車駅が「船堀」「大島」「馬喰横山」「神保町」「市ヶ谷」って、やっぱり地味すぎるよ。いったい都民の何パーセントが、この都営新宿線の急行停車駅を把握しているのだろう?? そんな新宿線には「西の西武新宿線、東の都営新宿線」の称号がお似合いだ。どちらも並行して走る圧倒的に便利なJR線に沿線の住人が流出しているという事情があるしね。西の方の新宿線は、地下鉄直通運転がない唯一の関東大手私鉄幹線として、あちらはあちらで大変なようで…
- 都営浅草線
- 【沿線ランドマーク】東京スカイツリー、隅田川、日本橋、歌舞伎座、泉岳寺
- 【利用者イメージ】京成からの通勤者、平和島で負けた帰り、空港利用者、タワー見物者
- 【料理に例えると…】路地裏の屋台ですする中華そば
- 解説 <<★「若者に見られてはいけない。」 >> 名は体を表すんだよね。「浅草」の名前を掲げちゃった時点で、もうアレなんだけど、おまけに上を走っている道路が「昭和」通りと、第一「京浜」ときたもんだ。おいおい、これは連想ゲーム(NHK)か? 「浅草」「昭和」「京浜」、そして「工場」「盛り場」ときたら、もう答えは高度成長期の日本を支えた「労働者」に決まっているでしょう。実際、都営浅草線の乗客の中にはブルーカラーと一目で分かる風体のオッサンが「かなり」いるのだ。しかも連れが居ないのか休日というのに孤独な人ばかりで皆そろって目つきが悪い。はっきりいって危ない。逆に浅草線であまり見かけないのがカップルやニューファミリーといった若者層だ。まあ、無理もないだろう。この沿線と直通先の私鉄(京急と京成)には地縁でもない限り、若者の流入してきそうな要素が、からっきし無いんだから。東銀座や日本橋にしたって金のあるオバサマの街だしねえ。でも、浅草線はそれでいいのだ。行き着く先は「蒲田」「平和島」「柴又」「金町」なんだから。若いカップルなんぞが車内にいたら、こちとら汚れた作業ズボンのまま電車に乗り込めなくなっちまうじゃねーか(実際いるぞ!)。<<★「銀座線に見られてはいけない。」 >> ところがよく見ると浅草線はなかなか良いところを走っている。港区ではメーカーの多い一大オフィスベルトを縦断しているし、中央区ではあの銀座線の至近を平行している。にも関わらず、浅草線全体にビミョーな空気が漂っているのは、いったいなんなんだ?結局これは、浅草線に乗るぐらいなら銀座線に乗るし、JRに乗るよ、ということなのだろう。この浅草線の影の薄さは、世の成功しているビジネスをただ真似ただけの二番煎じプロジェクトがいかに駄目かを思い知らせてくれる。失敗した駄目プロジェクトはチームを解散さえしてしまえばいいが、一度敷設してしまった鉄道路線はそうはいかない。他のメジャー路線にコバンザメのようにへばりついてお終いではなく、やはり浅草線でなければ、と言わせるだけの独自性、魅力的な施設が沿線の駅周辺に欲しいところ。でも、これって京急、京成含め沿線の人にしてみれば、銀座線や京浜東北線とほぼ同じ場所に空いている電車で直接アクセスできるということなのだから、そう悪いことではない。いや、むしろそのあまりの便利さ故に抜け出せなくなっているのかも!?<<★「あ、もう見えるじゃん」>>「押上なんて名前も知らなかった」。そんな会話を交わしながら駅を出て、まず一言。「あ、もう見えるじゃん」。そう、目的は建設中のスカイツリー。ここまでの大人気を誰が予測できただろうか? 建設現場周辺では世界一のタワーの景観だけではなく、見物にきたギャルを相手に典型的な浅草線オヤジがジモティならではのウンチクを語るという奇妙な光景まで新たに創出されている。なんだか浅草線にも光が差し込んできたなあ。なんといっても浅草線は世界の銀座エリアと世界のタワーを結ぶ唯一の路線だもんね。折しも、浅草線はどん底のように暗かった駅ホームを順次改装中。寒色系の沈んだタイルで消費意欲を減退させるほど暗かった東銀座と日本橋のホームも明るくなったし、お客さんを向かえる準備はできた。今度こそ、平行する銀座線に乗客をとられませんように…
- 東西線
- 【沿線ランドマーク】イトーヨーカドーとジャスコ、兜町、神楽坂、早稲田大学
- 【利用者イメージ】船橋都民、城東の団地住まい、日本型サラリーマン、オタクな早大生
- 【料理に例えると…】吉野家の牛丼 ●解説 <<★西から出発した東方見聞録 >> 東西線と言えば東陽町や葛西、浦安など、都心の東側の路線のイメージが強い。地下鉄のくせに長大な高架区間を誇る東西線。東京メトロなのに堂々と千葉を走る東西線。そして私鉄の朝ラッシュ時の最混雑区間を謳うようになった東西線。そう、路線名を「東方線」に変えた方がいいんじゃないか? と思ってしまうほど、東西線のトピックは東側に集中している。ところが意外にも東西線で1964年に先行開業したのは高田馬場-九段下間で都心の西側なのだ。もっというと、東側の西葛西、南行徳、妙典の3駅はさらに後に既存線に追加された新駅だ。この何気ない事実が意味するところは大きい。それは過去における東京の東西格差だ。つまり開業順はすでに発展していた西武新宿線沿線からの旅客輸送こそが当時の早急の課題であったことを意味し、新駅の連打は「ど田舎が思ったより発展しちゃったよ」ということなのだろう。最近は足立区や江戸川区も含め、城東地域を一括りに「下町」などと呼んだりするので誤解が生じやすいが、都心より東側は新宿や渋谷の西側などよりも遙かに新しく若い町である。いわゆる古くから人が住み、伝統を受け継いでいるという意味においての下町は、東西線でいえばせいぜい東陽町までの区間だ。その先、砂町よりも東側ともなると、70年代にも差し掛かろうという折りにすんなりと長大な高架を通せるほどだから、相当な陸の孤島であったことは想像に難くない。なお、隣を走る都営新宿線や京葉線の開業は東西線の全線開通よりもさらに後の話となる。<<★JRに勝って、自転車に負けた? >>ひるがえって、現在の東西線。その発展ぶりは自慢の高架から車窓を眺めていれば一目瞭然。雨後の竹の子のようなマンション群をはじめ、沿線の人口密度が凄まじそうなことは伝わるはずだ。だが、東西線の混雑の理由はそれだけではない。「安い! 速い! うまい!」の3拍子で、天下のJR路線を利便性で圧倒。まず、なんといっても東西線は速い。昼の快速なら西船橋からお江戸日本橋までわずか21分だ。渋谷から日本橋までの移動が最短でも銀座線で18分かかることを考えれば、これは特筆すべきタイムだ。加えて東京メトロは長い距離を乗り通しても運賃はさほど加算されないし、東西線は銀座線や日比谷線といった他の使える路線との乗り換えも便利。大手町駅も東京駅と連絡する絶妙なポジションであるなど、とにかく東西線は駅の造りがうまい。こうして東西線は遠方のJR線や直通している東葉高速鉄道からも乗客をかき集めているのである。そんな東西線にも泣き所がある。それは特に買い物においてだ。沿線の駅前に充実した商店街もなければ都心の大繁華街に繋がっているわけでもない。確かに都心の会社には近いのだけど、会社と家を往復する間に気晴らしとなるようなものや利便性、文化的体験が明らかに不足している。ここらへんが西側の新宿や池袋、渋谷に繋がる路線との決定的な差であり、また、東西線のもつ、独特のオヤジ臭の源泉なのだ。本当は西側よりもずっと若くて新しい地域なのにね。かわりにこの沿線にあるのは、駅とはなんの関係もない場所に突如としてそびえる大型スーパー。当然こういった場所にはマイカーや自転車で向かうこととなり、東西線との接点は何もない。<<★東西線の老後に待ちかまえるものとは >>さて、誰が何と言おうと新しくて若い東西線。産まれたときからちょっと老け顔だったかもしれないけど沿線の細胞は今現在もなお新陳代謝が活発なのか、若いファミリーの姿もよくみかける。東西線でどこへ?? 絶対途中で乗り換えるんだろうな…なんて差し出口はともかく、そんな流入してきた人口を円滑に輸送するために当座の知恵として投入されるのがワイドドア車だ。だけどそんなものを主力車種にしたら、高齢化でただでさえ年寄りが増えているのに座席の数まで減って、若い人は東西線ではもう着席機会なんて与えられなくなるんだろうな…昭和の「つくばエクスプレス」だった東西線。イメージ上のオヤジっぽさから、本当にオヤジばかりにならないためにも、平成生まれの若者にとっても魅力的にうつる路線になっておくれ。都心の勤務地に近いという強みも、将来、勤務形態が多様化したらどうなるかわからないんだからさ!
- 千代田線
- 【沿線ランドマーク】代々木公園、表参道、東京ミッドタウン、不忍池、谷根千、開成学園
- 【利用者イメージ】常磐線のことを千代田線と呼ぶ人たち、多摩急行のダイヤを空で言える人たち
- 【料理に例えると…】社員食堂のからあげ定食 ●解説 <<★「トンネルのむこうは、松戸の町でした。」 >> 千代田線が一部直通している小田急沿線は、シモキタや世田谷のイメージ、さらに新宿、渋谷にも近いということで、上京したての若者も多い。彼らの行動半径はテレビ、雑誌による情報という名の燃料で規定されているため、とりあえずの目的地は大抵の場合、新宿駅だ。複雑な地下鉄路線図はまだ馴染めないし、明治神宮前=原宿ということも念頭にないため、小田急でたまに千代田線直通電車が来ようものなら「ウゼエ」と吐き捨てるのだが、うっかり乗り間違えて千代田線内に突入してしまったものなら、もう大変。古く薄暗いホームには窓が田の字のススけた電車が轟々と行き交い、しかも行き先の幕(LEDではない)で目にする文字は「我孫子」「取手」「松戸」。例え、かの地はまったく知らなくとも、くすんだ幕に浮かぶ「我孫子」の文字に鄙びた牧歌的な何かを感じ取ってしまうのは、無理からぬことだ。こうして上京者は東京の光と影、タウン誌には載っていない大都会の本当の姿、流行だけではなく変わることのできない歴史もあることを、千代田線を通じて知るのである。そんなわけで目下の所、千代田線は東京で最も古びた印象を与えてくれる地下鉄である。明治神宮前<原宿>駅のホームも例外なく暗いのだが、副都心線との連絡階段のまわりだけ明るく綺麗なのが何とも当てつけがましい。副都心線の百貨店の化粧品売り場と見紛うばかりの白くピカピカな<原宿>駅をみると、これ、同じ運賃体系でいいのか? と思ってしまうのだが…カローラとレクサスぐらい差があるぞ!<<★千代田というのかい…贅沢な名だねぇ! >>基本的には千代田線は同じく北千住を経由する日比谷線と近似した性格の路線である。山の手側では戦後の米軍駐留に端を発した国際色を武器に富裕層向けの市場が確立され、北東側ではブルーカラー色の強い雑然とした気安い町が形成されるという、真逆の顔を持つ。ただし、日比谷線が観光、商業、風俗面に長け、「魔都」と称するにふさわしい要素が積もった裏社会的な面も一部のぞかせているのに対し、千代田線は官庁街やビジネス街の中枢を走る表社会としての顔が強い。この2線の違いは、千代田区と港区、ミッドタウンと六本木ヒルズのカラーの差がそのまま反映されているようで興味深い。そういう意味では、昼の街である千代田区の名は、なるほど路線名にうってつけといえる。と、同時に千代田線沿線で夜に繰り出す価値があるのは赤坂ぐらいだろう。堅気の仕事のない者には用のない路線であり、区の名前を引っ張ってことなければならないほど、沿線独自の看板に乏しい「カオナシ」路線でもある。「大手町」や「霞ヶ関」など、良いところを通っているのにどちらかというとマイナーな事情も、「千代田」の名にこめられているといえるだろう。<<★特急ロマンスカーの正しい乗り方 >>さて、千代田線の最近のトピックと言えば、なんといってもMSEことロマンスカーの登場だろう。しかし平日の上りで千代田線内にやってくるのは朝の7時台に1本だけという、通勤ライナーとしてもあんまりなダイヤ。そうまでして小田急の遠方から都心に通勤するのなら、いっそ、北東側で千代田線と直通する常磐緩行線に居を求めたらどうだろう? もちろん混雑率はかなり高いが、都心まではそう遠くないのにお求めやすい価格のマンションも充実。北千住にだって「成城石井」がある時代、何が何でも世田谷にこだわる意味がどれだけあるのか。ロマンスカーは休日に北千住から箱根への行楽目的で乗るのが正しい。…とまあ、新宿、渋谷、世田谷しか知らない上京したての若者には、これぐらいお節介を言っても言いすぎではないかも、ね!?
- 銀座線
- 【沿線ランドマーク】渋谷マークシティ、和光、三越、日本橋、上野駅、浅草雷門
- 【利用者イメージ】レディス4視聴者、お歳暮購入客、観光客、新橋帰りのサラリーマン
- 【料理に例えると…】資生堂パーラーのフルコース
- 解説 <<★昭和の頃から~、エースで4番~! >> 丸ノ内線と双璧をなす、東京メトロのエース路線である。中央通りと246という東京の二大目抜き通りの下を走っていると言えば、もうそれ以上の説明など不要であろう。よって、沿線には住宅もスーパーもほとんどなく、最も生活感の無い路線でもある。代わりに「お出かけ」という言葉がこれほど似合う路線はJRも含めて他にはない。「銀座線でお出かけ」。この言い回しは銀座線だからこそ美しく響くのであって、これが「東西線でお出かけ」だと、首にタオル巻いて江戸川にハゼ釣りに行くようにしか聞こえないのだから、まったくイメージとは恐ろしいものだ。なお、銀座線には親の家業を手伝う3人の子どもがおり、それぞれに人生という名の道を歩んでいるようだ。ちょっとだけ紹介すると、長男の「日比谷線」は六本木のバーで外国人をひっかけるほどの遊び人だ。自分では要領が良いつもりらしく、「法律なんて穴だらけさ」と有頂天になり、銀座のクラブに夜な夜な繰り出していた頃までは良かったが、株で失敗すると途端に行き詰まり、ついには北千住の場末のスナックに通うぐらいのことしかできなくなってしまった。孫を東武動物公園に連れて行くのが楽しみの静かな余生を送っているが内心は「築地で寿司でも食いたいぜ!」ぐらいのことは考えているのかも。次男の「千代田線」はというと、これは長男とは対照的に生真面目な性格だ。霞ヶ関でも大手町でも勤められるぐらい勉強もしたし、古いモノを長く大切に使うなど節約にも努めたが真面目なだけでは、所詮ただの凡才。結局、大した金も残せず、流れ着いた先はやはり北千住の飲み屋。インテリらしく最近は「散歩の達人」を片手に谷中銀座あたりを徘徊しているようだ。そんな二人の兄を尻目に最も成功したのが末っ子の「半蔵門線」だ。甘えっ子で小さい頃は親の銀座線にベッタリだったのに、ひとたび親元を離れるとスカイツリーなる下町の最もオイシイ部分をかっさらっていってしまった。末っ子やるなぁ。……と、まあ、こんな個性豊かな3人の子どもが必要となった理由は、それだけ銀座線が混むからだ。銀座線だけが東京のメインストリートであり、他の路線はそもそも銀座線のローカルなバイパスでしかなく、直通先の郊外沿線民をいかに銀座線に頼らず都心に運ぶかを命題として計画されている。<<★はぁ~花は上野よ~、ちょいと柳は銀座~! >>銀座線は新橋を境に大きく2つに分けることができ、その理由は銀座線の歴史を調べてもらえばすぐにわかるのだが、まずは中央通りを走る浅草~新橋間から。この区間はズバリ、パリでいうメトロ1号線のようなものだ。シャンゼリゼだ。リヴォリ通りだ。革命記念日のパレードはないけど、巨人軍の優勝パレードはあるぞ。また隅田川花火大会でも大活躍するなどイベントにもことかかない。銀座線車内は曜日、時間を問わず四六時中賑わっていて、まさに東京の華といえる区間だ。が、同時にこの区間は東京の中でも長期低迷にあえぎ続けているという顔も持つ。そもそも上野広小路などは銀座と共に都内一の地価だったのだが、とうにその面影はない。特に中央通り沿道の百貨店の売り上げはどこも非常に芳しくない。マスコミからは銀座の新ブティック出店やアキバの隆盛など華々しさばかりが伝わってくるが、大局的には超長期低迷傾向から抜け出したとはとてもいえないだろう。隣の昭和通りなどはすでにオフィスの再開発から見放されつつあり、これでは中央通りとは名ばかりの都心の「東端」通りという有様に掛け値無しになりつつある流れだ。<<★今日は渋谷で、5時! >>逆に勢いを増しているのが渋谷~新橋の主に246区間だ。ちなみに、渋谷~新橋といえば都バスの方でも都01という看板路線である。この区間の赤坂から虎ノ門、新橋、にかけては大丸有(大手町、丸の内、有楽町)に次ぐほどの業務集積地帯であり、特に朝は赤坂見附で丸ノ内線から大量の通勤客が乗り移ってくるために混雑が酷い。一方で、休日のこの区間はさほど混んでいる印象はない。イメージはともかく実態としては渋谷、表参道、新宿で買い物を済まして銀座までは行かない人がそれだけ多いということだ。さて、終点の渋谷であるが、こちらは大改造が計画されている。渋谷上空から東急東横店に突っ込み、改札と百貨店の売り場が一体化しているという、地下鉄随一のアクロバティックもいずれ見納めになる。具体的内容はというと銀座線のホームが現在の位置から文化会館跡地の「渋谷ヒカリエ」内に移動するという、井の頭沿線民涙目なシロモノ。そのことが東京にどういう変化をもたらすのか。銀座線は知っている。思えば地下鉄が東京で最初に開業したのは浅草-上野間だったし、東京初の高層建築物も電動式エレベータも浅草からだった。今はその反対側の渋谷でダイナミックな変化が起きている。と、同時に日本橋や京橋でもビルの共同化を伴う建て替えが動き始めており、都心機能のこれ以上の流出に待ったをかけている。銀座線とは最も古く、それでいて常に新しい東京を教えてくれる路線なのかもしれない。
- 有楽町線
- 【沿線ランドマーク】サンシャイン60、名門国公立校、東京国際フォーラム、佃リバーシティ
- 【利用者イメージ】練馬&埼玉のニューファミリー、銀座通いのキャナリーゼ&マリナーゼ
- 【料理に例えると…】モスのライスバーガー
- 解説 <<★「叩かれたりもするけれど、私はげんきです。」 >> すでに霞ヶ関をも越え、表参道すら射程圏内…有楽町線の豊洲駅の乗降客数の話である。現在、メトロの駅別乗降人員順位17位で131,069人。営団最後の03年度の数字を紐解いてみると、65位で50,588人。最新09年度の増加率も上位駅が全てマイナスの中、豊洲だけ6.7パーセント増と、中国経済を思わせるような高成長を維持し続けている。有楽町線の元気印、豊洲の快進撃はさらに続く。10年夏現在、3丁目に超大型オフィスビルが3棟並んで建設中。さらに2丁目にも業務用の広大な空き地。これらが完成すると豊洲2・3丁目の就業人口は3万3千人にものぼると見られており、あの汐留の就業人口が6万1千人であることを考えてもこれは相当な数だ。さらにさらに豊洲6丁目でも超高層オフィスやマンションの計画が具体化しているのだから、豊洲駅の利用客は今後も、「倍率ドン! さらに倍!!」状態。そんなわけで想定外の豊洲の成長に対応するため、改札を増やすなど豊洲駅は大規模改修の真っ最中である。有楽町線ではもう一つ、大がかりな改修がおこなわれている。小竹向原~千川間の連絡線だ。これは併走している副都心線との複雑なダイヤの中で生じる平面交差を解消するためのもの。掘削によるトンネル新設という大胆な追加投資に若者×ファッション×東横=副都心線に対する東京メトロの意気込みが伺える。なお、2009年1月~5月に売り出された中古マンション価格は首都県全体で10%近く下落した中、副都心線併走区間の小竹向原は5.4%、平和台は4.0%も上昇するなど、こちらも元気。こうして数字を見ると朝ラッシュ時の遅延や埋立て地に対する色んな意見もあるが、有楽町線は総じて成長している路線とみて間違いなさそうだ。<<★さあ、ミッキーのぼうしを買って、おうちに帰ろう>>有楽町線の名物と言えば新木場から乗り込んでくるディズニー帰りの若者&ファミリーであろう。東京駅での京葉線の不便さやりんかい線の運賃の高さを考えれば、なるほどディズニー路線として有楽町線を利用するのは理に適っている。そこへもってきて豊洲からはキッザニア帰りのファミリーまで合流してきて、さらには東池袋に子ども連れ御用達のサンシャインシティまで存在するのだ。こうしてみると不思議なくらいニューファミリーのお出かけ先は有楽町線に集中している。まあ、東側で下町ではなく湾岸を通っているのが大きいのだろうが、加えて有楽町線沿線には名門の国立や私立校も多いので自然と子どもの姿を他の路線よりも多く見かけるのだ。他の多くの路線が消し去りがたい昭和臭と加齢臭に悩まされているのに比べれば何とも対照的ではないか。<<★有楽町が東京のピカデリー・サーカスになるとき >>さて、そんな有楽町線はそもそも丸ノ内線の混雑緩和を担った後発のバイパス路線であった。それも丸ノ内線の「東京の拠点間を結ぶが、その間は住宅街」という性格まで受け継がれた。例えば麹町・番町などは非常に格式高い高級住宅街ではあったが、今のようなオフィス街ではなかった。飯田橋も然り。相次ぐ大規模再開発でオフィスが集積してきたのはほんの最近の話。そう、有楽町線は他の地下鉄のように都心の一等地を舐めるように走ることは叶わなかったが、代わりに自力でオフィス街を育て上げている路線であり、その流れの中で捉えれば、前述の豊洲再開発さえ、昔から脈々と続く有楽町線のライフワークの一環といえるだろう。さらにもう一つ、有楽町線の後発ゆえの独自色を挙げるとすれば、なんと開業時に自動改札が東京の他の路線に先立って導入されたていた先進性がある。しかしこれは美談でも何でもない。有楽町線は他の路線に乗り換える際に必ず改札を通らなければならない構造だったため、自動改札が導入しやすかっただけという話なのだ。ようはそれだけ乗り換えが不便ということ。今でこそ半蔵門線や南北線とは改札内で乗り換え可能だが他の路線との相性はすこぶる悪い。その極めつけが永田町、桜田門、有楽町、銀座一丁目の4駅だろう。いずれも赤坂見附、霞ヶ関、日比谷、銀座と通ってくれれば他の地下鉄との乗り換えが便利なのに、有楽町線独自の駅を一途に造ってしまったKYぶり。なお、この旧・自動改札は有楽町線以外の切符を投入してしまう利用客が相次ぎ、のちに撤去されたというのだから有楽町線のグダグダっぷりは、これまた昔からの伝統なのかもしれない。混乱をきたしながらも新しいシステムと街興しに果敢に挑戦し、子どもにまでその支持を広げるフロンティアな有楽町線。おそらく次なるターゲットは拠点「有楽町」だろう。実はこの有楽町駅の周辺は丸の内側も有楽町側も敷地の巨大な古いビルが未だゴロゴロしているという開発業者からすれば都心の宝の山みたいな土地なのだ。銀座と丸の内仲通りを結ぶ立地特性からして、いずれの区画も単なる超高層オフィスにとどまらず、低層階に大規模商業施設を設けてくるのは想像に難くない。そうなればすでに勢いづいている銀座マロニエ通りとの連携もあり、銀座の商業地図を一気に塗り替えるインパクトを持つ。その先に待つモノとは? 都心からはぐれたKYな路線だった有楽町線が、東京の中心と称されるときがいつの日か、来るのだろうか?
- 都営三田線
- 【沿線ランドマーク】高島平団地、巣鴨とげ抜き地蔵、芝増上寺、慶應大学
- 【利用者イメージ】ステッキを持った老人、白髪のサラリーマン、町のおばあちゃん
- 【料理に例えると…】地蔵通りの揚げまんじゅう
- 解説 <<★東京メトロには「ある」けど、都営地下鉄には「ない」 >> 世間では営団は儲かりそうな一等地の路線をとって、都営は儲かりそうもない不便な路線を押しつけられたと言われている。しかしこの言は、こと三田線にはあてはまらない。大手町や日比谷という都心の中枢をちゃんとおさえているし、内幸町は独自の駅だが新橋や虎ノ門の最寄りとしても機能する。都営どころかメトロにおいても三田線ほど千代田、港の両区のビジネス超一等地をおさえた路線は見あたらないのだ。だから都営地下鉄は不便な場所を押しつけられたいうのは正確ではない。じゃあ、営団=東京メトロにあって都営にないものの本当の正体とはなんであろう?<<★東西線には「ある」けど、三田線には「ない」 >>その答えは同じく大手町に通じる東西線と三田線を比較することでみえてくる。この2線はなかなか共通点が多く、大手町もそうだが、両線とも近郊に高架区間があるし、若者の集まる都心繁華街を通っていないオヤジ路線という点もクリソツだ。しかしそんな2線の利用状況はあまりにも対照的で、かたや私鉄随一の地獄通勤で有名なあの「東西線」であるのに対し、もう片方は8両編成分のホーム長が用意されているにもかかわらず未だに6両の短編成で、しかもラッシュ時においても本数、車内共にまだまだ余裕があり、さらに山手線ゲームをしようものなら絶対に最後まで名前を思い浮かべてもらえない、あの「三田線」なのだ。この差はなにか? 都心区間の優劣はない。となると、鍵になるのは高架区間だ。東西線の高架は長大かつ運行上条件の良い直線で、いかに当時のこのエリアが未開の地であったかを忍ばせる。さらに総武線、東葉高速とも直通しており、今なお沿線人口は増加中。一方で、三田線はというと、高架に突入したと思ったら既存市街地を避けるようにグネグネと曲がって高島平エリアに突入したと思ったらもうお終い。あなたは西高島平の地に降り立ったことがありますか? あそこの「地の果て」感はハンパではない。だが決して田舎ではないのだ。<<★三田線の役目は盆栽の剪定? >>もうお分かりだろうが、都営地下鉄にないもの、そのかでもとりわけ三田線にないもの。それは「成長余力」なのだ。三田線は志村までは中山道を走っていた都電の置き換えである。つまりもともと古くから宿場町として栄えていた場所なのだ。その先の高島平団地にしたって住人がハコに収まってさえしまえば、まったく発展の余地は無くなってしまう。これではどんなに通勤に便利な路線でも人が増え、暮らしやすくなり、沿線が活性化する余地がないのだ。完成された下町と団地、そして限られた直通先。これが都営の袋小路の正体だ。それに比べて東京メトロはどうだ? 日比谷線は広大な足立区を開発したし、千代田線は不便な常磐線にとってかわる足である。半蔵門線は多摩田園都市をブランド化する一助となったし、有楽町線に至っては東京湾でゴミの島を、練馬で田畑を宅地化するフロンティアっぷり。都営にも一応は将来の直通計画もあった。例えば三田線は和光市から東武東上線に直通する計画もあったし、戸田方面に延伸する計画もあった。目黒側では港北ニュータウンまで伸びる計画まで存在したのだが、現実的にはいずれも実を結んでいない。営団=東京メトロは広大な果樹園を買って、都営地下鉄は庭先の盆栽を買った、とまで言ったら大袈裟だろうか?<<★おれ、昇天なう >> 成長余力のない以上、あとは老け込んでいくしか道が残されていない。三田線は意外にも大手町を通る5線の中では2番目に新しいのだが、そうは思えないほど老け込んでいる。やはり若さに乏しい文京区を抜けて「おばあちゃんの原宿」こと巣鴨でお年寄りを拾い上げると、やたらと停車駅の多い板橋区に到達する。時間の有り余る年寄りにしてみればこまめに駅を設けてくれたほうが有り難いのだろう。おまけに「○○へお越しの方は、お降り下さい」なんて路線バスさながらのアナウンスまで流れてくる。しかもその「○○」の中身が2駅連続で介護付き有料老人ホームなのだから恐れ入る。やがて地下区間は終わり、天上からの光が差し込んでくると、相変わらずノタノタ走行する電車の車窓から目にいきなり飛び込んでくるのが「ひかりのくに」と記された謎の看板。ここはもう東京の果て「西高島平」。ご乗車、お疲れ様でした。この先にはもう何もありません。色んな意味で。…が、かといって三田線の将来は暗いわけではない。自慢の大丸有から新橋まで網羅した都心部がビジネス街として地盤沈下することなど考えられないし、そういう面では銀座線や日比谷線などよりも、よほど将来に渡って安泰だ。また浅草線のようなブルーカラーっぽさもないし、乗客は確かに年寄りが多いけどなかなか品の良い服を身につけていたりもする。将来、目黒線経由で相鉄の電車が乗り入れてくるようになっても、三田線が成長するとは思えないが、むしろ都営地下鉄が東京メトロと合併したときに、三田線は世間から見直されるかもしれない。だって都心への通勤、ビジネスには本当に便利なんだから!開発余力のない三田線にとって、イメージ、認知度の向上は利用者増加の切り札なのだ。
- 半蔵門線
- 【沿線ランドマーク】東急本店、イギリス大使館、日本武道館、三井本館
- 【利用者イメージ】上昇志向が強くスノッブな東急田園都市線沿線住民
- 【料理に例えると…】午後の紅茶(キリンビバレッジ)に、ビスケット(は森永)
- 解説 <<★地獄の沙汰も、東急しだい >>当線の最大の特徴は、渋谷を挟んで東急田園都市線と完全に一体化していることである。田園都市線の全ての電車はほぼ例外なくそのまま半蔵門線となるし、逆もまた然りだ。自社ターミナルのテリトリーを奪われまいとして、1時間あたり2~4本程度の名ばかり直通でお茶を濁している路線が多い中、これは立派と言える。また、渋谷を介した直通であるため、朝の通勤は直通電車の恩恵を受けながらも、帰りは渋谷で飲んで帰ることが可能だ。最近は混雑緩和のため、東急も大井町や目黒経由の都心通勤を奨励したりもしているが、誰がどう考えても渋谷経由の定期券のほうがそりゃ魅力的だ。ただし、完全直通の欠点として、渋谷始発の電車がほとんど無いため、座って帰ることができない。さらに渋谷駅ホームはその利用客の多さからすると、あまりにも普通の地下鉄然としたホームの規模で、朝も夜も乗客を捌ききれずに定時運行上のボトルネックとなっている。行きも地獄、帰りも地獄とはまさにこのことを言う。結局、どういう直通の形が便利かは、意見の分かれるところだ。とはいえ、この渋谷を介した大手町までの完全直通形態が東急田園都市線沿線の発展をもたらしたのは間違いないであろう。ただの田舎電車でしかなかった田園都市線が新玉川線(今の二子玉川~渋谷)と直通運転を開始した翌昭和53年に半蔵門線が青山一丁目まで開業。当時は渋谷駅の管轄が営団でありながら、半蔵門線の車両は全て東急車でまかなわれていたあたり、半蔵門線と東急の一体ぶりがうかがえる。現在でも東京メトロ所有の車両基地が川崎市の鷺沼にあるなど、世の仮面夫婦に煎じて飲ませたいほどの蜜月ぶりだ。なお、その名の示すとおり、渋谷~半蔵門の部分開業の時代が比較的長かったが、表参道で銀座線と同じ島ホームで乗り換え可能なため、さほど不便ではなかったであろう。また、銀座線に限らず、半蔵門線は他の多くの地下鉄と乗り換える機会に恵まれている。その混雑をもってして、東の東西線、西の田園都市線と称されるが、多くの地下鉄と乗り換え可能な点においても東西線と半蔵門線は似ているのだ。ただし、後発故か半蔵門線の駅は特に渋谷、永田町、大手町、三越前といった主要駅においてホームがとても深く、かなりの上下動を要求されるので注意が必要だ。一方、最近は押上より東武伊勢崎線とも直通運転をしているが、東急とは異なり、急行と準急が乗り入れるだけなので都内での認知度は低い。また東武側から都心へ到達するには錦糸町を通る迂回ルートとなるために、速達性においても疑問符がつき、流入客も少ない。そのくせ、田園都市線、半蔵門線内においてはむしろ東武の車両が最も多く、北関東に地縁でもないかぎり聞き慣れない地名の車内広告や行き先で、奇妙な存在感を示している。<<★半蔵門線の将来は「2位じゃダメなんですか?」 >> ところで、半蔵門線には独特のちょっとしたおもしろい現象がある。沿線イメージ調査の結果がやたらとハイスコアなのだ。ここに不動産ポータルサイトの「HOME'S」が2006年に地下鉄各線のユーザーにおこなった満足度調査の結果がある。総合満足度1位が南北線で最下位が東西線、ブービーが千代田線、銀座線も下位であることからして、「混雑の激しい路線ほどユーザーの評価が低くなるんだな」と思いきや、さにあらず。かなりの混雑路線の半蔵門線がなぜか南北線に次いで満足度2位という結果。ここいらあたりからしてすでに半蔵門線ユーザー=田園都市線沿線住民の独特の自己陶酔的な意識が垣間見えてくる。さらに結果をみてみよう。各路線で想起する沿線イメージの上位3位までをかいつまんでみると半蔵門線のイメージの2位は「おしゃれ」という結果がでている。おしゃれイメージが3位までに入っているのは地下鉄12線(副都心線未開業)中、半蔵門線だけだ。逆に半蔵門線と銀座線をのぞく全ての路線でイメージ上位3までに「庶民的」という答えが入っている。あの日比谷線ですら最もイメージされる答えの1位が「庶民的」なのだ。なぜ半蔵門線だけが「おしゃれ」なのか? 理解に苦しむ反応としか言いようがない。さらにさらに。半蔵門線のイメージ3位は「美味しいお店が多い」。もう何をか況や、である。「おしゃれ」にしてもそうだが、半蔵門線沿線で該当するのはどう好意的に見繕ってもせいぜい表参道、青山エリアくらいだ。「美味しいお店が多い」に関しては日比谷線も銀座線も3位にはいっているのだが、日比谷線や銀座線と並んで、もしくは差し置いて「美味しいお店が多い」と答える神経の図太さたるや、並大抵のものではない。極めつけは半蔵門線のイメージ1位。「これから発展していくと思う」。……残念ながら東京の開発計画を俯瞰してみる限り、半蔵門線だけがことさら発展していきそうな気配などまるでない。大手町はもちろん連鎖再開発が進むだろうが、大手町は半蔵門線に限ったエリアではないし、あとは日本橋室町で三井が大規模開発をおこなっているが、これは発展というよりも丸の内や港区にこれ以上置いて行かれまいとする焦りやもがきにみえる。押上のスカイツリーにしても田園都市線住民の意味する発展とは違うものだろう。オシャレ、グルメ、発展。わかりやすいけど、この痛々しいまでの上昇志向は成熟しきった今の日本にあっては、かえって沿線発展の妨げにすらなっているのではないかと思う。事実、利用者が増え続けていると信じられていた田園都市線もここ数年はほとんどの駅で乗降客数が減少を続けるなど陰りがみえるのだ。とはいえ、この田園都市線によってもたらされる半蔵門線の好イメージは、それだけ両線が一つの路線として認識されている証であろう。日比谷線や千代田線がこれまた実態とは乖離して庶民的にみられてしまうのも、東武伊勢崎線や、常磐線からの直通本数、流入客数が多いからといえる。東京の地下鉄のイメージは直通先との密接度によって大きく左右されてしまうのだ。なお、日経リサーチが2010年におこなった最新の地下鉄沿線イメージ調査でも都会的の項目で半蔵門線は銀座線、丸ノ内線に次ぐ3位につけている。もともと平均以上の実力を持った半蔵門線だけに、これら調査の好印象からして、ずっとイイ感じの路線でありつづけることは間違いないだろう。
- 大江戸線
- 【沿線ランドマーク】光が丘団地、東京都庁、港区の再開発地、中央区の超高層マンション
- 【利用者イメージ】垂直長屋に住むアッパーミドル、ぶらり街歩きの好きなシルバーパス所持者
- 【料理に例えると…】高級回転寿司
- 解説 <<★べらんめえ! こまけぇこたぁいいんだよ!! >> まあ、大江戸線はまずもって「深い」と言われてしまう。「感慨深い」とか「味わい深い」ということではなく、単に物理的に深いのだからまいってしまう。特に新宿や六本木といったもっとも利用者の多い駅ほど深い点が、悪い印象に拍車をかける。加えて、車内の狭さもまた大江戸線の悪しき特徴だろう。圧迫感のあるところへもってきてカーブを走行中に耳をつんざくような異音に多々見舞われる。大江戸線は半ば環状線なので当然カーブは多い。どうやらあの音はブレーキ音ということらしい。大丈夫なのか?しかし、以上のような欠点は不可抗力だ。後発の路線故に、既に多くの路線が入り乱れている主要駅ほど深くなってしまうのは仕方がないし、建設費を節約するために径の小さいトンネルを採用したのも時代の要請といえる。確かにこれら問題は利便性や快適性に直結するものなので無いに越したことはないが、所詮は鉄とコンクリートの話でしかない。「コンクリートから人へ」。どっかの友愛政党のスローガンではないが、鉄道の主役は人だ。そして人がその鉄道を利用する最大の決め手となるのはそこに「街」があるからである。沿線の街に魅力があれば、どんなに駅が深くても車内が狭く煩くても人は電車に乗るだろう。<<★大江戸沿線物語 ~高台を捨て、高層へ~ >>昭和の沿線住宅開発の成功例が東急田園都市線とするなら、平成の成功例こそは、この大江戸線であろう。郊外の私鉄の高台の住宅地から、都心の地下鉄の高層マンションへと主役の座が移ったわけだ。最も象徴的なのが絵に描いたような下町の風景をハイペースで超高層マンション群に塗り替え続けている中央区の月島、勝どき界隈である。銀座に直線距離で近かったこのエリアを劇的に変貌させるきっかけになったのは、都市開発に関わる法改正と共に、大江戸線の果たした役割はとてつもなく大きい。さらにお役人もここまでの成功を予見できなかったのか、勝どき駅に至っては朝の駅構内と出入り口の混雑を解消するため、地下ホーム拡幅等の難工事を今になっておこなっているほどだ。とはいえ、昭和の田園都市線に対し平成の大江戸線と称するには、路線としての明確なイメージが大江戸線には存在しない。だいたい、家を探すにしても「大江戸線で探そう」とはなかなか考えないであろうし、「大江戸線沿線に住んでいます」と答える人も少ないと思う。このことは大江戸線が俗に「6の字」運転と言われながらも、路線図上は環状線であることに帰結する。環状線であるから、東西南北まったく性格の異なるエリアの寄り合い所帯となるし、放射状に伸びる鉄道との結節点が多く、ザ・大江戸線の駅というもの自体が多くないのだ。しかし、その散漫な沿線イメージこそが大江戸線の強みの裏返しではないだろうか?大江戸線は開通を契機に、利便性に優れる各乗換駅においてそれまで地味であった周辺の街の認知度を劇的に向上させるあまたの再開発プロジェクトをも成功させてきた。前述の月島然り、清澄白河、中野坂上、練馬、飯田橋、麻布十番、青山一丁目などあげればきりがない。それらプロジェクトの中でも最も象徴的なのがあの六本木であろう。また、大江戸線により新しい息吹を吹き込まれた街がそれぞれのブランドを独自に確立するまでになったからこそ、大江戸線としてのイメージをますます希薄にしているともいえるのだ。そんな大江戸線の沿線を結びつける唯一のキーワードが高層住宅ということになろう。大江戸線はもともと光が丘~練馬間のローカル鉄道であったが、この始発の光が丘自体が機能的な高層住宅の先駆けのような存在だ。まさに巨大公園の中に住まいがある、といった風情で公共施設も充実しているし、この環境から座って新宿や六本木、汐留の超高層ビルに通勤できるなんてある種の理想郷のようでもある。もっといえば、同じ都営でも三田線の暗いイメージ、大江戸線の明るいイメージは、高島平団地と光が丘団地の差とまでいっても過言ではないだろう。なお、光が丘は「グラント・ハイツ」と呼ばれるアメリカ空軍の家族宿舎が返還された跡地であるし、六本木一帯は「ハーディ・バラックス」と呼ばれる米軍駐留地であった。このハーディ・バラックスの跡地は現在、東京ミッドタウンや国立新美術館として六本木の新しい顔となっている。実は大江戸線はアメリカとの縁も深い路線なのである。<<★…そして江戸が色濃く残るエリアほど活気がない皮肉 >>一方で、再開発地の多い大江戸線でも高層化を頑なに拒み続ける頑固エリアが存在する。古めかしい町名を伝承し続けている牛込地区がそれだ。新宿区は条例により区内の大部分のエリアで新規の高層開発を禁じているので、せっかく大江戸線が陸の孤島から開放したにもかかわらず、隠遁者としての道を歩み続けている。また、上野御徒町、蔵前界隈に至っては、地域間競争で戦うことなど露程も考えていないような諦めムードが全体に漂っている。大江戸線は都心の南と北の勢いの差を如実に表出させたと言って良いだろう。光が丘を始発とする放射部は都庁前駅から環状部の南側に直通するように終日運転しているし、朝の最混雑区間は東西線からの乗客を南側に運ぶ門前仲町→月島間となっている。さて、今後の大江戸線であるが、光が丘から先、西側の大泉学園町方面への延伸計画が持ち上がっている。沿線としてのイメージの希薄な大江戸線ではあるが、放射部が伸びることにより通勤路線としての重量感が増し、新宿、六本木に便利な沿線としてイメージしやすくなるかもしれない。 ……、うーん、しかし、いったいどこまで江戸は大きくなるんだ?やはり「ゆめもぐら」の方が良かったのだろうか? もっとも死んでも言えないけどね。「ゆめもぐらに住んでます」なんて。恥ずかしくて…
- 南北線
- 【沿線ランドマーク】六義園、小石川後楽園、サントリーホール、麻布十番、プラチナストリート
- 【利用者イメージ】関東に昔から地縁のある通勤通学者、サッカーファン
- 【料理に例えると…】老舗洋食屋のオムライス
- 解説 <<★本当の金持ちは退屈で慎ましいのか?? >>南北線は例えば地方から上京してきたような若者には最も話の通じない路線であろう。ざっと沿線を見渡した限り、スター不在であることは否めない。南北線沿線でいちばん賑やかな街は? と問われると答えに窮するのではないだろうか? しばらく考えてみると「飯田橋の神楽坂…」とか「後楽園? ラクーアあるし……」みたいな答えがポツポツと浮かんではくるが、「でも………」となってしまうであろう。白金なんかはマスコミにおける露出度も高かったもんだが、飽きられたのかデフレの世相を反映しているのか、最近は「シロガネーゼ」なんて造語を使う機会もめっきり無くなってしまったようだ。南北線の路線の経路を決定するにあたっては、もう少し柔軟さがあってもよかったのではないかと思う。例えば王子をでたらビッグターミナルで大商業地の池袋を経由して、早稲田、四谷へと抜けるコースでも大きな迂回にはならなかったはずだ。ましてや、南北線の駒込~後楽園にかけては都営三田線とほぼ平行していて、どちらも行き着く先は白金高輪~目黒のメトロ&都営併走区間となっている。地味な者どうしがここまでお互いに寄添い合って、いったいどうしようというのか? また直通先の埼玉高速鉄道沿線からすると赤羽岩淵駅がJR赤羽駅に接続していないのがツライ。もっとも赤羽駅などに乗り入れて乗客が南北線に流れることなくJRに逸走してしまうのを懸念してのことなのだろうが、「そんな逃げ腰な路線、はじめから作るなよ…」と言いたくなってしまう。結局のところ、地下鉄沿線のイメージを決定づけるのは魅力的な商業地である。公益性の観点からしても住宅よりも業務ビル、業務ビルよりも商業ビルなのだから。何線とはあえて言わないが、あれだけ都心のオフィス街を貫通していても、地味とか暗いとかオヤジ臭いなどと言われてしまう路線だってあるのだ。商業→業務→住宅という序列がまかりとおる中、間違いなく最下層に位置してしまうのがこの南北線だ。商業も弱ければオフィス街も弱い。森ビルのアークヒルズを皮切りに溜池山王から六本木一丁目にかけてはAクラスと呼ばれる高スペックのオフィスビルがずいぶんと集積はしてきたが、丸の内界隈や六本木ヒルズなどと比べると、どうしても見劣りするのだ。代わりに南北線沿線にあるのは俗にプレミアムアドレスと呼ばれる高級住宅街だ。本駒込、小石川、西片、市ヶ谷砂土原町、番町、赤坂、南麻布、白金台、上大崎と字面からして襟を正したような由緒正しい住所ばかりである。というわけで南北線に乗って最もハッスルするのは、自分で買うわけでもない高級住宅街のことを喧々囂々した上でその正しい序列化に日々心血を注いでいる高級住宅街オタクであろう。しかし、そんなオタクの中でもひときわマイノリティなオタクの数はたかが知れているし、金持ちはあまり電車に乗らない。だから乗客が少ない。もっというと悪いイメージすら持たれないほど空気な存在なのが南北線なのではないだろうか? もっともその空気は澄んでいて清潔なのだけど。数少ない南北線の公益性の高さを上げるとすれば、まず六本木一丁目は単独駅でありながら周囲に泉ガーデンをはじめとした都市機能が集積していること。そして溜池山王駅での銀座線への乗り換えがとても便利なことであろう。ちなみに銀座線の溜池山王駅は97年に南北線が延伸した際に一緒に開業した駅である。<<★スイーツ(笑)のいない路線に将来はあるか? >>と、まあ南北線自体は空気なのだが、この地下鉄線内の空気を直通先の東急沿線までそのまま共有していることはまことに興味深い。すでに南北線に関してはスター不在の静かな高級住宅街路線と結論づけたが、同じことが直通運転している東急目黒線にもそのまま当てはまることに異論はないであろう。これが、南北線と目黒線の関係だけで終わるのなら取り立ててどうということはないが、東急田園都市線と半蔵門線においても、朝と夕方に極端に混雑が集中する典型的なサラリーマン通勤路線という点で一致しているし、東横線と日比谷線に関しては単なる通勤路線にとどまらない、若者から観光客まで混載した華のあるメジャー路線としての共通項があると言えるのではないだろうか。この東急沿線との直通関係というのは本当にあなどれないものがある。東急の各沿線にはそれぞれ同類の人を惹きつけるような明確なイメージが存在するからだ。特に看板路線の東横線は、その割高とも言われる賃料に尻込みをしない進取の気性に富んだ感度の高い消費者が多く、意欲ある若い起業家が店や事務所をもつのにも最適の立地といえる。東横線と直通する日比谷線の恵比寿や六本木には若くて勢いのある企業、クリエイティブな産業が多く立地しているが、東横線との結びつきにより優秀な人材確保の点で有利であることも強く作用しているだろう。東横線と副都心線が一体化する2012年以降は、日比谷線と副都心線との間で、クリエイティブ産業や情報サービス企業の綱引きが激しくなることも予想される。この副都心線はファッションを中心とした日本一の消費地であることからも東横線との組み合わせはお互いが相乗効果を上げる上でベストマッチではないだろうか。先に「地下鉄沿線のイメージを決定づけるのは魅力的な商業地である」と述べたが、街を育て沿線のイメージを形成するのは、結局のところ人であり、視野の狭い鉄道オタクや退嬰的になってしまった中年男性でもない限り、人は家と会社を往復するだけでは満足しないものである。丸の内ほどのオフィス街ですら、商業地としての地位を確立しなければオフィス街としての優位性を保てなくなってしまったほどサービス業経済が進展した東京。その東京の中でも新しい路線である南北線が、大きな商業地をまったく経由していないというのは、やはり、あまりにももったいないなあ、と思わずにはいわれないのである。
- 池袋駅
- 【駅周辺ランドマーク】西武池袋本店、サンシャインシティ、家電量販店本店、池袋西口公園
- 【パリのメトロに例えると…】バスティーユ駅
- 解説 <<★地下鉄乗降客数1位は伊達じゃない? >>もし、あなたが池袋という街にはじめて、それも期待を胸に訪れるのであれば絶対に地下鉄でアクセスすることをお奨めする。なぜなら地下鉄には車窓というものがないからだ。山手線で新宿方面から池袋に向かったとしよう。目白を過ぎ、車内アナウンスは池袋にまもなく到着することを告げているにもかかわらず、窓の外から目に飛び込んでくる景色にはあの「有名」で「大きく」て「新宿、渋谷と並ぶ副都心」の池袋の気配が一向に感じられない。どこまでも雑然とした、それも木造一戸建てと安アパートが線路際まで迫り来る有様に、これから訪れる街に対する不安を覚えずにはいられないはずだ。最悪なのは大塚、板橋方面からの来訪である。池袋北口という東京で最も悲惨な街並みがあなたを出迎えてくれるからだ。廃墟マニアの間で絶大な支持を誇った都営アパートが取り壊されたからまだいいようなものの、巨大なサラ金の看板と広大な青空駐車場、そして薄汚い風俗ビルが渾然一体となって襲いかかってくる景色を目の前にして「何というところに来てしまったんだろう…」と街に繰り出す前からいきなりゲンナリしてしまうこと請け合いだ。その点、地下鉄の池袋駅ときたら、これはもう立派なものだ。なかでも有楽町線のホームは豪勢で、そのホーム幅といい、天井の高さといい、それはそれは東京の他の駅ではお目にかかることのできない立派なつくりである。東京に初めてきた者なら「やっぱ大都会は違うな」とコロっと騙されてしまうであろう。副都心線はホームこそ上々の主要駅といった程度におさまるものの、改札前のコンコースが凄い。「パリをモチーフにしました」と恥ずかしげもなく呼号するだけのことはあり、池袋に対する偏見をもった御仁が腰を抜かすほど洒落た空間となっている。最近できた池袋の新名所「エチカ池袋」という地下街がそれだ。このエチカをまずは歩いてオシャレな池袋の束の間の夢を見るのもいいが、副都心線ホームの最も渋谷寄りのエスカレータをのぼってテクテクと通路を歩いていくと、正面にいきなり赤い電車の顔が見えてくる光景に驚かされるであろう。心配ご無用。電車があなたに向かって突っ込んでくることはない。そこは終点、丸ノ内線の池袋。ホームの行き先案内には「銀座・新宿・荻窪」とあるが、今となっては副都心線経由のほうが新宿や荻窪へずっと速く到着できるのだから、案内板を最も必要としている不慣れな人のことを考えれば、これは絶対に再考したほうがよい。ついでにもう一つ。副都心線と丸ノ内線の連絡通路は改札こそ通らずに済むものの、競歩の選手でもない限り、それなりに距離を感じるであろう。なんとか空間を工夫して動く歩道を設置してもらいたかった。<<★もはやこの世にダサイ街はない?? >>さて、池袋駅を語るときに欠かせないキーワードとなるものが「駅袋」であろう。語源については諸説あるが、総じて「駅の外には賑わいのない通過駅」といったものに集約される。しかし本当に駅の外に無いのは賑わいではない。企業の本社なのだ。知名度抜群の「サンシャイン60」ビルもあるにはあるが、入居しているテナントは支店が多いような気がする。つまるところ池袋は支店経済なのだ。ここが新宿や渋谷に比べて決定的に劣る。多くのサラリーマンにとって池袋は目的地たりえず、さらに電車を乗り継いで都心へと向かっていくことになる。池袋にオフィスが少ない背景には色々あるのだろうが、特に経営のイニシアティブを取っている年長者になればなるほど、池袋の心象がとてつもなく悪い点は無視できないであろう。実際、ニュースなどをみていると、企業犯罪と呼ぶにはあまりにも程度の低い「違法ビデオを販売しちゃいました」的なケースは池袋を拠点としていることが多い。よって「旧セゾングループ」のような創業以来の地縁でもない限り、パチンコメーカーや居酒屋経営のような泥臭い商売しか池袋に本社の地を求めないのである。その一方、最近のトレンドとして、若い人の間では池袋のイメージが急速に向上している兆しがある。昔ではまったく考えられなかったことだが、「あの」池袋が住みたい街ランキングで唐突に上位に顔を出したりするのだ。しかしこれは最近の池袋をみていれば不思議でもなんでもない。新宿や渋谷に住むというのは夢想的なように聞こえるが、これが池袋となると話はグッと現実的になる。それでいて渋谷や新宿ほどではないにしろ、若い人の欲しがるものが池袋にはギュッと詰まっているのだから。ブログ文化の影響もあると思う。ブログでは旧来のメディアがあまり取り上げてこなかった街をテーマにした方が必然性も需要も新鮮さもあるからだ。これは何も池袋に限ったことではなく、今まであまり日の目を見なかった地味なエリアや実力はあるのに知名度の無かった駅がじわじわと評価を上げていく力を秘めているように思える。だいたい「住めば都」という言葉があるように、どんなダサイ街だって住んでみれば良いところの一つや二つはみつかるはずだ。それどころか今の若い人にとっては、そういった自分の身近の小さな幸せをみつけることのほうが、背伸びして人気タウンにしがみつくよりも、自分にしっくりきたりするものなのだ。<<★池袋とハサミは使いよう? >> そういうこともあって今では「池袋が好き」と言いやすい環境にだいぶなったのではないか。そもそも池袋に愛着を持つ人は非常に多い。そりゃそうだろう。渋谷なんかよりも多くの人が毎日、池袋駅を利用しているのだから。しかし、その「好き」の中身となると「得られる利便性のわりには居住コストが安い」といった経済的都合によるものや、「何となく落ち着く」「私は良いと思う」といった他人を説得する力のないものになってしまう。だが、これらは素直な地元意識の発露ではある。タチが悪いのはつまらない文化人が池袋を語るときの常套句「都会の中の田舎なところが云々」といったものだ。これはもう切り口としてはあまりにも使い古されていて、プロの表現者ならたとえ本当にそう思っているとしても何か他のことを言ってほしいものだ。ついでに言うと、雑誌の池袋特集で判を押したように「ラーメン」「エスニック」「乙女ロード」と構成するのもいささか食傷気味だ。確かにこれらはメインストリートの「サンシャイン60通り」ですらファーストフード、ゲーセン、パチンコ屋、居酒屋ぐらいしかめぼしいものがない池袋にとっては欠くことのできない要素ではあるのかもしれないが。ただ、池袋は街が小さいことがこれ幸いして、乗換えの際に買い物をするのに便利という合理性がある。渋谷だと気取っているのか何なのか、坂の上にあるような人気ショップが池袋では大抵の場合、駅ビルに入っていたりする。また、毎日の生活には欠かせない食料品も地下一階で繋がる西武と東武、そして地下街を往復すれば効率よく、それも東京の中でもとびきりの品揃えの中から選択することが可能だ。池袋のこういう点はもっと評価されて然るべきだし、池袋を乗換えの拠点に生活する理由として大いに「アリ」であろう。また、池袋東口では駅前の明治通りやグリーン大通りの車を排除し、欧米の都市にあるようなトランジットモールを構築しようという遠大な計画が持ち上がっている。夢物語のような話だが、そのための前提となる都施工の環5-1号線バイパストンネルは具体化までこぎ着けた。区役所跡地や造幣局再開発などの大規模な開発用地も残されているので東京のまさかの「大穴」であることは記しておこう。
- 渋谷駅
- 【駅周辺ランドマーク】ハチ公広場、SHIBUYA109、bunkamura、NHK放送センター
- 【ロンドンのチューブに例えると…】ピカデリー・サーカス駅
- 解説 <<★渋谷人気が先か? 沿線人気が先か? >> 鉄道業界においてブランド価値が最も高いのは電車の方向幕が「渋谷」であることだろう。京王井の頭線と東急東横線というリッチで羨望の的の2大路線は行き先がこの「渋谷」だ。地下鉄の中で最も歴史が古く、沿線に多数の商業地域とオフィス街を抱える銀座線にしても「渋谷」である。ターミナル駅としての規模や乗降客数は新宿や池袋の後塵を拝するものの、渋谷に結集する路線は一般論として評価、人気が高い。こう言うと「渋谷が人気なのではない。東急沿線や井の頭線沿線にある数々の街の魅力故なのだ。特に東急様の素晴らしい開発が…」といった、もはや宗教論争的な話になってしまう。しかし、73年にはNHK移転や渋谷パルコ誕生により、文化、ファッションの発信地としてトレンディ渋谷が全国にその名を轟かせはじめたことを考えれば、認知度の一点においても渋谷の開発がそこからのびる沿線に及ぼした好影響はやはり計り知れないものがある。それに渋谷は趣味がよい。ファッションや音楽にしてもただ消費するだけにとどまらず、オピニオンリーダーを自認する人々が、それぞれのセンスを競い合って発信する気風がある。そういった進取の気性に富んだ主役が、大型店よりも個人店、表通りよりも裏通りへと渋谷の街を独自のものに発展させることにより、さらに多くの若者を惹き付けていったのだろう。秋葉原や池袋のオタク文化が趣味として劣位と言う気は毛頭無いが、やってることがあまりにも二次消費的で「この場所から発信している」という説得力はどうしても欠ける。それにコスプレにしても忠実度やひねりを競うことはできても、そのセンスを池袋の衣装店がセレクトして提供するというは難しいのではないだろうか?ついでにいうと「アニメ制作会社があるからアニメのまちでござい」なんて類の街興しも、せいぜいギョーカイ人が打ち上げに駅前の飲み屋を利用する程度の痕跡しか街には残さないのだから、アニメのまちと必死にアピールされても「それがどーした」としか言いようがない。「ラーメン激戦区」なんて称号はもっと悲惨で、こんなものは街の個性でも強みでも何でもなく、単なる食費による客層のリトマス試験紙でしかない。だいたいラーメン激戦区なるものは津々浦々、どこにでも突如として現れては消えるのを繰り返しているではないか。ネタ切れした雑誌の企画に体よく利用されているだけとみるのが妥当であろう。もちろん渋谷にだって非常に多くの求道系ラーメン店は存在する。でも、余所みたいにラーメン激戦区であることを声高に叫ぶ必要がない時点で、それはもう渋谷というブランドの勝ちなのである。<<★「 渋谷経由でのりかえ 」 ←クリック >>さて、昔話はこのへんにして時計の針を現代に戻そう。今の渋谷を象徴する特徴的な事例として、HMVやブックファーストといった大型店が撤退した後に、海外ファストファッションがその穴を埋めたことがあげられるだろう。残念ながら銀座や原宿の後塵を拝する、それどころか最近すっかりファストファッション街と化した新宿三丁目と比べてもやや出遅れての出店である。若者の気質や文化の変容の中で、往年の先鋭さが失われてしまったのが今の渋谷の姿だ。楽器専門店やライブハウスの集積などは未だ衰えぬ渋谷の面目躍如といったところだが、これさえも、40代以上のオヤジ世代の青春回顧癖が支えている側面がある。渋谷はかつての神通力を失った今、ターミナルとしての構造的欠陥ばかりが浮き彫りになってきている。具体的に言い換えると、渋谷を目的地ではなく乗換駅として捉えたときの渋谷駅の機能性は果たしてどうか? ということだ。さて、どうであろう?地下5階から地上3階まで、道玄坂の中枢から並木橋の目と鼻の先まで、非常に広範でかつ多くの上下動を要求される素晴らしいエクササイズマシンとしての駅に仕上がっている。さらにどの改札を出るかでまったく通路が異なるうえ、見通しの利かない中で細い通路が立体的に入り組むなど、高齢者の脳トレとしてもなかなか出来がよい駅ではないだろうか?ここらへんの乗り換えの簡便さは地下1階だけですべての路線の改札につながる池袋駅に遙かに軍配が上がる。特に東武東上線の都内区間は井の頭線と同じく地下鉄直通がないのでターミナル駅で乗り換える機会が必然的に多いが、そのスムーズさはというと、JR線とも丸ノ内線ともほとんど隣り合わせの東武東上線の方がずっと便利といえる。池袋にしても東武東上線にしてもすこぶるイメージも見栄えも悪いが、だからといって何でもかんでもマイナスバイアスをかけるのは事実を単純化しすぎているし、単なる偏見だ。もっというと、3大ターミナルの中で私鉄、地下鉄各線からりんかい線直通電車や湘南新宿ラインへの乗換えがちゃんと機能しているのは池袋だけである。渋谷駅における埼京線、湘南新宿ラインの不便さは、東京駅の京葉線ホームと並んで語り種になっている。そんな渋谷駅の乗換コンコースの中で異彩を放っているのが、井の頭線の駅舎に飾られた岡本太郎による巨大壁画「明日の神話」だ。第五福竜丸事件をテーマにした芸術をなるべく多くの人の目に留まるようにという理念はあまりにも崇高だが、はっきりいって毎日拝みたくなるようなものではない。実際に観てもらえばわかるがむしろ部屋に飾りたくないタイプのシロモノだ。とにかく巨大なのでオブジェとしての存在感は抜群だし高名な芸術家の代表作が毎日利用する駅にあるというのは誇らしいけど、これが乗換えの煩わしさを癒してくれるわけではもちろんない。こんなことに騙されてはいけない。また、渋谷は乗り換えが不便なだけには留まらず、乗り換えの際にちょっと買い物するにも不便だ。なにより渋谷の駅ビルは池袋や新宿のそれと比べて圧倒的に規模が小さい。その上、各大型店内部の移動も不便極まりない。複数館体制で分かれている「西武」や「パルコ」は言うに及ばず、エスカレータのない独特な構造の「東急ハンズ」は坂が多い地形の影響が滲み出ている。東急東横店や渋谷マークシティに至っては同じフロアなのに館によって相互に移動できなかったり、逆に同じ館なのに上のフロアに行けなかったりとドラクエのダンジョンのような複雑怪奇さだ。渋谷のフツーの街としての買い物の不便さの象徴として大型書店がある。駅周辺にもそれなりに品揃えの良い本屋は渋谷にだってあるが、池袋や新宿並の品揃えを求めると坂の上の雲ならぬ坂の上の東急本店にある「丸善&ジュンク堂書店」という呼び名に困る店までえっちらおっちら足を運ばなければならない。しかもこの東急本店、一筋縄ではいかない。店に入った途端、ただ一冊の本が欲しいだけの客に対し、ブルガリやらグッチやらのいかめしいブティックが無駄に威圧してくる。なんだか本しか買わないのは申し訳ないような、そんな嫌な気分にさせられるのだ。それにしてもこの東急本店、端からみていると客の入りが悪いけど大丈夫なのかな? 豪奢なブティックを入口に固めるのは虚栄のような気がしてならない。そりゃあ、渋谷駅周辺は日本でも最も富裕層の多いリッチなエリアだけどさ。<<★2012年 その時 渋谷が動いた >>そんな劣悪な環境の渋谷駅舎、駅ビルに、今、まさに変革の波がおしようせようとしている。発端は副都心線の東急東横線の直通化だ。その後、古くて使い勝手の悪い東急百貨店を取り壊し、離れた埼京線ホームも山手線の隣に移動させようというものだ。しかし、このターミナルの大改造計画も具体的な中身をみてみると微妙と言わざるを得ない。以下に、問題点を列挙したのでご覧あれ。【1】東横線は新宿、池袋エリアにも直通できるし、上り電車の進入速度も向上するが、始発着席機会が無くなり山手線への乗り換えも不便になるのは代償として大きい。【2】その東横線は銀座線への乗り換えも不便になるので、そのことにより半蔵門線経由の乗客が増え、田園都市線のホームの混雑が極限まで悪化。田園都市線の遅延を誘発する。【3】山手線ホームは島式ホームに変更されるので、山手線外回りから井の頭線への乗り換えも上下動が増えて今より不便になる。銀座線ホームも井の頭線からさらに離れる。とまあ、こう書くとロクでもない計画に思えてくるが、これが渋谷駅の未来の姿である。特に1と2に関しては目前に迫っている問題だ。しかしやむを得ない面もある。そもそも渋谷はそのすり鉢状の地形からして、地下も地上も空間に制約が多い。これも有名な話だが渋谷駅の真下には暗渠と化した渋谷側も流れている。いずれのレベルにおいても面的に展開することは不可能であるし、駅もビルも内部で分断されてしまう。これまでの渋谷は「公園通り」や「スペイン坂」を筆頭に地形を逆手にとって洒落た雰囲気を演出してきたが、坂の街というのはベールがひとたび剥がれれば日常の不便さが残るだけだ。同じことが田園都市線の丘陵地帯などにもいえる。田園都市線に関してはもう一つ心配の種がある。渋谷駅利用者の食を支えてきた「東急フードショー」が再開発の期間、どうなるかということである。文化会館跡地に2012年に開業する「渋谷ヒカリエ」内にも当然食品フロアはできるだろうが、乗り換えの動線からはだいぶ外れてしまう。渋谷駅再開発の期間は予定でも16年間もかかる。また、渋谷駅再開発が完了しても新駅ビルは246沿いになるので、やはり田園都市線や井の頭線の乗り換え動線からも離れてしまう。あとに残るは「ザ・ガーデン」にしたり元に戻したりと改装で迷走した挙げ句、「客のいないデパ地下」という世にも珍しい売り場を完成させた「シブヤ西武」だけである。<<★シブヤが若者の街という幻想 >>とまあ、なんだか暗い話ばかりになってしまったが、総じて言えることは「イメージは悪いけど乗り換えも買い物も便利な池袋」に対して、「イメージは良いけど、乗り換えも買い物も不便な渋谷」ということになる。同じ若者の街でもまったく性格が違うということだ。もう一つ池袋と大きな違いがある。それは渋谷は決して若者だけの街ではないということ。「センター街」の周辺ばかりで遊んでいないで、マークシティの周辺も歩いてみて欲しい。マークシティの内部はいかにも癒されたいOLの園といった趣だが、その周囲は徹底して昔ながらのオヤジの町である。さらに南下して246沿いに至ると渋谷がビジネス街としてもけっこう成熟していることがわかってくる。意外に思われる向きもあるかも知れないが、渋谷の「セルリアンタワー」や「インフォスタワー」は新宿の超高層ビル街と同等かそれ以上の高額賃料である。テナントも六本木に移転してしまったがグーグルや有名芸能事務所など旬揃いだ。住友不動産が六本木通り沿いにこのたび竣工させたファーストビルにはミクシィやぴあなども入居している。ようは相変わらず渋谷はIT系や最先端のサービス業に強いのだ。こういうことからも渋谷のもつコマーシャルメッセージ性は未だ顕在であることがうかがえる。かつては都心に入居できない中堅生保がこぞって渋谷に集結し、そして破綻していった。渋谷ブランドを求める若い企業があり続ける限り、渋谷は独特の文化をはぐくんでいくだろう。あとは、彼らが成長したときに、その受け皿となる超大型ビルがあればいい。現に246沿いを中心に再開発の機運があちらこちらで高まっている。渋谷という良きイメージを武器に、都心として今後、もっとも大きく飛躍するであろう、この街に期待したい。
- 新宿三丁目
- 【駅周辺ランドマーク】伊勢丹新宿本店、スタジオアルタ、高島屋タイムズスクエア、新宿御苑
- 【ロンドンのチューブに例えると…】オックスフォード・サーカス駅
#解説<<★お昼休みじゃなくてもウキウキショッピング! >> そもそも日本一の繁華街と言われる新宿にあって、ファッションや雑貨を扱う店が並ぶショッピング街として市場が成立しているのはこの「新宿三丁目」だけである。三丁目とは、北は靖国通り、南は甲州街道、東は明治通りよりも一つ四谷寄りに走る大通りに囲まれたごく狭いエリアを指しているが、「ルミネ」などがあるJR新宿駅の住所も三丁目にあたる。なんでも関西の人が新宿の繁華街を訪れると「え? これだけ!?」と拍子抜けするそうだ。さもありなん。新宿のもつ巨大なコンクリートと人の波のジャングルのイメージからすれば、あまりにも新宿の繁華な部分は限定的だ。通行量、物販店の密度共に充実しているのはせいぜいJRの東口から明治通りにかけての「新宿通り」と、そこから靖国通りに向けて一歩入った「モア街」だけであろう。とはいえ大型店が多く、狭い範囲での集積度はさすがの一言。渋谷や池袋に比べて街が小さいということもない。渋谷に比べればまだ歩きやすく、池袋と比べればまだ歩くところがある、といったところか。この三丁目の商業集積の核となるのが言わずと知れた「伊勢丹新宿本店」である。そしてこの東洋のファッションリーダーストアたる伊勢丹本店と新南口の「タカシマヤタイムズスクエア」をつなぐ形で駅を設置し2008年に開業したのが副都心線の新宿三丁目駅だ。この駅の凄いところは、単に百貨店と直結するだけに留まらず、ホームからして既に百貨店の売り場のムードを醸し出している点にある。天井から壁、床のタイルに至るまで白くピカピカしており、広告も伊勢丹、丸井、高島屋といったところに「新宿高野」や「紀伊國屋書店」といった新宿三丁目が誇る全国区の老舗、さらにはルイ・ヴィトンなどのラグジュアリーブランドが加わり、広告までが百貨店クオリティで埋め尽くされているのだ。副都心線開業時に盛んに報道された副都心間の百貨店戦争を象徴するような駅である。<<★密かに進行する新宿の歴史的な革命 >>だが、そんなことは非常に表面的な部分でしかない。副都心線の新宿三丁目駅が開業したことによる本質的な意味。それは新宿に新宿駅以外にはじめて「四方から人が集まる十字路」としての交差駅が誕生したことである。例えば東京駅をみてもらえばわかるが、東京駅以外にもすぐ近くに大手町駅や日本橋駅、有楽町駅や銀座駅といった「四方から人が集まる十字路」が存在するのだが新宿にはそれがなかった。東京駅とこれら周辺の十字路を全て足してもまだ新宿駅のほうが鉄道の利用者数が多いし小売り販売額でも新宿界隈が上回っている。また、新宿はイメージ的には巨大で日本一の街として認知されている。にもかかわらず、実際には街がさほど面として広がっていないのは、人の吐き出される玄関口が新宿駅という一点に限定されてしまうので、その周囲だけしか発展しないからである。また、「格」とか「柄」が伴わないのが新宿である。「渋谷」ブランドのもつ魔法のような神通力も新宿の名には備わっていない。渋谷駅から離れてもファッショナブルな商店街や高スペックのオフィスビルが成立する渋谷区に対して、新宿駅の徒歩圏内を離れると途端に閑静という名の退屈で活気のない住宅街に堕してしまうのが新宿である。つまるところ、新宿というのは新宿駅のもつ路線ネットワークと乗降客数の桁外れの多さ「だけ」が評価されている街であって、新宿駅から離れてしまえば大した価値はないのだ。そんな新宿であるから、「新宿三丁目」という本格的な十字路が新宿駅のほかに誕生したインパクトは世間で考えられているよりもとても大きいと思う。よく「副都心線が通るのは新宿ではなく新宿三丁目なのが残念だ」という声がある。もちろんそれにも一理あるが、すでに述べたような新宿の課題と限界を考えれば、新宿三丁目を選んだ副都心線の栄光ある孤立はまことに正しい。だいたい西新宿の超高層ビル街に通勤するのであれば今まで通りに山手線に乗ればいいだけの話だ。池袋の乗り換えは別に不便なわけでもないし(渋谷は…)。ささやかではあるが、副都心線の開業によって新宿東口の賑わいにすでに変化の胎動がみてとれる。「伊勢丹」のある明治通りまでで息切れしていた人の流れも、その先に力強く伸び始めた。シネコンの「バルト9」の入った「丸井アネックス館」オープンは副都心線開業を折り込んでのものであろう。「末広亭」のある一歩入った裏道も一時はずいぶんとうらぶれた印象であったが、最近は小綺麗なバーなどが路面に増えてきていて活気づいてきている。<<★アングラな新宿に吹く、新しいアンダーグラウンドの風 >> さらに「四方から人が集まる十字路」がもたらす影響は単に繁華なエリアを拡張するだけにはとどまらない。十字路と言えば「文明の十字路」である。新宿における十字路の東西軸は中央線だ。もともと新宿東口は中央線文化の影響が色濃い繁華街であった。サブカル、アングラ、飲屋街といった新宿カルチャーはまぎれもなく中央線の運んできたノリである。グループサウンズが全曲聴けるバーがあったり、若手の名も無き表現者の活動を支援するなど、小汚いが営業的にもまだまだイケてる「ゴールデン街」なんていかにも杉並区あたりの中央線駅前の親分といったところだ。対して南北の軸は副都心線ということになる。以前のこの界隈といえば百貨店以外で目立つのがなんといっても家電量販店、そして飲み屋ばかりが多いという、雑然として垢抜けない、それでちょっとサブカルな面をもった、いかにも中野や杉並の延長といった感じの「新宿東口」だったが、副都心線が開通したのと同時に、中央線文化圏から独立して、横浜、自由が丘、原宿のさわやかな風が吹き抜ける「新宿三丁目」として生まれ変わりつつある。副都心線の上を通る明治通りが「風の道」として機能している。南から風が吹けば北からは人の波が押し寄せる。その流れの中、現在の新宿三丁目で急速に勢力を拡大しているのがカジュアルながらもファッション性の高いファストファッションの大型店である。このように新宿三丁目だけをもって「十字路」を語るのはなんだかこじつけ臭く感じてしまう向きもあろう。もうひとつわかりやすい十字路の例を挙げておこう。池袋だ。あそこは山手線内側の都心の文化と、埼玉から流れてきては淀んで滞留する郊外文化のぶつかりあいだ。池袋には「都心1号店」のふれこみのもと、大味で大盛りな郊外大型チェーン店の進出が後をたたない。最近でいえば通路が広いだけでスカスカの棚が空虚に広がるヤマダ電機のPCモニタすら扱っていない日本総本店をはじめ、コミック本の棚が大半を占めるブックオフの大型店、それに予定されているラウンドワンでレッツエンジョイとくればそこはもう国道16号線。ああ、もう一箇所いきましょうか? 下北沢。渋谷と吉祥寺の文化性やオシャレな要素と世田谷小田急のゴミゴミっとした下町要素が溶け合ってますね。まあ、こうしてみると十字路の駅周辺は都会的で洗練された要素と、気安い庶民的な要素のぶつかりあいであるケースが多いのであろう。そういった街はとても人気があるし何より発展しやすいのではないか。異文化交流がおこなわれる場というのはえてして新しいものも生まれやすいし。新宿、渋谷、池袋といった三大ターミナルが都心と比べて一段低く見られながらも常に力を発揮し続けている背景には、それぞれが世界最大の十字路として毎日桁外れの人が行き来していることによる潜在的パワーがあるのであろう。<<★さあ、大きな新宿を地下で輪になってつなごう! >>話を新宿三丁目に戻すと、こちらもさらなる発展が予想される。副都心線が東急沿線やその先の神奈川県からも人を本格的に運んでくるようになるインパクトはやはり大きい。さらに2016年には小田急や京王の新宿西口から新宿三丁目へのアクセスを改善する新宿駅地下東西自由通路も完成する予定だし、靖国通りの地下街「新宿サブナード」も副都心線のコンコースまで延伸する計画がある。さらに多くの人が集まって来るであろう。逆に新宿三丁目駅側から従来の新宿駅へのアクセスもおこたり無い。副都心線のコンコースからJR新南口までを結ぶ甲州街道の地下道も副都心線開業に遅れて開通。そのJR新南口の上空には10万平米規模の超高層オフィスビルとルミネの新店、そしてJR線路上空には新しく高速バスターミナルなども設置されることになっている。一方で心配なのが新宿三丁目駅の副都心線と丸ノ内線の連絡階段である。この連絡階段を利用すれば相互の乗り換えが極めてスムーズで、副都心線からは超高層ビル街の西新宿や赤坂方面に、丸ノ内線からは池袋、渋谷方面へと、東京メトロによる行動範囲がずずいーっと広がる重要且つ便利なルートなのであるが、それ故に朝のラッシュ時の混雑は見るに堪えないものがある。エスカレータの前には人気作家のサイン会のような細長い行列が発生してしまうし、特に渋谷行きと池袋方面行きの電車の両方が同時にホームに到着した場合は銀行の取り付け騒ぎのように人がつめかけてしまう。現状でもこうなのだから、東横線が直通してさらに利用者が増えた日にはどのような混乱になるのか想像がつかない。東京メトロはポスターで「のりかえるなら、ルートもかえる」とダジャレをかましながら利用者にとっては何のメリットもない改札外のりかえを呼びかけてはいるが果たしてそれで済むのか? さらに肥大化していく大新宿にあって、新宿駅からの徒歩アクセスのみではいよいよ厳しい場所が増えてきている。これからは新宿界隈におけるメトロネットワークの重要性は否応なく増していくであろう。日本最大の街、新宿が今後どこまで発展するのか、その中で新宿三丁目はどう「三丁目」ブランドを形成していけるのか?誰にとってもあたたかい、毎度おなじみの新宿はこれからもますます目が離せない。
- 好きな駅は丸の内線の新宿御苑前駅。ここのバブルはじけてからおどろおどろに宿場町のよう場末な感じに戻ったのは好ましい。6銀行の窓口は見事に新宿店に統合され撤退、ATMは残る。当時から違和感あったけどね。瀟洒なホテルが靖国通りにオープンし欧米系観光客で賑わう。外苑東通りは中韓系観光客向けのホテル、ラブホテル手堅く運営。御苑の並木道はフリーオープンの散策路です。深山幽谷の風を感じ、足元に武蔵野源流があったとか小川がチョロチョロ涼しげな風景。この辺は役所の粋な計らいですね。隣に図書館あり音楽バレエ&はホールで生演奏、無垢木インテリアのショールームが増えてきました。
- 東西線住民です。葛西駅利用者です。東西線も、通勤快速が浦安以西に停車するようになってから、ずいぶん乗車は楽になりましたよ。以前は、乗り込むのにも一苦労だったこともありましたが、今は乗れないということはありません。確かに風で止まったりもしますが、京葉線ほどひどくはありません。今は東京スカイツリーも見えますし、荒川の景色を毎日眺めることができるので、地上区間があるのも悪いことではありませんよ。とにかく、乗り換えなしで大手町・日本橋に20分以下で着くのは魅力です。朝は7時半くらいまで子供とゆっくり遊んでいても、8時には会社に着けます。東西線東側にはいろんな意見があるのでしょうが、もっと資金力があって、選択肢が多い方は、違うところに住めばいいだけの話です。既に住んでいる人は、なんだかんだいって、それなりに満足しているのではないでしょうか。
- 私は飯田橋を毎日通過していますが、憧れていますよ。銀座線が便利かは、どの路線が便利かは利用者によって異なる事。少し位離れていようが飯田橋は非常に便利だと思いますよ。地下鉄は4路線(南北・有楽町・東西・大江戸)それに中央線ですよ。こんなに便利な所は他に無い気がしますが・・・それに神楽坂は変なけばけばしさが無く、大人の雰囲気のする街ですし。それに有名なレストランが多いですしね
- 微妙な地下鉄って、靴下の上から掻いているみたいでイライラする。多くの神楽坂の店は車での利便性も悪いし、ショバ代の割に料理の単価が高いのも納得がいかない。それほどの味かよ!?と言いたくなる。神楽坂は倉本聰のドラマで見たのが一番良かったわ。あれでPT千代田富士見にグラッときたが、キャナルカフェからPTはよく見えても、PTからキャナルカフェはあまり見えない事に気付いてやめた。
- 子どもの時から丸ノ内線使ってるけど、銀座がターミナルだなんて思ったことないなぁ。銀座線への乗り換えって、普通赤坂見附だし。銀座を有難がる人ってさ、ハナコとか欠かさず読んでて、住みたい街ランキングに出てる吉祥寺だの、自由が丘だのを有難がっていそう。丸ノ内線沿線に生まれて育ったけど、このスレに居る、矢鱈と銀座線やら丸ノ内線やらを持ち上げてる人たちの考えもよく分からんね。そういう人たちって、地下鉄は郊外の私鉄から乗り換えて行くもので、沿線に住むって考えは無いんだろうな。
- 荻窪から池袋に行くのにわざわざ銀座・大手町まで廻って行ってる丸の内線って十分セレブだよな。あと、他の路線に乗り入れてない路線が多い都営線ってセレブっぽいよな。浅草線の西馬込方面とか、三田線の巣鴨から先とか、大江戸線の光が丘方面とか。
- この間ヨドバシカメラへ買い物に行く途中、九段下で都営新宿線に乗り換えようとした。そしたら次の電車が来るまでに10分間待たされたんだけど、夜10時閉店で急いでいたのに信じられないロスだ・・・(都営線の新宿駅から以外にすぐだったので結果的には間に合ったが) いま思えば夜間の利用は特に注意しないといけない教訓を味わったような気分です。たしかに九段下は急行停まらないから本数もあれだけれど、土日祝日の夜間ダイヤはビックリするくらい少ない!!
- 丸ノ内線は、悪天候でも地上区間を徐行しないの?
- 丸ノ内線はATO運転だから徐行運転しないよ。
- 有楽町線、、、何であんなに車内が寒いんだろう。東西線より冷房の温度設定が低くて何かおかしい気もします。11月で初冬に入ると言うのに冷房が動いていた。しかも、ブロア・ファンを廻していた。ただでさえ冷房は空気が乾燥するのにブロア・ファンを廻すのは、他人の風邪のウィルスをかき混ぜる物ではないか? と。ちなみに新木場駅の気温は都心より2℃は低い。暖房の効いた京葉線から乗り換えると有楽町線はどうも暖房を切っている様で温もりが全く無い。
- 駅力なら大手町が最強じゃない?住んでる人もいるだろうし。成金お金持ちなら麻布十番。派手なお金持ちなら赤坂見附。物好きな金持ちなら新宿三丁目。田舎出のお金持ちなら表参道。静かなお金持ちなら三越前・日本橋。いつも天皇陛下のお側にいたい金持ちなら九段下か半蔵門。城東サラリーマンなら錦糸町。関西出身サラリーマンなら豊洲。穴場で神保町。
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住環境
- 今日のような湿度が高く蒸し暑い日や、雨や風などの悪天候な日を考えると地下鉄駅近物件で地下鉄で職場まで完結通勤の出来るのが一番と思います。最近は地下駅冷房率高くなって来たし、冬場も地下は温かいしね。
- そうですねー、夏場は電車待つ時間も暑いですからね。地下鉄の方がいいかなあ。東西線、千葉方面発の朝や帰りの混雑はすごいですね。私が以前の会社に通っていたときに乗ったのは逆方向だったので、あっちじゃなくてよかったなーといつも思ってました。
- 地下鉄駅構内で冬場暖房が効いてるのはありがたいんだが、ときどき行き過ぎた所がある。あの「もわっと」した感じはちょっと厳しい
教育・育児
買い物・食事
- 水道橋・飯田橋・市ヶ谷序にお茶の水地域は学校の集積地でもあるし、教育には問題ないでしょ~~~。スーパーは沢山有りますよ。飯田橋は駅横ビルのラムラにスーパーは在りますし、駅1分でサントクも在りますよ。市ヶ谷地域にはキッチンコートやポロロッカが多数あります。水道橋地域には伊勢丹クイーンズ、成城石井も在りますし買い物には困りませんよ。
治安
その他
- 将来的に統合したいってニュースがながれてたけど。都営の赤字がすごくてメトロ側が拒否してるとかしてないとか…