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    (ページの作成: '''■ 所在地''' 東京都台東区西浅草3物件地図を見る 専有面積 36.06m2~80.99m2 '''■ 交通'''(1)東京メトロ銀座線「田原町…)
     
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    '''■ 所在地'''  
    +
    '''■ 所在地''' <br>
    [[東京都]][[台東区]]西浅草3物件地図を見る 専有面積 36.06m2~80.99m2  
    +
    ----<br>
    '''■ 交通'''(1)[[東京メトロ銀座線]]「田原町」駅(1番出口)より徒歩9分
    +
    [[東京都]][[台東区]]西浅草3物件地図を見る 専有面積 36.06m2~80.99m2<br>
    (2)[[東京メトロ日比谷線]]「入谷」駅(1番出口)より徒歩9分
    +
    '''■ 交通'''<br>
    (3)[[つくばエクスプレス]]「浅草」駅(B出口)より徒歩3分
    +
    ----<br>
    (4)[[東京メトロ銀座線]]「浅草」駅(1番出口)より徒歩13分
    +
    (1)[[東京メトロ銀座線]]「田原町」駅(1番出口)より徒歩9分<br>
    (5)都営[[浅草線]]「浅草」駅(A4出口)より徒歩13分
    +
    (2)[[東京メトロ日比谷線]]「入谷」駅(1番出口)より徒歩9分<br>
    (6)東武[[伊勢崎線]]「浅草」駅(松屋浅草)より徒歩12分  
    +
    (3)[[つくばエクスプレス]]「浅草」駅(B出口)より徒歩3分<br>
    '''■ 売主'''  
    +
    (4)[[東京メトロ銀座線]]「浅草」駅(1番出口)より徒歩13分<br>
    藤和不動産 三菱倉庫 三菱地所  
    +
    (5)都営[[浅草線]]「浅草」駅(A4出口)より徒歩13分<br>
    '''■ 間取り'''
    +
    (6)東武[[伊勢崎線]]「浅草」駅(松屋浅草)より徒歩12分<br>
    1R~4LDK※1R=STUDIO
    +
    '''■ 売主'''<br>
     +
    ----<br>
     +
    藤和不動産 三菱倉庫 三菱地所<br>
     +
    '''■ 間取り'''<br>
     +
    ----<br>
     +
    1R~4LDK※1R=STUDIO<br>
      
    '''■詳細'''
    +
    '''■詳細'''<br>
    敷地は、浅草ビューホテルのすぐ西側にあたる。
    +
    ----<br>
    現在、総合設計許可(超高層を可能にする行政の特別の許可)の当否について、
    +
    敷地は、浅草ビューホテルのすぐ西側にあたる。<br>
    都建築審査会への審査請求に引き続いて、都による総合設計許可の取消についての行政訴訟が進められています。
    +
    現在、総合設計許可(超高層を可能にする行政の特別の許可)の当否について、<br>
    (7/14の期日は浅草寺意見陳述ほかで結審し、10月の地方裁判所の判決待ち)
    +
    都建築審査会への審査請求に引き続いて、都による総合設計許可の取消についての行政訴訟が進められています。<br>
    将来の浅草のまちの環境を考えるうえで大きな影響のある物件。
    +
    (7/14の期日は浅草寺意見陳述ほかで結審し、10月の地方裁判所の判決待ち)<br>
     +
    将来の浅草のまちの環境を考えるうえで大きな影響のある物件。<br>
      
    '''■経過'''
    +
    '''■経過'''<br>
    '''(初動)'''
    +
    ----<br>
    ●旧藤和マンションの謎(大改修直後にも関わらず)
    +
    '''(初動)'''<br>
    ●URからモリモトが敷地購入、モリモトのビル事業で「南側が塞がれる」
    +
    ●旧藤和マンションの謎(大改修直後にも関わらず)<br>
     として、旧藤和マンションの一部役員と組合理事長の区会議員が蠢動
    +
    ●URからモリモトが敷地購入、モリモトのビル事業で「南側が塞がれる」<br>
    ●旧藤和(=藤和)による働きかけで、モリモトと共同事業によるタワーへ
    +
     として、旧藤和マンションの一部役員と組合理事長の区会議員が蠢動<br>
    ●「法定再開発」は断られるが、「総合設計」は許可に持って行く動き
    +
    ●旧藤和(=藤和)による働きかけで、モリモトと共同事業によるタワーへ<br>
     +
    ●「法定再開発」は断られるが、「総合設計」は許可に持って行く動き<br>
     +
    ↓<br>
     +
    ●地元対策会社とフジタによる地元対策で、地元分断<br>
     +
    ●最初から「ご理解を」で意見全く聞かない。安直な設計。<br>
     +
    ●新ビルの建築確認も「総合設計」もとれてない段階で、旧藤和マンション<br>
     +
     解体開始。藤和が区分所有権を整理。北側敷地の買収も。<br>
     +
     南側の買収は、モリモトによる。<br>
     +
    (この段階で、一時金と念書だけで、旧住民は「難民」化させられた)<br>
     +
    ↓<br>
     +
    ●マスタープラン等に抵触するので、近隣等から反対<br>
     +
    ●浅草寺にも、事業者が虚偽を述べる<br>
     +
    ↓<br>
     +
    ●地元が陳情を区議会に上げる(総数、700以上)<br>
     +
     →自民公明の「難民可哀想」論で、然るべき審議されず、おしまい<br>
     +
    ↓<br>
     +
    ●「総合設計」手続き中で区は、都の照会に対して「二度」確認、同意。<br>
     +
    ↓<br>
     +
    '''(中盤:スキームの変更)'''<br>
     +
    ●モリモト破綻。再生スキームまとまるまで、工事、事実上停止<br>
     +
    ●藤和、事実上倒産し上場廃止。三菱地所らが事業者となる。<br>
     +
    ↓<br>
     +
    '''(行政対応)'''<br>
     +
    ●「総合設計」への審査請求。なぜか、防火区画違反で建築確認取消<br>
     +
    ●建築確認をしたベターリビングに、国土交通省から行政処分<br>
     
     
    ●地元対策会社とフジタによる地元対策で、地元分断
    +
    ●「総合設計」許可取消への行政訴訟(争点は行政の裁量権)※<br>
    ●最初から「ご理解を」で意見全く聞かない。安直な設計。
    +
    ※「5階程度」の不整形の街区に「37階」を許可するのは、裁量の内か?(→行政訴訟の主たる訴因)<br>
    ●新ビルの建築確認も「総合設計」もとれてない段階で、旧藤和マンション
     
     解体開始。藤和が区分所有権を整理。北側敷地の買収も。
     
     南側の買収は、モリモトによる。
     
    (この段階で、一時金と念書だけで、旧住民は「難民」化させられた)
     
     
    ●マスタープラン等に抵触するので、近隣等から反対
     
    ●浅草寺にも、事業者が虚偽を述べる
     
     
    ●地元が陳情を区議会に上げる(総数、700以上)
     
     →自民公明の「難民可哀想」論で、然るべき審議されず、おしまい
     
     
    ●「総合設計」手続き中で区は、都の照会に対して「二度」確認、同意。
     
     
    '''(中盤:スキームの変更)'''
     
    ●モリモト破綻。再生スキームまとまるまで、工事、事実上停止
     
    ●藤和、事実上倒産し上場廃止。三菱地所らが事業者となる。
     
     
    '''(行政対応)'''
     
    ●「総合設計」への審査請求。なぜか、防火区画違反で建築確認取消
     
    ●建築確認をしたベターリビングに、国土交通省から行政処分
     
     
    ●「総合設計」許可取消への行政訴訟(争点は行政の裁量権)※
     
    ※「5階程度」の不整形の街区に「37階」を許可するのは、裁量の内か?(→行政訴訟の主たる訴因)
     
      
    '''●参考資料'''
    +
    '''●参考資料'''<br>
    ''' ■東京新聞(2010.6.3)したまちページ 浅草寺が来月陳述へ'''
    +
    ----<br>
    '''西浅草のマンション訴訟 次回結審の見通し'''
    +
    ''' ■東京新聞(2010.6.3)したまちページ 浅草寺が来月陳述へ'''<br>
     +
    '''西浅草のマンション訴訟 次回結審の見通し'''<br><br>
      
     
    [[台東区]]西浅草に建設中の高さ約百三十メートルの高層マンションをめぐり、浅草寺と地元住民が、容積率を緩和した都の建設計画総合設計の適用許可取り消しを求めた裁判の第四回口頭弁論が二日、東京地裁で開かれ、次回七月十四日の第五回口頭弁論で、原告の浅草寺が意見陳述を行うことになった。裁判は次回で結審する見通し。
     
    [[台東区]]西浅草に建設中の高さ約百三十メートルの高層マンションをめぐり、浅草寺と地元住民が、容積率を緩和した都の建設計画総合設計の適用許可取り消しを求めた裁判の第四回口頭弁論が二日、東京地裁で開かれ、次回七月十四日の第五回口頭弁論で、原告の浅草寺が意見陳述を行うことになった。裁判は次回で結審する見通し。
    この日は、一帯を中・低層地と定めた[[台東区]]の「都市計画マスタープラン」にマンション計画が反するとの原告の主張に対し、被告の都側が「公聴会でプランとの整合性を疑問視する声があり、都が区に照会したところ『支障はない』とされ、計画は是認されている」などと反論した。
    +
    この日は、一帯を中・低層地と定めた[[台東区]]の「都市計画マスタープラン」にマンション計画が反するとの原告の主張に対し、被告の都側が「公聴会でプランとの整合性を疑問視する声があり、都が区に照会したところ『支障はない』とされ、計画は是認されている」などと反論した。<br>
    原告側は「プランのイメージ図は四階建て程度の中層建物が示されているだけ。本件敷地に超高層建築を予定していなかった」と計画の違法性を訴えた。
    +
    原告側は「プランのイメージ図は四階建て程度の中層建物が示されているだけ。本件敷地に超高層建築を予定していなかった」と計画の違法性を訴えた。<br>
      
    '''■毎日新聞(2010年2月27日)'''
    +
    '''■毎日新聞(2010年2月27日)'''<br>
    '''浅草の高層マンション:都条例不適合に検査員が確認済証'''
    +
    '''浅草の高層マンション:都条例不適合に検査員が確認済証'''<br><br>
      
     
    東京・浅草の浅草寺近くに建設中の高層マンション(地上37階建て、高さ約130メートル)について、建物の防火区画が都条例で義務づけられた基準に適合していないのに建築確認済証を交付したなどとして、国土交通省は26日、確認検査機関の検査員を業務禁止1カ月とし、同検査機関に監督命令を出した。
     
    東京・浅草の浅草寺近くに建設中の高層マンション(地上37階建て、高さ約130メートル)について、建物の防火区画が都条例で義務づけられた基準に適合していないのに建築確認済証を交付したなどとして、国土交通省は26日、確認検査機関の検査員を業務禁止1カ月とし、同検査機関に監督命令を出した。
    この検査機関は国交相指定の財団法人「ベターリビング」([[千代田区]])。マンションを巡っては、宗教法人・浅草寺などが「下町の景観が損なわれる」などとして、都とベターリビングを相手取り、計画許可の処分取り消しなどを求めて係争中。
    +
    この検査機関は国交相指定の財団法人「ベターリビング」([[千代田区]])。マンションを巡っては、宗教法人・浅草寺などが「下町の景観が損なわれる」などとして、都とベターリビングを相手取り、計画許可の処分取り消しなどを求めて係争中。<br>
     
    マンションは12年完成予定で既に着工し、基礎工事段階。国交省によると、検査員が条例を独自に解釈していたなどとして、都建築審査会が昨年12月、建築計画を不適合と裁決して確認済証が失効した。
     
    マンションは12年完成予定で既に着工し、基礎工事段階。国交省によると、検査員が条例を独自に解釈していたなどとして、都建築審査会が昨年12月、建築計画を不適合と裁決して確認済証が失効した。
    建築主の大手不動産会社「藤和不動産」([[中央区]])によると、工事を中断して計画を作り直した。ベターリビングから再度、建築確認済証の交付を受け、1月8日に工事を再開したという。
    +
    建築主の大手不動産会社「藤和不動産」([[中央区]])によると、工事を中断して計画を作り直した。ベターリビングから再度、建築確認済証の交付を受け、1月8日に工事を再開したという。<br>
      
    '''■東京新聞(2009年9月24日 夕刊)'''
    +
    '''■東京新聞(2009年9月24日 夕刊)'''<br>
    '''浅草寺、高層マンション許可で[[東京都]]を提訴'''
    +
    '''浅草寺、高層マンション許可で[[東京都]]を提訴'''<br>
    '''浅草寺提訴 『130メートルマンション景観損なう』'''
    +
    '''浅草寺提訴 『130メートルマンション景観損なう』'''<br>
     
    [[東京都]][[台東区]]西浅草で建設予定の高層マンションは、浅草周辺の下町の景観を損なうとして、浅草寺と地元住民五人が二十四日、[[東京都]]に容積率などの緩和許可の取り消しを求めて、東京地裁に提訴した。  
     
    [[東京都]][[台東区]]西浅草で建設予定の高層マンションは、浅草周辺の下町の景観を損なうとして、浅草寺と地元住民五人が二十四日、[[東京都]]に容積率などの緩和許可の取り消しを求めて、東京地裁に提訴した。  
    訴状などによると、マンションは浅草寺境内から約四百メートル西の位置に計画。三十七階建て、高さ約百三十メートル。大手マンション分譲会社が、歩行者らが自由に通れる公開空地を設けることで容積率が緩和される総合設計制度を活用して計画を提出。  
    +
    訴状などによると、マンションは浅草寺境内から約四百メートル西の位置に計画。三十七階建て、高さ約百三十メートル。大手マンション分譲会社が、歩行者らが自由に通れる公開空地を設けることで容積率が緩和される総合設計制度を活用して計画を提出。 <br>
     
    都は二月に総合設計を許可した。高さ制限も緩和されている。既に着工している。  
     
    都は二月に総合設計を許可した。高さ制限も緩和されている。既に着工している。  
    原告側は「マンションは浅草寺からの眺めを阻害し、寺周辺の景観に悪影響を与える」とし、許可は市街地の環境整備をうたう建築基準法や都市計画法違反と主張。一帯を三〜五階建て程度の高さの中低層地と定めた[[台東区]]の「区都市計画マスタープラン」にも反するとしている。  
    +
    原告側は「マンションは浅草寺からの眺めを阻害し、寺周辺の景観に悪影響を与える」とし、許可は市街地の環境整備をうたう建築基準法や都市計画法違反と主張。一帯を三〜五階建て程度の高さの中低層地と定めた[[台東区]]の「区都市計画マスタープラン」にも反するとしている。<br>
    原告側は「地域性を考えず、やみくもに高層建築を可能にする総合設計制度のあり方を問いたい」と話している。  
    +
    原告側は「地域性を考えず、やみくもに高層建築を可能にする総合設計制度のあり方を問いたい」と話している。<br>
     
    浅草寺は「都市開発に関する制度の乱用で、大規模建築が無計画に行われれば街のたたずまいの急激な変質を招き、寺の荘厳さも損なわれ、東京のまちづくりや観光にも悪影響を及ぼす」とのコメントを発表した。  
     
    浅草寺は「都市開発に関する制度の乱用で、大規模建築が無計画に行われれば街のたたずまいの急激な変質を招き、寺の荘厳さも損なわれ、東京のまちづくりや観光にも悪影響を及ぼす」とのコメントを発表した。  
    [[東京都]]都市整備局建築指導課の話 訴状を見た上で必要な対応をする。
    +
    [[東京都]]都市整備局建築指導課の話 訴状を見た上で必要な対応をする。<br>
      
      
    '''■行政訴訟にあたっての原告団コメント'''
    +
    '''■行政訴訟にあたっての原告団コメント'''<br>
     
    「(仮称)西浅草3丁目計画」は、東京・浅草の路地裏に地上37階・133メートルもの超高層建築物を建て、そこに約700戸・約2,000人もの人口を押し込もうという「下町路地裏超高層計画」です。  
     
    「(仮称)西浅草3丁目計画」は、東京・浅草の路地裏に地上37階・133メートルもの超高層建築物を建て、そこに約700戸・約2,000人もの人口を押し込もうという「下町路地裏超高層計画」です。  
     多くの懸念と問題とを抱えた計画であるにもかかわらず、この計画が認められているのは、当該計画が建築基準法第59条の2に定められた「総合設計制度」を利用しているからです。この制度は、公開空地を設置するなど一定の基準を満たせば、「市街地の環境の整備改善に資する」として容積率の割り増し等のボーナスを受けられる制度です。この制度の適用許可によって、当該計画では建築可能な延べ床面積が通常に比べ約1.6倍にもなり、斜線制限の緩和等も絡んで、下町の周辺環境から突出した超高層建築計画が可能となりました。私たちは、当該計画に対して[[東京都]]が出した総合設計の適用許可を違法なものと考え、[[東京都]]に対し許可取消を求める行政訴訟に踏み切りました。
    +
     多くの懸念と問題とを抱えた計画であるにもかかわらず、この計画が認められているのは、当該計画が建築基準法第59条の2に定められた「総合設計制度」を利用しているからです。この制度は、公開空地を設置するなど一定の基準を満たせば、「市街地の環境の整備改善に資する」として容積率の割り増し等のボーナスを受けられる制度です。この制度の適用許可によって、当該計画では建築可能な延べ床面積が通常に比べ約1.6倍にもなり、斜線制限の緩和等も絡んで、下町の周辺環境から突出した超高層建築計画が可能となりました。私たちは、当該計画に対して[[東京都]]が出した総合設計の適用許可を違法なものと考え、[[東京都]]に対し許可取消を求める行政訴訟に踏み切りました。<br>
    '''● 当該計画の問題点 '''
    +
    '''● 当該計画の問題点 '''<br>
     当該計画は以下の三点において違法性がある、と私たちは考えています。  
    +
     当該計画は以下の三点において違法性がある、と私たちは考えています。<br> <br>
      
    '''(1)周辺地域環境への悪影響'''
    +
    '''(1)周辺地域環境への悪影響'''<br>
     
     当該計画は[[東京都]]により、「周辺市街地環境の改善に資する」と見なされて総合設計制度の許可を得ました。しかし当該計画はその規模の巨大さから、実際には周辺地域の生活環境に様々な負荷をかけ、長期的な影響を及ぼすと考えられます。防災計画等の不備の他、保留床を最大限に使い切っているため次回建て替えの見通しがつかないなど、地域社会への将来的な悪影響も考えられます。これらは「市街地の環境の整備改善に資する」ことを目的とした総合設計の主旨に反するもので、当該計画への適用許可には違法性があります。  
     
     当該計画は[[東京都]]により、「周辺市街地環境の改善に資する」と見なされて総合設計制度の許可を得ました。しかし当該計画はその規模の巨大さから、実際には周辺地域の生活環境に様々な負荷をかけ、長期的な影響を及ぼすと考えられます。防災計画等の不備の他、保留床を最大限に使い切っているため次回建て替えの見通しがつかないなど、地域社会への将来的な悪影響も考えられます。これらは「市街地の環境の整備改善に資する」ことを目的とした総合設計の主旨に反するもので、当該計画への適用許可には違法性があります。  
     本件と同様の事例は他所でも頻発しており、これは総合設計という制度自体に問題があることを示唆しています。実態がどうであろうとも、「公開空地」などを設け、許可要綱に定められた各種の数値を満たし、必要な書類が揃ってさえいれば、「市街地の環境の整備改善に資する」と見なしてしまう、そのような硬直化した制度運用のあり方に私たちは問題があると考えます。(なお、本件の処分庁たる[[東京都]]自身が、現行の総合設計制度の運用のあり方に課題があるという内容の意見書を国交省に提出しています。添付資料をご参照ください。)
    +
     本件と同様の事例は他所でも頻発しており、これは総合設計という制度自体に問題があることを示唆しています。実態がどうであろうとも、「公開空地」などを設け、許可要綱に定められた各種の数値を満たし、必要な書類が揃ってさえいれば、「市街地の環境の整備改善に資する」と見なしてしまう、そのような硬直化した制度運用のあり方に私たちは問題があると考えます。(なお、本件の処分庁たる[[東京都]]自身が、現行の総合設計制度の運用のあり方に課題があるという内容の意見書を国交省に提出しています。)<br><br>
      
    '''(2)計画の根拠と正当性への疑問'''
    +
    '''(2)計画の根拠と正当性への疑問'''<br>
     
     当該計画には、[[東京都]]や[[台東区]]における各種上位計画と不整合な点が数多く存在し、法的な正当性に疑問があります。  
     
     当該計画には、[[東京都]]や[[台東区]]における各種上位計画と不整合な点が数多く存在し、法的な正当性に疑問があります。  
     一例を挙げれば、平成18年6月策定の[[台東区]]都市計画マスタープランにおいて、当該計画地は中低層(3?5階)ならびに複合市街地への誘導をすると明記されていますが、37階建て超高層マンションとしての当該計画はこれに明らかに抵触しており、上位計画に反する当該計画には違法性があります。本裁判は、平成4年の都市計画法改正によってその制定を義務づけられた「都市計画マスタープラン」(第18条の2における「基本方針」)の法的意義を問う点において、前例のない裁判になると思われます。  
    +
     一例を挙げれば、平成18年6月策定の[[台東区]]都市計画マスタープランにおいて、当該計画地は中低層(3?5階)ならびに複合市街地への誘導をすると明記されていますが、37階建て超高層マンションとしての当該計画はこれに明らかに抵触しており、上位計画に反する当該計画には違法性があります。本裁判は、平成4年の都市計画法改正によってその制定を義務づけられた「都市計画マスタープラン」(第18条の2における「基本方針」)の法的意義を問う点において、前例のない裁判になると思われます。<br>
     [[台東区]]は当該計画について、高度利用などの理由を挙げて「[[台東区]]都市マスタープランに即している」との見解を示していますが、マスタープランからの逸脱は疑いようもなく明らかです。この区の見解は、自ら定めた基本方針を自ら破るものであり、不可解な強弁であると言わざるをえません。私たちとしては、このような強弁をしてまでも当該計画を推進しなければならない「事情」が[[台東区]]にあるのではないか、と疑問を持たざるを得ないところです。[[台東区]]のこの不可解な見解と判断過程については、公正な立場からの徹底的な検証が必要であると思われます。  
    +
     [[台東区]]は当該計画について、高度利用などの理由を挙げて「[[台東区]]都市マスタープランに即している」との見解を示していますが、マスタープランからの逸脱は疑いようもなく明らかです。この区の見解は、自ら定めた基本方針を自ら破るものであり、不可解な強弁であると言わざるをえません。私たちとしては、このような強弁をしてまでも当該計画を推進しなければならない「事情」が[[台東区]]にあるのではないか、と疑問を持たざるを得ないところです。[[台東区]]のこの不可解な見解と判断過程については、公正な立場からの徹底的な検証が必要であると思われます。<br><br>
      
     また当該計画は、計画地の既存していたマンションの建て替え計画でもありますが、この計画の進め方の過程においても様々な難点、疑念、倫理的問題点が指摘されています。建築主は、計画地にあったマンション等の既存建築物を、許可も確認も下りていない計画未定の段階で早々と解体してしまい、多数の旧住民は建て替えの保証も家賃補助もない不安定な状態に追いやられました。このことで地元では、計画をめぐって不必要な住民間の感情的が生じ、一部では脅迫のような事態すら起きています。計画地の既存マンション解体の経緯に関しても、
    +
     また当該計画は、計画地の既存していたマンションの建て替え計画でもありますが、この計画の進め方の過程においても様々な難点、疑念、倫理的問題点が指摘されています。建築主は、計画地にあったマンション等の既存建築物を、許可も確認も下りていない計画未定の段階で早々と解体してしまい、多数の旧住民は建て替えの保証も家賃補助もない不安定な状態に追いやられました。このことで地元では、計画をめぐって不必要な住民間の感情的が生じ、一部では脅迫のような事態すら起きています。計画地の既存マンション解体の経緯に関しても、<br>
    1)一億円近い費用をかけた大規模修繕が終了した直後に建て替え決議が行われた、
    +
    1)一億円近い費用をかけた大規模修繕が終了した直後に建て替え決議が行われた、<br>
    2)その大規模修繕と建て替えとが同じ業者によって行われている、
    +
    2)その大規模修繕と建て替えとが同じ業者によって行われている、<br>
    3)建て替え決議時の管理組合理事長を、既存マンション住民であった自民党系の[[台東区]]議が務めて「合意形成」を行なった、など、不透明かつ不可解な点が数多く、地元で様々な憶測が流れている状況です。当該計画が地域に与える大きな影響を鑑みれば、これら計画の進行過程についても公正な立場からの徹底的な検証が必要であると思われます。
    +
    3)建て替え決議時の管理組合理事長を、既存マンション住民であった自民党系の[[台東区]]議が務めて「合意形成」を行なった、<br>
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    など、不透明かつ不可解な点が数多く、地元で様々な憶測が流れている状況です。当該計画が地域に与える大きな影響を鑑みれば、これら計画の進行過程についても公正な立場からの徹底的な検証が必要であると思われます。<br><br>
      
    '''(3)浅草の文化的資源たる景観への影響'''
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    '''(3)浅草の文化的資源たる景観への影響'''<br>
     
     当該計画は、観光資源としての[[台東区]]の景観に大きな影響を与えます。このことは、地域の伝統を重視し、整合性のある街並みの形成を重要視する上位計画の主旨に反するもので、違法性があります。  
     
     当該計画は、観光資源としての[[台東区]]の景観に大きな影響を与えます。このことは、地域の伝統を重視し、整合性のある街並みの形成を重要視する上位計画の主旨に反するもので、違法性があります。  
     浅草寺周辺地域においては、浅草寺境内における本堂や五重塔などの「輪奐の美」を中心とする景観計画の策定中で、当該計画には「駆け込み」的な要素があります。これについては、景観計画の方針を早々と打ち出しておきながら、遅々としてこれを実現してこなかった[[台東区]]の不作為にも重大な責任があります。
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     浅草寺周辺地域においては、浅草寺境内における本堂や五重塔などの「輪奐の美」を中心とする景観計画の策定中で、当該計画には「駆け込み」的な要素があります。これについては、景観計画の方針を早々と打ち出しておきながら、遅々としてこれを実現してこなかった[[台東区]]の不作為にも重大な責任があります。<br>
     全国屈指の観音霊場にして都内最古の名刹たる浅草寺は、以前より地域景観を重視し、自前の所有地に高さ規制をかけるなどの対応を行ってきました。特に、雷門から宝蔵門、浅草寺本堂へと通ずる参道を進むことは、霊場たる浅草寺において肝要な宗教的体験を担うだけでなく、日本の観光にとっても最大限に重要な意味を持っていますが、当該計画はここでのパノラマ眺望に致命的な影響を与えます。また、戦災を免れて残った浅草寺本坊たる伝法院においては、寛永年間に小掘遠州により築庭されたと伝えられる静謐な回遊式庭園の背景に、当該計画建物が突出する形になり、歴史ある庭園の文化的価値を著しく損ないます。  
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     全国屈指の観音霊場にして都内最古の名刹たる浅草寺は、以前より地域景観を重視し、自前の所有地に高さ規制をかけるなどの対応を行ってきました。特に、雷門から宝蔵門、浅草寺本堂へと通ずる参道を進むことは、霊場たる浅草寺において肝要な宗教的体験を担うだけでなく、日本の観光にとっても最大限に重要な意味を持っていますが、当該計画はここでのパノラマ眺望に致命的な影響を与えます。また、戦災を免れて残った浅草寺本坊たる伝法院においては、寛永年間に小掘遠州により築庭されたと伝えられる静謐な回遊式庭園の背景に、当該計画建物が突出する形になり、歴史ある庭園の文化的価値を著しく損ないます。<br><br>
      
     浅草寺はこれまで、[[東京都]]ならびに[[台東区]]長、[[台東区]]議会に対して、当該計画についての意見書等を提出し、文化的景観についての行政の姿勢を問い続けてきましたが、行政・議会はこれをほぼ黙さつし何らの回答も行っておりません。[[東京都]]建築審査会に対する審査請求においても、処分庁たる[[東京都]]宛に反論書を通して問題提起を行ってきましたが、[[東京都]]はその弁明書の中で明確に回答することを一切行わず、浅草寺の問いかけを無視し続けてきています。これら致し方ない事情から、この度、浅草寺は原告として本訴訟に参加し、当該計画の持つ問題を改めて問い、文化的景観の保存についての理解を広く世に問うことに致しました。
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     浅草寺はこれまで、[[東京都]]ならびに[[台東区]]長、[[台東区]]議会に対して、当該計画についての意見書等を提出し、文化的景観についての行政の姿勢を問い続けてきましたが、行政・議会はこれをほぼ黙さつし何らの回答も行っておりません。[[東京都]]建築審査会に対する審査請求においても、処分庁たる[[東京都]]宛に反論書を通して問題提起を行ってきましたが、[[東京都]]はその弁明書の中で明確に回答することを一切行わず、浅草寺の問いかけを無視し続けてきています。これら致し方ない事情から、この度、浅草寺は原告として本訴訟に参加し、当該計画の持つ問題を改めて問い、文化的景観の保存についての理解を広く世に問うことに致しました。<br><br>
      
     以上の三点の各事由により、当該計画への総合設計許可は違法であり、かつ社会的公正にも反すると考えます。
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     以上の三点の各事由により、当該計画への総合設計許可は違法であり、かつ社会的公正にも反すると考えます。<br><br>
      
    '''● 本訴訟の要点'''  
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    '''● 本訴訟の要点'''<br>
     今回私たちが問題視しているのは、総合設計制度の適用であって、マンションの建設そのものではありません。マンションの建設そのものについては、むしろ地元では比較的寛容な雰囲気があります。私たちが問題視しているのは、総合設計制度の適用により、適正な規模を超えて周辺から突出した超高層建築物が許可され、建設されて、周辺環境に負荷を与えたり文化的景観を破壊したりすることです。それゆえに私たちは、マンション建設反対ではなく、あくまで総合設計許可取消を求めての訴訟に踏み切りました。下町・浅草という街が育んできた遺産、街の未来が損なわれることがないことを、私たちは強く希望するところです。      
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     今回私たちが問題視しているのは、総合設計制度の適用であって、マンションの建設そのものではありません。マンションの建設そのものについては、むしろ地元では比較的寛容な雰囲気があります。私たちが問題視しているのは、総合設計制度の適用により、適正な規模を超えて周辺から突出した超高層建築物が許可され、建設されて、周辺環境に負荷を与えたり文化的景観を破壊したりすることです。それゆえに私たちは、マンション建設反対ではなく、あくまで総合設計許可取消を求めての訴訟に踏み切りました。下町・浅草という街が育んできた遺産、街の未来が損なわれることがないことを、私たちは強く希望するところです。<br>      
     
    (以上)
     
    (以上)

    2010年7月24日 (土) 09:44時点における版

    ■ 所在地



    東京都台東区西浅草3物件地図を見る 専有面積 36.06m2~80.99m2
    ■ 交通



    (1)東京メトロ銀座線「田原町」駅(1番出口)より徒歩9分
    (2)東京メトロ日比谷線「入谷」駅(1番出口)より徒歩9分
    (3)つくばエクスプレス「浅草」駅(B出口)より徒歩3分
    (4)東京メトロ銀座線「浅草」駅(1番出口)より徒歩13分
    (5)都営浅草線「浅草」駅(A4出口)より徒歩13分
    (6)東武伊勢崎線「浅草」駅(松屋浅草)より徒歩12分
    ■ 売主



    藤和不動産 三菱倉庫 三菱地所

    ■ 間取り



    1R~4LDK※1R=STUDIO

    ■詳細



    敷地は、浅草ビューホテルのすぐ西側にあたる。
    現在、総合設計許可(超高層を可能にする行政の特別の許可)の当否について、
    都建築審査会への審査請求に引き続いて、都による総合設計許可の取消についての行政訴訟が進められています。
    (7/14の期日は浅草寺意見陳述ほかで結審し、10月の地方裁判所の判決待ち)
    将来の浅草のまちの環境を考えるうえで大きな影響のある物件。

    ■経過



    (初動)
    ●旧藤和マンションの謎(大改修直後にも関わらず)
    ●URからモリモトが敷地購入、モリモトのビル事業で「南側が塞がれる」
     として、旧藤和マンションの一部役員と組合理事長の区会議員が蠢動
    ●旧藤和(=藤和)による働きかけで、モリモトと共同事業によるタワーへ
    ●「法定再開発」は断られるが、「総合設計」は許可に持って行く動き

    ●地元対策会社とフジタによる地元対策で、地元分断
    ●最初から「ご理解を」で意見全く聞かない。安直な設計。
    ●新ビルの建築確認も「総合設計」もとれてない段階で、旧藤和マンション
     解体開始。藤和が区分所有権を整理。北側敷地の買収も。
     南側の買収は、モリモトによる。
    (この段階で、一時金と念書だけで、旧住民は「難民」化させられた)

    ●マスタープラン等に抵触するので、近隣等から反対
    ●浅草寺にも、事業者が虚偽を述べる

    ●地元が陳情を区議会に上げる(総数、700以上)
     →自民公明の「難民可哀想」論で、然るべき審議されず、おしまい

    ●「総合設計」手続き中で区は、都の照会に対して「二度」確認、同意。

    (中盤:スキームの変更)
    ●モリモト破綻。再生スキームまとまるまで、工事、事実上停止
    ●藤和、事実上倒産し上場廃止。三菱地所らが事業者となる。

    (行政対応)
    ●「総合設計」への審査請求。なぜか、防火区画違反で建築確認取消
    ●建築確認をしたベターリビングに、国土交通省から行政処分
    ↓ ●「総合設計」許可取消への行政訴訟(争点は行政の裁量権)※
    ※「5階程度」の不整形の街区に「37階」を許可するのは、裁量の内か?(→行政訴訟の主たる訴因)

    ●参考資料



    ■東京新聞(2010.6.3)したまちページ 浅草寺が来月陳述へ
    西浅草のマンション訴訟 次回結審の見通し

    台東区西浅草に建設中の高さ約百三十メートルの高層マンションをめぐり、浅草寺と地元住民が、容積率を緩和した都の建設計画総合設計の適用許可取り消しを求めた裁判の第四回口頭弁論が二日、東京地裁で開かれ、次回七月十四日の第五回口頭弁論で、原告の浅草寺が意見陳述を行うことになった。裁判は次回で結審する見通し。 この日は、一帯を中・低層地と定めた台東区の「都市計画マスタープラン」にマンション計画が反するとの原告の主張に対し、被告の都側が「公聴会でプランとの整合性を疑問視する声があり、都が区に照会したところ『支障はない』とされ、計画は是認されている」などと反論した。
    原告側は「プランのイメージ図は四階建て程度の中層建物が示されているだけ。本件敷地に超高層建築を予定していなかった」と計画の違法性を訴えた。

    ■毎日新聞(2010年2月27日)
    浅草の高層マンション:都条例不適合に検査員が確認済証

    東京・浅草の浅草寺近くに建設中の高層マンション(地上37階建て、高さ約130メートル)について、建物の防火区画が都条例で義務づけられた基準に適合していないのに建築確認済証を交付したなどとして、国土交通省は26日、確認検査機関の検査員を業務禁止1カ月とし、同検査機関に監督命令を出した。 この検査機関は国交相指定の財団法人「ベターリビング」(千代田区)。マンションを巡っては、宗教法人・浅草寺などが「下町の景観が損なわれる」などとして、都とベターリビングを相手取り、計画許可の処分取り消しなどを求めて係争中。
    マンションは12年完成予定で既に着工し、基礎工事段階。国交省によると、検査員が条例を独自に解釈していたなどとして、都建築審査会が昨年12月、建築計画を不適合と裁決して確認済証が失効した。 建築主の大手不動産会社「藤和不動産」(中央区)によると、工事を中断して計画を作り直した。ベターリビングから再度、建築確認済証の交付を受け、1月8日に工事を再開したという。

    ■東京新聞(2009年9月24日 夕刊)
    浅草寺、高層マンション許可で東京都を提訴
    浅草寺提訴 『130メートルマンション景観損なう』
    東京都台東区西浅草で建設予定の高層マンションは、浅草周辺の下町の景観を損なうとして、浅草寺と地元住民五人が二十四日、東京都に容積率などの緩和許可の取り消しを求めて、東京地裁に提訴した。 訴状などによると、マンションは浅草寺境内から約四百メートル西の位置に計画。三十七階建て、高さ約百三十メートル。大手マンション分譲会社が、歩行者らが自由に通れる公開空地を設けることで容積率が緩和される総合設計制度を活用して計画を提出。
    都は二月に総合設計を許可した。高さ制限も緩和されている。既に着工している。 原告側は「マンションは浅草寺からの眺めを阻害し、寺周辺の景観に悪影響を与える」とし、許可は市街地の環境整備をうたう建築基準法や都市計画法違反と主張。一帯を三〜五階建て程度の高さの中低層地と定めた台東区の「区都市計画マスタープラン」にも反するとしている。
    原告側は「地域性を考えず、やみくもに高層建築を可能にする総合設計制度のあり方を問いたい」と話している。
    浅草寺は「都市開発に関する制度の乱用で、大規模建築が無計画に行われれば街のたたずまいの急激な変質を招き、寺の荘厳さも損なわれ、東京のまちづくりや観光にも悪影響を及ぼす」とのコメントを発表した。 東京都都市整備局建築指導課の話 訴状を見た上で必要な対応をする。


    ■行政訴訟にあたっての原告団コメント
    「(仮称)西浅草3丁目計画」は、東京・浅草の路地裏に地上37階・133メートルもの超高層建築物を建て、そこに約700戸・約2,000人もの人口を押し込もうという「下町路地裏超高層計画」です。  多くの懸念と問題とを抱えた計画であるにもかかわらず、この計画が認められているのは、当該計画が建築基準法第59条の2に定められた「総合設計制度」を利用しているからです。この制度は、公開空地を設置するなど一定の基準を満たせば、「市街地の環境の整備改善に資する」として容積率の割り増し等のボーナスを受けられる制度です。この制度の適用許可によって、当該計画では建築可能な延べ床面積が通常に比べ約1.6倍にもなり、斜線制限の緩和等も絡んで、下町の周辺環境から突出した超高層建築計画が可能となりました。私たちは、当該計画に対して東京都が出した総合設計の適用許可を違法なものと考え、東京都に対し許可取消を求める行政訴訟に踏み切りました。
    ● 当該計画の問題点
     当該計画は以下の三点において違法性がある、と私たちは考えています。

    (1)周辺地域環境への悪影響
     当該計画は東京都により、「周辺市街地環境の改善に資する」と見なされて総合設計制度の許可を得ました。しかし当該計画はその規模の巨大さから、実際には周辺地域の生活環境に様々な負荷をかけ、長期的な影響を及ぼすと考えられます。防災計画等の不備の他、保留床を最大限に使い切っているため次回建て替えの見通しがつかないなど、地域社会への将来的な悪影響も考えられます。これらは「市街地の環境の整備改善に資する」ことを目的とした総合設計の主旨に反するもので、当該計画への適用許可には違法性があります。  本件と同様の事例は他所でも頻発しており、これは総合設計という制度自体に問題があることを示唆しています。実態がどうであろうとも、「公開空地」などを設け、許可要綱に定められた各種の数値を満たし、必要な書類が揃ってさえいれば、「市街地の環境の整備改善に資する」と見なしてしまう、そのような硬直化した制度運用のあり方に私たちは問題があると考えます。(なお、本件の処分庁たる東京都自身が、現行の総合設計制度の運用のあり方に課題があるという内容の意見書を国交省に提出しています。)

    (2)計画の根拠と正当性への疑問
     当該計画には、東京都台東区における各種上位計画と不整合な点が数多く存在し、法的な正当性に疑問があります。  一例を挙げれば、平成18年6月策定の台東区都市計画マスタープランにおいて、当該計画地は中低層(3?5階)ならびに複合市街地への誘導をすると明記されていますが、37階建て超高層マンションとしての当該計画はこれに明らかに抵触しており、上位計画に反する当該計画には違法性があります。本裁判は、平成4年の都市計画法改正によってその制定を義務づけられた「都市計画マスタープラン」(第18条の2における「基本方針」)の法的意義を問う点において、前例のない裁判になると思われます。
     台東区は当該計画について、高度利用などの理由を挙げて「台東区都市マスタープランに即している」との見解を示していますが、マスタープランからの逸脱は疑いようもなく明らかです。この区の見解は、自ら定めた基本方針を自ら破るものであり、不可解な強弁であると言わざるをえません。私たちとしては、このような強弁をしてまでも当該計画を推進しなければならない「事情」が台東区にあるのではないか、と疑問を持たざるを得ないところです。台東区のこの不可解な見解と判断過程については、公正な立場からの徹底的な検証が必要であると思われます。

     また当該計画は、計画地の既存していたマンションの建て替え計画でもありますが、この計画の進め方の過程においても様々な難点、疑念、倫理的問題点が指摘されています。建築主は、計画地にあったマンション等の既存建築物を、許可も確認も下りていない計画未定の段階で早々と解体してしまい、多数の旧住民は建て替えの保証も家賃補助もない不安定な状態に追いやられました。このことで地元では、計画をめぐって不必要な住民間の感情的が生じ、一部では脅迫のような事態すら起きています。計画地の既存マンション解体の経緯に関しても、
    1)一億円近い費用をかけた大規模修繕が終了した直後に建て替え決議が行われた、
    2)その大規模修繕と建て替えとが同じ業者によって行われている、
    3)建て替え決議時の管理組合理事長を、既存マンション住民であった自民党系の台東区議が務めて「合意形成」を行なった、
    など、不透明かつ不可解な点が数多く、地元で様々な憶測が流れている状況です。当該計画が地域に与える大きな影響を鑑みれば、これら計画の進行過程についても公正な立場からの徹底的な検証が必要であると思われます。

    (3)浅草の文化的資源たる景観への影響
     当該計画は、観光資源としての台東区の景観に大きな影響を与えます。このことは、地域の伝統を重視し、整合性のある街並みの形成を重要視する上位計画の主旨に反するもので、違法性があります。  浅草寺周辺地域においては、浅草寺境内における本堂や五重塔などの「輪奐の美」を中心とする景観計画の策定中で、当該計画には「駆け込み」的な要素があります。これについては、景観計画の方針を早々と打ち出しておきながら、遅々としてこれを実現してこなかった台東区の不作為にも重大な責任があります。
     全国屈指の観音霊場にして都内最古の名刹たる浅草寺は、以前より地域景観を重視し、自前の所有地に高さ規制をかけるなどの対応を行ってきました。特に、雷門から宝蔵門、浅草寺本堂へと通ずる参道を進むことは、霊場たる浅草寺において肝要な宗教的体験を担うだけでなく、日本の観光にとっても最大限に重要な意味を持っていますが、当該計画はここでのパノラマ眺望に致命的な影響を与えます。また、戦災を免れて残った浅草寺本坊たる伝法院においては、寛永年間に小掘遠州により築庭されたと伝えられる静謐な回遊式庭園の背景に、当該計画建物が突出する形になり、歴史ある庭園の文化的価値を著しく損ないます。

     浅草寺はこれまで、東京都ならびに台東区長、台東区議会に対して、当該計画についての意見書等を提出し、文化的景観についての行政の姿勢を問い続けてきましたが、行政・議会はこれをほぼ黙さつし何らの回答も行っておりません。東京都建築審査会に対する審査請求においても、処分庁たる東京都宛に反論書を通して問題提起を行ってきましたが、東京都はその弁明書の中で明確に回答することを一切行わず、浅草寺の問いかけを無視し続けてきています。これら致し方ない事情から、この度、浅草寺は原告として本訴訟に参加し、当該計画の持つ問題を改めて問い、文化的景観の保存についての理解を広く世に問うことに致しました。

     以上の三点の各事由により、当該計画への総合設計許可は違法であり、かつ社会的公正にも反すると考えます。

    ● 本訴訟の要点
     今回私たちが問題視しているのは、総合設計制度の適用であって、マンションの建設そのものではありません。マンションの建設そのものについては、むしろ地元では比較的寛容な雰囲気があります。私たちが問題視しているのは、総合設計制度の適用により、適正な規模を超えて周辺から突出した超高層建築物が許可され、建設されて、周辺環境に負荷を与えたり文化的景観を破壊したりすることです。それゆえに私たちは、マンション建設反対ではなく、あくまで総合設計許可取消を求めての訴訟に踏み切りました。下町・浅草という街が育んできた遺産、街の未来が損なわれることがないことを、私たちは強く希望するところです。
           (以上)

    浅草タワー

    物件概要
    所在地 東京都台東区西浅草3丁目16-14(地番)
    交通 山手線 「上野」駅 徒歩16分 (入谷口)
    東京メトロ銀座線 「田原町」駅 徒歩9分 (1番出口)
    東京メトロ日比谷線 「入谷」駅 徒歩9分 (1番出口)
    つくばエクスプレス 「浅草」駅 徒歩3分 (B出口)
    都営浅草線 「浅草」駅 徒歩13分 (A4出口)
    東武伊勢崎線 「浅草」駅 徒歩12分 (松屋浅草)
    東京メトロ銀座線 「浅草」駅 徒歩13分 (1番出口)
    総戸数 693戸
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